51話 ※これはフィクションです
なんで剣トルフォくん来てくれないんですか(半ギレ)
「へぇ。魔王軍の襲来、ねぇ…魔王ってお酒好きかな?」
「いや俺に聞かれても……」
各自行動しようということに決まりそれぞれが必要な物を買いに行く中らルヴィスが向かったのは酒店ウーラであった。以前この店に行って以来、料理酒の調達を頼まれたときなどによく来ているようだ。
「あれ、そういえばミロデいないな。病気?」
「いやぁ、あの子すっごい体強いから病気ってのはないない。彼女は今日有給でお休みだよ」
「あ、有給あるんだ」
「そりゃあるとも。というか露店以外の店だと大体はあると思うよ」
「それもそうか」
とはいえ、ルヴィスの目的は当然雑談をすることではない。彼はある物を作るためにこの店が必要だと判断してここに来たのだ。
「あ、そうだ。ちょっと頼みたいことがあるんだけど大丈夫か?」
「まぁ今なら良いけど、何かね?」
「えーっと、あればでいいんだけど度数が七十度から十度刻みで一本ずつ、最高度数のを…二本くらい持ってきてくれないか?」
「?そりゃまた太っ腹だの。良かろう、選んで持ってくるから暫し待たれよ」
そう言いテンロンが店の奥に姿を消すと、その間にルヴィスはこれから作ろうとしているものについて改めて考え始めた。
「(また口調変わってたな…じゃなくて。思いついたやつで必要になりそうだからここに来たけど、ホントに作れるのか?レシピもクソも無い状況で明日までに一から作らにゃならんし、出来たとしてちゃんとしたものになる保証もない……)」
「よっ、と。おーいルヴィス君、持ってきたよー……おーい?」
「…んぇっ!?あぁ、ありがとう。…ごめん、どれがどれか分からないから説明を頼む」
「ははは、元からそのつもりだとも。じゃあこう並べて、こっちから説明していこうかね」
テキパキと五本の酒瓶を並べ終わると、その中でも一番左にある物から説明を始める。
「今僕が持ってるこれがウィスペター・ロウ、細かい説明は省くけど七三度ちょっとのラム酒だね。そいでもってその隣にあるこれがリナメ・ジルニメアス。こっちは八十二度のリキュールで、透き通った赤色が特徴的やね」
「おぉ、確かに綺麗な赤色…って、それ商品なのに開けて良いのか?」
「だーいじょぶだいじょぶ、個人的に買い取るだけだから。……カハッ!?うひぃ、強い強い。さて次行こう」
「えぇ……」
ショットグラスに三オンス分注がれたリナメを一気飲みしルヴィスにドン引きされたが、テンロンはそれを気にもせず説明を再開する。なおこのリナメ・ジルニメアス、8900Gと中々な値段する物であり、普段買う1400Gの料理酒とは訳が違う。
「次はこの青白い瓶なんだけど、ルヴィス君はこれを見て何か思うことはないかな?」
「え?…さっきのウィスペター・ロウだっけ、それと若干ラベルが似てる?」
「良い観察眼だね。これの名前はウィスペター・エクストラ・ハイ、度数は九十三でロウとは二十度も差がある蒸留酒、所謂スピリッツってやつさね。この度数まで行くと火気厳禁レベルの代物になるから注意しよう、過去にこれ飲みながら葉巻に着火しようとしてその家燃えたとかあるからね」
「こっわ…で、そこに残った二つあるやつが最高度数のってことか」
「そう、最後のこれが九十七度というブッ飛んだ酒。名はケルセレス、これも分類上は蒸留酒なんだけど魔術を使った特殊な処理がされてるらしくてね、どんな酒豪すらもすぐに潰れることから別名神殺しとまで言われるよ」
「そりゃまた…それの値段は?」
「これは12280Gだね、流石の価格だ」
「うわすっげいつもの……九倍くらいか。じゃあどうしよ、ハイとセルケレスを二本でロウとリナメは一本で頼む」
「良いねぇ。じゃあ、あとハイとリナメを一本持ってくるからちょっとそこで待ってな」
「オッケー。…あれ?普通に考えたら無理臭くね?でもとりあえずやってみないと分からんよな」
「ほいおまたせー。んじゃあお代の方だけど、8200Gと8900Gが一つ、9240Gと12280Gが二つずつで、合計60140Gだね」
「やっぱ結構するなぁ。…はい」
「一、二、三…はいオッケー。また来てねー」
「あーい。…さて、あと普通に必要になりそうなのも買ってくるか」
「錬金部屋を使いたい?まぁいいけど…何を作る気なんだい?」
