50話 襲来
クリスマスイベに薄着してないサンタ、今年が初めてでは?
剣トルフォ全然来てくれないので病みかけましたが10で限定小梅と響子、恒常杉坂のアネゴとりんごというとんでもない神引きしたのでわたしは元気です
「おっ、おはよう二人とも」
「ぁー…ぁーぃ」
「おはよう。…やっぱ朝弱いよなお前」
「………」
「なぁ、ノエルが椅子座って寝かけてるけどいいのか?」
「んー?まぁ、これくらいなら…それっ」
「ひゃあああっ!!?何何何冷たい!?」
「はい、改めておはよう」
「……はい」
「ぅ゛っ…!?」
「いやお前はお前で何してんだ」
「いでで……あれ、椅子全然遠い」
「素かよ」
「そういえば、朝に運営から通知来てたんだよな。イベント関連の」
「え、マジで?」
「マジよ。今回はレイドじゃないみたいだけど、謎の指示みたいなのがあるのよね」
「へぇ、どれどれ…?」
気になったルヴィスが確認してみると、そこには【新イベント『魔王軍、襲来!』開催のお知らせ】という一文が新しく来ていた。
それを開くと、以前のようにとても大まかなイベントの説明がほぼ全てであった。が、最後にノエルが言っていた謎の指示のようなものが載っている。
「四の鐘が鳴る時に外に出ていることを推奨します……?どういうことだ?」
「それが分かんないんだよな。何かあるのは確かだろうけど」
「アレじゃない?出てないとそのイベント自体に参加不可能みたいな…でもそんな事できるのかしら」
「いや自分で言っといて疑問を持つなよ」
なお、ここで言われる四の鐘とは正午を告げる鐘だ。これは6時を一とし、二時間毎に労働者へ大まかな時間を知らせるために存在している。
「今の時間は…微妙だな。あと一時間ちょい何して時間潰す?」
「そんなあるのか。んー…、Lv上げでもするか?」
「戦闘途中で正午になる未来が見えるんだけど…?それだったらポーション以外で戦闘に必要になる物買った方が良いんじゃない?」
「それはそれで時間かかるよなぁ……」
その後案が出てはなんだかんだで否定されを繰り返すこと十数分、既に三人の中でちょうどいい時間潰し案は出尽くしていた。
「えぇーー…?他に何も出てこないわよ?」
「……もうそこら辺のベンチで掲示板見るで良くね?」
「なんかもう二周くらいしてそれで良い気がしてきた」
「この時間の無駄遣い感半端ねぇな?」
「それを言っちゃいけない気がするわ…」
「……さて、あと三十秒くらいだが」
「ふーん……あ、マジで?掲示板閉じよ」
「一瞬聴き流そうとしてたわよね絶対」
「ソナコトナイヨー?」
「片言に聞こえるのはどうしたらいいんだ」
「諦めたら?お、鐘が鳴っ……なんか暗くなってきてね?」
四の鐘が鳴り始めたのとほぼ同タイミングで、今まで雲ひとつ無く晴れていた空が急激にその明るさを失っていく。その暗さは夜を感じさせるようなものではなく、まるで光が届かない洞窟の如く不安感を煽るものにも感じられる。
辺りでも突然の変化に動揺する子どもや何かの襲撃かと思い武器を構える者の姿があちこちで確認され、徐々に街中が混乱に包まれていく。
「なんだ…?」
「分からん。でも注意はした方が良いと思うぞ」
「それもそう『ごきげんよう、脆弱なる者共よ』…!?」
ノエルが言い切る直前、どこからか男の声が聴こえてきた。その声からはどこか、というより隠されもせずに侮蔑の感情が込められていることが分かる。
ただ、どこか機械的な声にも聴こえることがプレイヤー達には若干の疑問にもなっているようではあるが、大多数にはあまり気にされてはいない。
「え、何これめっちゃ違和感あるんだけど。どっから聴こえてんだ?」
『貴様らには我の配下による説明でも十二分どころでは無いだろうが、今回は我の威光を示すためにこうして脳に直接伝えているのだ。精々地面に這い蹲って感謝することだな』
「こいつ直接脳内に……!?てかすげぇな、典型的が過ぎる悪役感だ」
「聴こえてたらどうするつもりだよお前」
「なんくるないでぇ!?脛は良くないって!?」
「またネタ要員になってる…」
