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54話 魔王軍、襲来! 3

今年最後の初投稿です

 イベント三日目朝。今日は場所を変えてみようと話し合いながら三人が歩いていると、再び急に空が暗くなっていった。


 そして現れたのも再び全身鎧の人物……ではなく、疲労や怒りなどの感情がない混ぜになったような顔をした若い男の姿だった。


『どうもこんにちは皆様。魔王軍宰相のベルフェロトでございます、以後お見知り置きを。……あぁ、魔王様は脱…逃……お忙しいので今回は私が代理で皆様の力強い抵抗による中間結果の発表をしていきます。では討伐数から参りましょう』


「やけに疲れた印象のある人だな…」



「というか途中で何か言いかけなかったか?」



「まぁ、気にしてても仕方ないんじゃない?どんどん言ってくみたいだし」



『…2位がレニスオダPT、そして暫定1位がアルバトラズPTです。どんどん行きますよ、こちらも暇では無いのですから。次は与ダメージです』



「んー…まぁ、そこまで上位にいるわけでもないしある程度聞き流すか」



「そうだな。で、向かう場所はどうする?」



「旧遺跡とかどうかしら?」


 その後も10位以上のみではあるが、どんどん中間発表は進んでいく。一応この発表が終わってからでもそれ未満の順位は確認できるので、ルヴィス達はそこまで今の結果を気にすることもなく行き先の計画立てを進めていく。


『…そして生産補助暫定1位がアミザですね。さぁ、これで全中間ランキング発表は終わりです。が、これで決まった訳ではありませんので11位以下の方々も是非私達にその抵抗を見せてください。それでは、またの機会に』



「おっ、終わったな。じゃあ行くか」



「「オッケー」」





「再確認だけど、あっちにいるのはアサルトスライム。音も無く近寄って強烈な体当たりと同時に装備の耐久を溶かしてくるやつで、火と土属性に弱いからその二属性を主に戦った方が良いわね」



「結晶はどの属性なんだろうか」



「……ぃ!…………ー…!」



「さぁ?それは分からんな。土が関係はしてそうだが」


 ルヴィス達は、これから行く旧遺跡にいる魔王軍の特徴や対処法を改めて話し合っていた。


「まぁ、今回はあの爆弾を初投入してみようってのもあるんだけど。どれくらい効くかだなー」



「ぉーぃ!…れか…ぬの…ー…!?」



「…ちょっとストップ。何か聴こえないか?救助要請みたいなの」



「え?……ホントね」


 シオンに言われた通り二人が耳を澄ましてみると、確かにどこかから助けを求めている推定青年の声が聴こえてくるのが分かった。しかもその距離はかなり近いようにも感じる。


「え、どこにいるのか分かんないって怖くね?新手のモンスター?」



「助けを求めるふりして襲いかかる…確かによくある話だな。警戒した方が良さそうだ」



「おぉい!?誰がモンスターだとぉ!?いくら器の広い我でも怒るぞ!」



「っ、上から聴こえるわ!」



「上!?上ってお前、木しか…あ」



「む、やーっと気付いたかお主ら!さぁ早う、早う助けぬか!」


 ルヴィスが視線を真上にあった木に向けると、そこにいたのは服のあらゆる部分が枝に引っかかった男だった。ターコイズグレーの髪を雑に短くしたその男は、気付いたと見るやその救助催促を強める。


「いや助けろつっても、枝と一体化してるレベルで絡まってるじゃないか。何をどうしたらそんなになるんだ」



「そ、それは……えぇい、そんなことはどうでも良かろう!ほれ、ズバーっと斬撃を飛ばすなり魔術で枝をスパーンとやるなりしてでも良いのだぞ!?」



「えぇ……あっ、そんなにバタバタしたら枝が…」



「ぬ、このやけに屈強な枝がどうしたというのだ?我がこんなに動いても折れる気配がせぬ、実は凄い木なのだぞ?」


 そう言うと、男は今まで以上に大きく枝を揺らし始める。何故か自慢げであるが、肝心の枝がそろそろ完全に折れてもおかしくない状況なのを本人が理解していない。


「分かった、その木の凄さは分かったから動きを止めてくれ!」



「ぬ、そこまで言うなら…」



「よし今だ。ノエル、風の方でやれるか?」



「えぇ。『エア・ブレイド』!」



「うおぉっ!?だが感謝するぞお主ら!ハァッ!」


 ノエルが放った魔術は枝を切り落とし、それによって男も地上に落下していく。しかし、男は空中で体勢を変えて見事に着地すると同時に全身に炎を纏い絡んでいた枝葉を燃やし尽くした。


