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44話 金欠に新戦技

ドゥ出ません!(半ギレ)

「では、こちらが報酬金合わせて85000Gとなります。ご確認下さい」



「一、ニ、……ありがとうございます」


 計五つ受けたクエストの達成報酬金が間違っていないかを確認し終えたルヴィスは、併設された酒場のカウンターに座っていたアーティの隣に座った。


 この世界にも当然酒場があるとはいえ、未成年者がそこで酒を飲めるわけではない。酒店で買ってそれを飲むことは可能ではあるが、口に含んだ瞬間酩酊の状態異常になると判明しているためそこまでして買うような未成年プレイヤーはいない。


「お疲れさん。んで、お前はこっから宿に帰るだけって感じか?」



「すみません、何かつまめるもの一つお願いします。……まぁ、そんなとこかな。まだ欲しい物に全然届かないし」



「へぇ、なんとなく想像はつくな。俺は防具を更新するためと見たぞ、その胴以外明らかに適正防具じゃないし」


 途中で頼んだ物が出てきたため、それをつまみながらも二人は話を続けていく。ちなみに出てきたのは塩漬け肉と芋の燻製だ。


「お、美味い。てかやっぱこれが適正な訳無いか…あぁそうだ。金の配分はどうする?半々でも良いと思うんだけど」



「馬鹿言え、それじゃ俺の取り分が多すぎるぜ。あってもこっちが三割だろう」



「うーん、じゃあそうするか。十等分してその三つ分だから……これだけだな」



「サンキュー。じゃ、これで解散だな。……結局情報ゲロらなかったか、その鎧がもしかしたらってのも考えたけど分からず仕舞いだし」



「さて、どうだか。でも推定再戦不可、したとこでどうせデスゲーム化するようなやつの情報なんざあっても無駄なんじゃねぇかなぁ…?」



「もしかしたらの可能性にかけてなんぼよ。…にしたってそのつまみ酒に合いそうだな。俺も頼もうか…」



「どっちでも良いんじゃないか?俺はもう行くけど。あ、お代ここに置いときますね」



「マジか500Gか。よっしゃ頼もう、マスター!俺にも隣のが食ってたの頂戴!あ、じゃあなー。次あった時は何かしら引き出してやるから覚悟しとけー?」



「隠せるような情報があったら話すかもな」


 最後まで探られながらも別れたルヴィスだったが、その後は特にトラブルも無く帰ることができた。


 ただ、ギルドを出て少しした辺りで肉だ肉だと騒ぐ声が聴こえだしたため、アーティか他の誰かによる草豚魔(グラスオーク)の肉の提供があったのだろう。ルヴィスも気にはなったが、自分も持っているため戻ることは無かった。





「いーしゃんりん……あ、帰ってきた」



「ただいまー…珍しく店主やってるんだな」



「珍しくって…まぁそうだけども。来るか分かんないけど一応ここにいる感じさ。ここだとあの箱の解析は進められないけど、魔術を多重発動する練習なら出来るからそこまで暇でもないね」



「へぇ。ちなみにだけど最大いくつ同時に発動出来るんだ?前見た時は九つだったけど。……それでも十二分にとんでもないな」



「まぁ、伊達に管理人やるついでに数百年生きてないよ。とはいえまだ十の大台に乗ってないからとりあえずそれが目標かな」



「一体何を目指しているんだ……そういえばシオン達は?Lv上げ?」



「そうだね。というかそれ言うなら君もだよ?剣の作成依頼だけじゃ無かったんじゃないかい?」



「あーー……まぁあれだ、ついでに防具更新しようとしたら圧倒的金欠だったから金稼ぎのためにクエストやりに行ってた」



「何とまぁ…それで、金はなんとかなったかい?」



「金はまだ全然。後一週間くらいやらないと足りないかもしれん」



「結構足りないねぇ。さてと、そろそろ二人も帰ってくるだろうし夕食の準備でもするかな。ルヴィス君も手伝ってくれるかい?」



「オッケー。あ、草豚魔の肉あるけど使う?」



「おっ、良いね。じゃあ、今日はポークシチューかな」







 シオン達も帰ってきて夕食を食べ終えた後、ルヴィスは使おうとしたがとある事情(ほぼアーティのせい)で使えなかったあるスキルを試すために検証場に足を運んでいた。なお他の面々も少し離れた所から見ている。


