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46話 見えない果て

石貯めます(揺るぎない意志)


追記 セイバーウォーズⅡ来たので貯められません我慢できません(揺らぎまくる意志)

「よーし、やっと貯まったぞ。後はあるかどうかだけど」


 魔術を纏った状態で他戦技の発動が可能かなども試しつつクエストを全て達成させたルヴィスは、今度こそ防具を買うためにキャメロ商店に向かっていた。


 ただ、今回防具を一式買い揃えたところで憤薔の軽鎧があるため胴だけは装備しないことになる。一式装備ボーナスもあるにはあるが、それを抜きにしても十分だろうと考えているようだ。


「流石にこの時間だと並んでないか。もう夕方だしなー」


 二日前に来たときも開店待ち込みでの列が出来ていたが、今はその時よりも大分遅い時間だからか列自体は無くなっていた。


 ただ店内に入ればある程度は客もいるようで、即決で装備を買っていく者やどれが良いかと吟味している者などが見える。


「いらっしゃいませ。…おや、以前もご来店なさいましたね?薔薇の鎧の方」



「え?あぁはい。…これ、そんな目立ちますかね?」



「目立つ、というよりも気になるの方が近いらしいです。店主のアミザ様がそうおっしゃっていました」


 そういう情報を客にバラして大丈夫なのかとルヴィスは思ったが、特に気にした様子も無く店員が話しているため良いのだろうと判断した。


「して、どのような防具をお探しですか?見た感じでは軽戦士用の防具でしょうか?」



「そうですね。Lv50から60帯での物が」



「分かりました。そちらなら少し左奥の方にありますので、自分に合うものをお探し下さい」


 場所自体は覚えていたため、そこからは迷うこともなく軽戦士用エリアに進む。まず確認するのは以前見た一式が残っているかどうかである。


「確かここに…無い、かぁ……」


 その装備はと言うと、値札が付いていた所に謎の言語と共にSOLD OUTと書かれた木の板が置いてあった。あの後間違いなく誰かに買われたのだろう。


 とはいえこれもルヴィスは一応想定していたことではある。望んでいたものが無いからと言って店員に文句を言うような器の小ささでは無いのだ。多分。


 ということで他に資金を超えない範囲で良さげな物は無いかと探すこと数分、様々あった中でルヴィスはある装備に決めた。


__________________________________________

魔鈷鉄(マギコバルティアン)軽装具一式 評価五 製作者:テリヴァス



 魔鉄とコバルトの合金で作られた軽戦士用装備一式。鋼より多少軽く、魔術発動の阻害も魔鉄により軽減されている。耐久性では鋼に劣るものの、軽戦士ならば避けてしまえばどうということはない…らしい。


一式装備時:防御+500、敏捷+25、魔力-10%

頭装備時:防御+90、魔力-2%

胴装備時:防御+120、魔力-6%

腕装備時:防御+80、敏捷+5、魔力-4%

腰装備時:防御+100、魔力-4%

脚装備時:防御+90、敏捷+10、魔力-4%


装備推奨Lv55

__________________________________________


「これ、良いな…?魔力はまぁ、アレのおかげで有り余ってるからどうとでもなると思おう。んでもって値段値段……」


 改めて値札を確認すると、そこには350000Gの文字。余裕をもって稼いだつもりだが若干不安になったルヴィスが所持金を確認すると、そこには365240Gと表示されている。


「うっは、念の為余分に稼いどいてよかったぁ…肉も売ったのが正解だったなこれ。よしこれに決め」



「お決まりになりましたでしょうか?」



「うえぁ!?いつからそこに!?って近っ!?」



「私に原因はあるのですが、当店ではお静かにお願いします。あまりにもアレですと店主様が…ね?」



「いやそれ店員が言って…というか言い方悪いですけどとっつきやすいですね?」



「それに関しても店主様のご意向で。こちら側は客への礼儀が欠けぬように、そして客が肩の力を抜いて自分にあった物を選んで欲しいとの事です」



「へぇ…あぁそうだ、このマギコバルティアンのやつ買います」



「お買い上げありがとうございます。代金をあちらの方でお支払いになられてからのお渡しとなりますが」



「分かりました」


 こうして、晴れてルヴィスは適正Lv帯の防具を手に入れた。


「うん、まぁ胴だけインベントリの肥やしになるけど…許せ」





「『クリスタルクリエイト』、……よっと。うーんこの虚無感」



「取れそうか?」



「いや全然分かんねぇ。回数こなせば取れるってのは分かっててもその回数が分からんもんだから先が見えない」


 あれから数日後。シオンとノエルは変わらずLv上げを、ルヴィスは『投擲』を取得するためにひたすら結晶を生成しては砕けるまで壁に投げ、砕ければ再生成してまた投げるを繰り返していた。


 スキルを取得するには現状三つの方法が確認されている。まず一つはスキルブックによる取得、これは過去にあったレイドでのMVP報酬としても配布されているが基本的には極稀にダンジョンで発見される程度のためこの手段での取得はとても難しい。


 二つ目は称号による取得で、こちらは既にどのような行動をすれば良いのかなどが確立されているものもある。例を挙げると毒物を五十回食す事により得られる"悪食"で取得する『状態異常小耐性』、PKKを百回達成すると得られる"断罪者"で取得する『天秤の剣』である。


 そして三つ目はルヴィスが今やっている決められた行動をただひたすら繰り返して取得する方法。これは他に比べると実行さえすれば『初級〇〇術』などの戦闘系スキルを確定で取得出来る…のだが、その回数に問題がある。簡単に言えば個人差があるのだ。


「百か二百か、それ以上なのかすら不明ってなると余程じゃないとガン萎えして諦めるんじゃないかこれ…」



「その人の、身体能力にもよるんじゃないかっ、て掲示板とかだと噂されてるけどな。……っとぉ!ぁあッ!」



「…話せる余裕があるのなら、もう一つ追加する?」



「勘弁してくれ、四つは流石に潰れる…」


 そしてこの日はリーネスがこちらを訪れていて、今はシオンに向けて歯車を飛ばして避けるか逸らすかを咄嗟に判断する力を鍛えているようだ。


 ただ相手に向けて飛ばすだけなら普段通りの姿でも良いようだが、今回はフェイントをかけたりと複雑な操作もしているため以前にも見せた十八歳の姿になっていた。こちらの方が色々と扱いやすい、とリーネスは言う。


「ふーん、じゃあちょっと速度上げるね」



「えっ、うおぉ重っ!?待て、ヤバい!腕もげる!」



「大変そうだなぁ……あ、砕けた。魔しょ…MP切れか」



「あ、いたいた。ルヴィス、レミアから食材調達を…あの人は?」



「ん?あれリーネスだぞ?普段があのちっこい姿で、力出すときはああなるんだと」



「魔法少女感がすごいわね…じゃなくて、行く?」



「あぁ」



「行ってらっしゃーい」



「あーっ!あーーーっ!?」

『天秤の剣』は雑に言えば犯罪者特攻が付与されるパッシブスキルです。お決まりの如く罪の重さによってダメージも変動。

そしてマッチポンプ(取得するために協力者がPKしてそれを殺す)では取得できないため非常に面倒…というかこれ取得出来るプレイヤーいる?な状況になってます。

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