45話 知ること、分かること
バビロニア勢誰も出ませんでした(全ギレ)
『月魔術』のLvアップによりノエルが取得したものは『魔集月障』というもので、恐らく魔術を吸収する障壁的なのを出すのだろうが実際どうかは分からないようだ。
「そういえばレミアも『月魔術』使えるんだっけ?」
「まぁそうだけど、どんな効果なのかは使ってみた方が早いんじゃないかな?」
「なら、そうしようかしら。えーっと…〈其は魔なるものを引き寄せ輝く月となり、光は禍転じて祝福となる〉。『魔集月障』」
詠唱を終え発動すると、ぼんやりとした白い光を放つ円い障壁が前方に張られた。
「若干光ってるんだな。いざという時の光源に…使わないか、そんな事態になることがまず無さそうだし」
「確か『暗視』とかもあるから頑張ってそれ取得すれば良い話だからな。んで、発動したのは良いけど誰がこれに向けて撃つんだ?」
「あ、それならルヴィスに。それでも良い?」
「良いぞ。てか説明はしたけど実際にどんなか見せたこと無かった気がするし、ついでにそれもやるか」
「あっ、効果時間切れた。もっかい張り直すから準備しといて。……結構消費MP高いのねこれ、35持ってかれてる」
どうやら発動してから十秒程が維持できる時間のようで、改めて発動している間にルヴィスも『クリスタル・クリエイト』で生成しておいた。
「…思ってたより小さいのねそれ」
「これでも最大MPの半分使ったんだけどな?んじゃ、投げるぞー」
そして山なりに投げられたピンポン玉程の結晶は障壁に触れたが破裂するも事なく、速度を保ったまま吸い込まれるように消えていった。
それと同時に今までぼんやりとしか光っていなかった障壁が少しだけではあるが明るさを増した。
「まさか抵抗もなくすり抜けるように消えるとは」
「やっぱり魔術を吸収するのね。…なるほど?」
「どうかしたか?」
「いや、自然回復分除いてMPが追加回復したのよ。ルヴィス、さっきのでMPどれだけ使った?」
「半分だから、ピッタリ30だな。回復量は?」
「確か3だったから、相手の消費分の一割回復だと思うわ。後はどこまでの威力に耐えられるかだけど」
「確か中級までは確認されてるんだっけ?複合属性は『魔力制御』がどうこうって言ってたからまだだろうし」
「というか、障壁の耐久値的なのって多分見れるよな。昨日あった一部システムが云々ってので戦技とかの詳細が確認できるようになったし」
「あ、そういえば何が解放されたのか見てなかったな。インフォ見とくわ」
「ルヴィス君はまぁ、ねぇ。んで、どうだったかな?」
「確かに見れたわ。でも耐久値というよりは吸収上限って感じみたい、発動時間とかも関係するのかしら?」
「どうなんだろうな?こっちの上弦は耐久値設定だったけど。大体痺小鬼の攻撃十回分だったな」
そこから少ししてルヴィスも確認をし終えたようで、今は『ピンポイント・ブレイカー』の情報を見ているようだ。
「やっぱ武器の耐久一割削れるのかぁ。でもスキレで割合減少……なぁシオン、詳細確認のことさっきなんで教えてくれなかったん?」
「あーー…なんでだろうな?」
「いや俺に聞かれても困るんだけど」
「まぁそれはともかくとして、そろそろ切り上げて寝たほうが良いんじゃないかな?とは言ってもまだ普段寝るくらいの時間ではあるけどね」
そう言われて時間を確認すると、現在時刻は22時になる数分前。確かに普段ならそろそろといったところである。
「うーん、まぁ戦技の詳細とかは明日とかでも見れるか」
「じゃあ今日はもう寝るか。明日もやることほとんど変わらんだろうけど」
「まぁ私達はね。ルヴィスはどうするの?」
「装備のための金稼ぎと、壁当て…でいいのか?多分その二つになると思う。アレ投げる以上は『投擲』があった方が便利そうだし」
「自力でのスキル取得は中々面倒らしいが、何とかなるか」
その後も明日何をするかを話し合い、この日は終わっていった。
二日後、ルヴィスは剣を受け取るために再び燕子花の武具店に向かった。