「相手は…まぁ普通のカカシでいいか。名前的に部位破壊特化みたいな感じだし、当てるとしたら頭部かな…詠唱いるんかこれ」


 そう呟きながらルヴィスは剣先が頭部に向くように構え、それを発動させる。


「〈穿ち、壊せ〉。『ピンポイント・ブレイカー』!…え、貫通するの?これ」



「いや、それまだ見た感じ発動終わってないから気を付けたほ「うおぉ!?爆ぜた!?」……遅かったか」



「なんかもう、彼ってネタ要員みたいになってない?ギャグ的にも機密的にも」



「なんというか、否定できないわね。まぁ他のプレイヤーが皆正直者って訳は無いでしょうし、なんならルヴィス以上の爆弾抱えてる人がいるかもだけど」



「それ考えたところでどうしようもないってのもあるがな。おーい、生きてるかー?」



「あの反動で死んだら笑い者だっての…おぉ、見事なデュラハン。頭抱えてないけど」


 ルヴィスが得た称号"穿憤"により取得した固有スキル『ピンポイント・ブレイカー』、それは未だLv1とはいえ中々に強力であった。


 他のカカシでも検証したところ、低確率ではあるが防御貫通能力持ちに加え部位破壊に他戦技以上に補正がかかるというもので、その補正はかなり強力である事が判明した。


 ただ当然デメリットもあるらしく、これを使うと武器の耐久値も問答無用で一割ほど削られてしまうのだ。しかもそれは今の耐久値からではなく元あった耐久値からの減少のため、どんな高性能な武器であろうが『ピンポイント・ブレイカー』を十回発動するだけで確実にお釈迦になってしまう。


「うーーん…強いんだけど、強いんだけどなぁ……」



「推測だが、スキレ上がる毎に耐久値の減少率も減ってくんじゃないか?防御貫通の発生率上昇とかもありそうだが」



「どちらにせよ使い道は限られて来るわね…それを使う用の武器を持つにもその分お金かかるし」



「まぁ、そこは追々考えていけば良いんじゃない?それはさておき、シオン君達も何か新しく覚えたりはしてないのかい?『鬼化』とか『魔族化』でさ」



「ん?あぁ、一応一つだけLvは上がったな。つってもまだ6だからルヴィスのが知ってるんじゃないか?」



「確か『一鬼討宣』ってのが使えるようになるんだっけ?字は…こんなで、タイマンの時に発動すると防御が一割下がって攻撃に加算されるってやつらしい」



「らしいって…あ、掲示板情報か?」



「何故バレたし」



「いやそりゃバレるわよ…あ、『魔族化』のLv6では『魄奪セシ魔倪(ゲイズ・ヴィトレイト)』ってのが使えるようになるわね。シオンは知ってるけど、一時的に敵をこっちの手駒として扱えるようになる戦技ね」



「へぇ。上手いこと使えば……そうだな、臨時の肉壁要員とか二人で一人系のを引き剥がして精神的にダメージ与えるとか出来そう」



「えっ?」



「「えっ?」」


 瞬間、シオン除く三人の間で謎の空気の凍り付きが発生した。それを見たシオンは思い出したかのように頭を少し掻きながら口を開いた。


「あー、こいつたまに素でエグいこと言い出したりするんだよ。レミアの方はさて置き」



「そんなかぁ…?実際の悪魔とかなら平気でそういうことやりそうだけど」



「いや、その発想自体が悪魔のそれなのよ…」



「でも実際使うとしたらそういう使い道のが多いと思うよ?良心が痛むなら使わないのも手だし」



「それもそうなんだけど…あ、あと『月魔術』の方もLvが上がったからそっちがどんなか説明するわ!」


 話を露骨に逸らした事にルヴィス達も当然気付きはしたが、それを掘り返しても意味が無いと判断してそのまま聞くことにした。

酩酊の状態異常ですが、それになると防御力と敏捷半分に加え視界の歪み、高確率で戦技の誤爆が発生するものです。それでもなお飲み続けた場合は急性アルコール中毒になってエグいスリップダメージくらってほぼ死にます。現実でもそうですが酒は飲んでも呑まれないようにしましょう。


魄奪セシ魔倪は自分よりLvが5以上低い相手にのみ成功します。魔力と精神のステータスの合計値の高さやら相手のLvがどれだけ低いかやらで成功判定や効果持続時間なども延びます。

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