『敬意を払わぬ愚か者がいるようだが、そのような者には天罰を与えてやらねばな?ありがたく受けるが良い。さて、姿も見せてやらねば頭の足りぬ貴様らには真の恐ろしさが分からぬだろう?折角だ、その目に焼き付けるが良いわ!』
声の主と思しき者がそう言うと、闇に覆われていた空に突如として全身鎧の人物の姿が映し出される。何かの骸などで装飾された玉座や黒などの暗色を基調とした装備は、見ているだけでも恐怖感を与えるには十分過ぎる程だろう。
『フハハハ、どうだ?言葉も出ぬか?』
「……、…?……???」
「………?…!」
【ねぇ、これもしかして本当に言葉が出なくなる感じ?】
【あぁ、多分。強制沈黙とかだろうな】
【あ、これってそういう?】
ルヴィスが声すらも出せずに困惑していると、それを何となく察したノエルがチャットによる会話に切り替えた。
他の者も言葉が発せないことに気付き、それをどうにかしようとポーションなどを使用してはいるがどうやら効果は無いらしい。しかし数分もすればチャットや掲示板(こちらは元からだが)による会話にすべて切り替わるだろう。
『ふむ、この程度の威圧で口も開けぬとはなぁ…?まぁよい、本題に入ろうではないか。今回我がこうして姿を見せたのは我が国の繁栄、そして貴様らの全てを征服するための前座である』
【やべぇめっちゃ煽ってくるじゃんあの推定魔王】
【典型的と言えばそうだが、言動がヘタれてる魔王よりかは楽しめるよな】
【今喋ってるのが本体と見せかけて実は宰相とか影武者オチもたまにあるわね】
『とはいえ触れれば無残に散るような者共に我が軍の強者を送り込むのも余裕がない愚か者の行為、そして何より徐々に絶望に染まっていくのが見れないのではつまらぬからな。その土地にいる魔物よりいくらか強い者を配置してやろう。足掻き、己の非力を嘆くが良いわ!』
【つまりどういうことだってばよ】
【フィールドにいるやつより若干Lv上のやつが出てくるよ!ってことじゃないかしら?】
【流石にいきなり200も300もあるようなのが出てこられても俺らプレイヤーはどうしようもないからな】
【死ぬまで殴れば実質ノーデスでは?】
【さてはデスペナ一切考慮してねぇなこいつ?】
『本来ならばこのような予告もせず襲って蹂躙するのだが、それもそれで面白みに欠けるというものであろう?よって翌日明朝、貴様らで言うと一の鐘であったか。その時にでも始めようではないか。それまでに精々準備することだな!ハーッハッハッハッハァ!』
名前も明かさぬままに高笑いをしながら空に溶けるように消えていった恐らく魔王と思われる存在。それの姿が完全に見えなくなると、同時に今まで一切声を発することが出来なかった口が自由になった。それと同時に空も元の青さを取り戻していく。
「…消えてったな。あ、喋れるようになってる」
「言ってから気付くのかよ。んで、今回はどうする?参加するか?」
「あー、前のレイドはやめたものね。私としては今回は出てもいいと思うけど」
「というか結局どんなイベントなんだろうな?って、また通知か」
「えー、イベント担当管理人からの詳細内容説明…なるほど」
「……パッと見た感じ、討伐系イベントっぽいな」
「討伐数とか与ダメとかにランキングが設定されてて、上位入賞者には特別報酬があるみたいね。イベント限定素材を使った武器やアイテムの品質とかによって生産職にもランキングとかあるみたい」
「うーん、上位はキツいんじゃないか?目指すとこまでは目指してみたいけど」
「そこら辺は始まってからどんなもんか確かめてみれば良いんじゃないか?始まる前から考えてもあんま意味無いだろうし」
「とりあえず、消耗品とか補充した方が良いんじゃない?」
「それもそうか。ポーション類はレミアのを買うとして、他もどうにかしないとな」
こうして三人は明日の朝から始まる、そして三人にとって初のイベントに向けて準備を進めていく。
目指すは…まだ決まってはいないが、それでも三人のやる気は十分であった。
※前話のと今回のとは同一人物です(どこかしら小物感が滲み出てる感が否めませんが)