「おぉ、ナイス着地って燃えたぁ!?」



「ん?これくらい普通であろう?さて、改めて感謝をしよう。…名前を聞いてなかったな、名を何と申す?」



「えーと、ルヴェスタだ。こっちはシオンで、もう一人はノエル」


 ルヴィスが自分だけ偽名を使って紹介をすると、男は怪訝な顔をした。


「…?まぁ、良かろう。では我も名を明かそう、当代魔王リターナディスだ。助けてくれたお主らなら気軽にリィスと呼ぶことを許可するぞ」



「よろ、ちょっと待って今なんて?」



「む?リィスと呼んでも良い、と言ったのだが…あぁ、理解したぞ。我が当代魔王というところだな。そんなに不思議か?」



「いや不思議どころの騒ぎじゃないわよ……なんでここにいるのよ?」



「うっ、それは、えーと、アレだ。……そうだ!敵領地の視察を直々に行っていたのだ。決して仕事が嫌になったから未来の我に託した訳ではないぞ?」


 十割自白してしまったことにリターナディスは気付いていないのか、背を向けて完璧に偽装できたな!と小声で言っている。それも三人には丸聞こえであるのだが。


「…なぁ、宰相の人が代わりにやってたのってもしかして」



「そういうことなんだろうな。これで何を言いかけてたのかも分かった。脱走とか逃げた、って言いそうになったんだろうな。どうにか抑えてたけど」



「何を相談しておるのだ?…まさか、このままベルフェに報告して我をとっ捕まえる気か!?」



「えっ!?いや、別にそういう訳じゃ…」



「ではどのよ「あーっ、それはアレだリィスを匿うことにしないかって話をしてたんだ。俺達なら隠し通せるし、視察に来たなら俺達がどんな暮らしをしてるのかも気になるんじゃないか?」……なるほど、なかなか良い提案をするでは無いかシオンとやら。よし決めたぞ。シオン、ルヴェスタ、ノエル、我を連れて行くのだ!」


 そう言うと、リィスは上機嫌で三人の後ろについた。本当に行く気なのだろう。


「あ、あぁ。……おいシオン、なんであんなことを?」



「それに関してはすまん。でも上手く丸め込む方法がそれくらいしか考え付かなかったんだわ」



「一応ポータルあるからそこからなら問題無く行けるでしょうけど……あ、管理人称号ってプレイヤー以外にも有効だっけ?」



「「あ」」





「ほう、ここがお主らの……にしても、やはり転移ポータルは便利だな」



「普通に使えるんだな…やはり、ってことはそっちでも使われてるのか?」



「ここ十数年の間に有用化された技術であってな、特殊なあれこれを用い、て…何故ここにもあるのだ?」



「おや、随分早い戻りだった…ん?んん?ねえ君達、私の見間違えで無ければそこの人って当代魔王じゃないかい?」



「知っておるのか。いかにも、我は当代魔王リターナディスだ。一つ聞きたいのだが、お主があれを?」



「(うっっわマジモンじゃないか…)まぁ、そのポータルなら私だけじゃなくそこの二人にも協力はしてもらったよ」



「なんと、そうであったか。放浪種の知識はいかなる者でも侮れぬという話は真なのだな!」


 そう関心するリィスの後ろでは三人がここから先のことをこそこそと話し合っていたが、すぐに結論は出ていたらしく今は雑談をしていた。


「そうだ、ルヴェスタよ」



「…っと、どうした?」



「ふむ、やはりそうだ。お主、ルヴェスタは偽名であろう?その名で呼んだときの反応が若干遅いのと自己紹介で一瞬躊躇していた、名を使い慣れていない証拠だぞ」



「うっそバレてるぅ……」

とりあえず新年早々にまた更新すると思います。

それでは良いお年を!

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