「それはまぁ、実験程度の物だから内緒ってことで」
「すっごい不安なんだけどそれ」
「まぁ強いて言うなら、妨害道具?的な?」
「ふぅん…じゃ、何かあったら危ないから後ろで見てることにするね」
あの後必要だと判断した諸々の物を集め帰宅したルヴィスは、すぐさまレミアに錬金系アイテム作成用の部屋の使用許可を得ていた。
「よし、とりあえず必要そうなのを全部取り出して……こう見ると多くなったな」
「ねぇ、私の目がおかしくなったのでなければウィスペターとかのバカ高い度数の酒と色んな薬草とかが見えるんだけど?ホントに何作る予定なんだい君は?」
「まぁまぁ、多分失敗するかもだけど成功すれば便利かもしれない物をね。えーっと、これ使って薬草を乾燥させて、粉末に出来たら四分割してそれぞれの酒を混ぜて……グハッ匂いスゴッ!?」
辺りに薬草の青臭さや酒特有の匂いが混ざり合い充満する中、それで動揺することはあれどそれぞれを混ぜ合わせる手を止めることはしない。
そうして出来上がった物に、今度はそばに置いてあった黒い粉末をそれぞれに混ぜ込んでいく。それにより更にとんでもない匂いになっていくが、既に嗅覚をやられているのかルヴィスは特に何も反応することなく何かを呟きながらそれらを練っていく。
「一体何を作ろうとしてるんだ君は…ん?この匂いは……」
「んー、こんなもんか…?したら次はこれをチョロっと…てか、もしかしてこれだけでも良かったんじゃないか」
「あれは…あぁ。何作りたいかなんとなく分かったよ」
「で、これを紙で包んで紐付けて…見た目はいい感じじゃないか?よし、まずはケルセレスで作ったこれを錬成台の上に置いてここに手を置いて…錬成!」
その言葉をキーにして、ルヴィスのイメージするアイテムに変えるために錬成台は微弱な光を放ちながら使用者からMPを吸い取っていく。
その途中で赤や黒、緑といった様々な色の魔法陣が展開されては吸い込まれるように消えていくということが何度か繰り返されること五分程。光が消えた台の上には、錬成前とは微妙に違った物が出来ていた。
「めちゃくちゃMP吸うなこれ…おぉ?これは成功では?『鑑定』」
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酒草爆弾・劣 評価三 製作者:ルヴィス
アルコールや様々な薬草の特殊反応によって威力向上や爆破後に燃焼粘液追加など、従来の爆弾とは全く異なる性能の爆弾。
……になるはずだったが、配合量やその他諸々の理由で爆破することは無く、ただ激しく燃焼するだけの物になってしまった。様々な点を更に細かく調整すれば劣の字は無くなる、かもしれない。
酒は薬とも言われ、薬は時に害を与える。つまり酒だって何の問題もない爆弾としての素質があるのだ!
使用時低確率で状態異常火傷付与
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「んー、劣の字はまぁ妥当だとしてこれ使えるのか……?精々目くらましにしかならなさそうだ」
「ちょっと見せてくれないかい?……使い勝手はともかく、やっぱりあの粉と最後の液体って黒色火薬とニトロポーションだったよね?なんで急に爆弾製造しだしたのかは聞かないでおくけど」
「あ、バレた?んでまぁついでに理由言うと、アルコール使って爆弾作れたっけ?でも分かんないから作ってみようってのが始まり」
「…それを実行に移す行動力もそうだけど、何の躊躇も無く度数の高い酒を爆弾に使う気になるね。かなーり勿体無いことしてるよルヴィス君」
「それはまぁ……これ飲む?」
「私に七十度以上ある酒をストレートでラッパ飲みさせようとするってナチュラルに殺そうとしてないかい?」
「ただい、うっっわ酒臭っ。いや酒だけじゃないな、なんだこの臭い?」
「どちらかというと青臭さの方が強く感じるわ…何があったのよこれ」
「…ルヴィス君、これは君がやったことだから説明はしてね」
「あぁ……なんて言おう」
なおこの話を作るにあたり度数の高い酒ランキングやアルコールを使う爆弾について調べましたが、流石に爆弾の方は出てきませんでした。
だからといってルヴィスみたいに自力で作ろうとしないでください。するくらいならメチルアルコール飲んどいてください(失明しますが)
誤字報告、感想などお待ちしております。