「ほらよ、ロザリエディザイアだ。受け取りな」
「ありがとうございます。…思ったより派手な見た目じゃないんですね」
「そんな無駄にゴテゴテしたとこで扱いにくいわ作りにくいわでほとんど良いこと無ぇからな。ついでに攻撃力も耐久値もガン下がりするおまけ付きだ」
「そこまでいくと貴族の人が自分を良く見せるためのファッションアイテムになりません?」
「違いねぇ」
当然だが街には領主が、未だに到達したプレイヤーはいないが首都と呼ばれる場所には貴族王族が存在する。依頼にも極稀に貼られていたりするが、報酬も豪華な分その難易度は高い事が多い。
その中でも、というよりプレイヤーからも依頼されて厄介なものが装飾を施した武器の納品で、『鍛冶』以外にも『金属細工』などの様々なスキルを必要とされる。要するにとても面倒なのだ。
「つーか装備はどうしたよ。やっぱ欲しいもんが売り切れてたか?」
「いやー、金が足りなくて…あと少しで貯まるんですけどね」
「ははぁ、なるほどな」
「それじゃ、あと少し稼いできます。ありがとうございました!」
「おう、また贔屓にしてくれや」
「よし、豚狩りついでに試してみるか」
所変わってパロク高原、ここでルヴィスはクエストをこなすついでに魔術を纏うとどんな感じなのかを確かめようとしていた。
今回尊い犠牲になる相手はやはりというべきか草豚魔。武器も新調したのだからソロでもなんとかなるだろうという判断により選ばれたようだ。ついでに肉も落として欲しいというのがルヴィスの本心ではあるが。
「さて、どこに…どこ……え、いなくね?でもとりあえず『四ノ剣-上げ」
「ブゴオォォォォ!!」
「ん』んんん!?後ろにいたのかよ!」
背後からの奇襲の一撃であったが、もしもの時を考慮して発動しかけていたものが今回は役に立つ形となった。なおこれは掲示板で慣れたら簡単!ソロの立ち回り講座という謎の板を偶然覗いていたから出来た事である。
ゴガァン!という妙に金属じみた音を立てながら拳による攻撃を防いだD字型のシールドは、この一回だけで全体的に罅が回っている。次防ごうとすれば受け止めきれずに割れてしまうだろう。
「でも今回犠牲になるのはお前の方なんだよ!〈魔晶よ、ここに在れ〉、んでもって剣を指定して全MPで『クリスタルクリエイト』!」
「ゴアァァァ!」
「だよねじっくり確認させてくれるわけないね『スウィフトステップ』!…どっかの傭兵のミートボールかな?」
今度は攻撃を避け、結晶を纏った剣がどんな感じかと見て最初に出た感想がこれである。酷い感想だ。
だがルヴィスが想像していたのは全体的に結晶を薄く纏った剣であり、某傭兵の聖剣のように剣先に結晶が集中している結果を期待していたわけではない。
「まぁ、まぁいい。じゃあこれまた実戦初投入、『九ノ剣-下弦』!結晶のおかわりもあるぞ!」
「ブガァ!?オォォォォ…!」
「あら強い。あの結晶スリップダメージに使えるの便利だなーっと!」
先程の上弦とは逆のD字を描きながら腹に傷を付けていくと同時に、剣先の結晶が破裂し傷口に突き刺さり更にダメージは増加する。
『九ノ剣-下弦』は傷を付けた範囲内へのダメージを三十秒程だが増加させる戦技で、そこにはスリップダメージも適用される。そのため結晶片によるダメージとそれ以外で普通にルヴィスが攻撃している分とで草豚魔のHPはガリガリと削れていく。
「オラ肉落とせ肉!あれ普通に美味いし売れば金にもなるしで得しか無いんだよ!」
「ブギイィィィィィ!!」
そしてたまに攻撃をもらいながらもボコすこと数分、ルヴィスは倒すことに成功した。が、肉は落とさなかったため再び近くにいる草豚魔を探し始める。
「……なるほどこうしてあんな感じの集団が出来るのか」
本文でも説明されましたが、武器に装飾を追加するとそれに応じて耐久値、攻撃力が、盾なら攻撃力の代わりに防御力がダダ下がりします。なお装飾に失敗したらその時点で武器にもならなくなるので、ただ素材を余分にゴミにしただけという悲惨なことになります




