3話 初戦闘とレアドロップ
「よし、ここだな。さてさて、この世界のゴブリンはどんな感じかな?」
「どこも大体同じだと思うがな。で、作戦はどうするよ?ルヴィス」
「作戦なー………うん、考えてねぇ!」
「えぇ……」
二人は受けたクエストに指定されている場所であるアニスの森に着いた。クエストの内容はこうだ。
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難易度 白
ゴブリン×4の討伐
いつもアニスの森で薬草などを集めているのだが、
その採取する場所の一つにゴブリンが
居座ってしまった。
どうにかしてくれないだろうか?
見た限り四体だったがまだ何体か
いるようならそれらも倒して欲しい。
その分報酬は追加しよう。by薬屋
報酬 300G+50×追加討伐数
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二人が素材採集のクエストを同時に受けなかった理由は二つある。一つは純粋に難易度白のものが無かったこと、もう一つはクエストを同時進行して失敗したらどうしようというルヴィスのビビりが理由だ。
シオンはその考えを聞き、白では無いにしろ一番易しそうだった素材クエストを諦めてこのクエストに集中することにした。
そんな二人の隠れている数メートル先では四体のゴブリンがそれぞれバラバラに行動していた。川が近いからかそこで釣りをしようとしていたり、それを釣れるのはまだかと焚き火の前で騒いでいる(ように見える)ゴブリンなどがいる。
見た目は他のゲームなどでもよく見かける薄汚れた緑色の肌をした小さい子供のような感じで、実際に見ることができたという事実にルヴィスは心の中で少し喜んだ。
「……普通に知性はあるっぽいな。考え無しに突撃するのはゴブリンより頭悪いって自分から言うようなもんだなこれ」
「となると、どっかから奇襲をかけるか?でも二人とも弓とかの遠距離攻撃系は持ってないぞ?」
「うーーん………どうにかして一体だけ他と孤立してくれたら良いんだが」
「そんな都合よくいくわけ無いだろ。若干運の値が高いって言っても誤差みたいなもんだし」
「だよなぁ。じゃあ…そこで釣りしてるのと、それを待ってるやつ以外の二体を一人一体ずつ倒してから残りも対処するか」
「オッケー。一体なんだからやられるなよ?」
どうするかを決めた二人はそれぞれ倒すゴブリンの近くに移動した。ルヴィスの方は棍棒のようなものを持ち周囲を見回り、シオンの方は杖らしきものを持ちそれを振っている。二人は互いに見える位置に移動して合図をすると、同時に飛び出した。
「せいっ!あっやべ軌道めちゃズレた……」
「グ?ギゲゲゲッ!?ギャギャギャァ!」
「あ、棍棒折れてる。よかった外さなくて」
奇襲に一応成功し、棍棒をへし折ったルヴィスはゴブリンが動揺しているうちに倒した。始めて何かを殺したことで若干気分が悪くなったが、そんなことを気にしてられないと思い嫌悪感を振り払った。
「慣れたくないけどこの感覚に慣れなきゃなっと、シオン、流石に気づかれたっぽいぞ」
「うわ、即席松明持ってこっち来るじゃん……だいぶヤバくないか?」
シオンが言うように残ったゴブリン達は近くの焚き火から手頃な枝を選びそれを持ちながらこちらに迫っている。先程と同じように近接戦闘をしようものなら燃やされてしまうだろう。そこでルヴィスが何かを考えついた。
「シオン、ゴブリンが持ってた棍棒はどうした?」
「それならへし折って地面にそのままだが……なるほど、やってみるか」
シオンも何がしたいのかを理解したので二人は地面に折れたままで放置された棍棒を拾いこちらに来るゴブリンに狙いをつけた。あと数メートルで完全に近づかれてしまう。
「リアルでのクソエイムが発動しないと良いんだけどな。準備できたか?できたなそぉい!」
「確認した意味ねぇじゃん!?えぇい、ままよ!」
二人が投げた折れた棍棒は鈍い音を立てながらルヴィスの方は片方の頭部に、シオンの方はもう片方の右腕に命中した。
「グベッ!?ギュ、ギュギャアァァァ!!?」
「ギッ!ギョギャゲーーッ!?」
棍棒が当たったことにより、ゴブリン達はそのまま即席松明を取り落とし、ルヴィスが当てた方は運悪くその火が着けていた腰巻きに引火してしまった。燃えなかった方は驚きながらどうにか仲間の火を消そうとしている。
「……なんか、悪いことした気分だ」
「そんなこと言ってないでほら、やるぞ。そうじゃないと達成出来ない」
「あぁ……よし、俺に任せてくれないか?」
「良いぜ。早く慣れてくれよ?俺もそんな慣れてないけど」
「すまんな」
ルヴィスは未だに火を消そうとしているゴブリンも倒した。燃えていた方はすでに死んでいた。
「……よし、慣れた慣れた…うん」
「めちゃ無理してるだろお前…ん?なんか落ちてるな?」
心配しながらルヴィスに声をかけたシオンは、ゴブリンの通常ドロップ以外に何かが落ちているのを見つけた。
ドロップ品はモンスターがほぼ確定で落とす通常ドロップである魔石以外に、たまに落ちるレアドロップがある。レアドロップは確率は様々だが大抵は高価で売れる物だったり強力な武器だったりと基本的に良いものが多い。
魔石も一応そのモンスターの強さごとに大きさも異なるのだが、レアドロップに比べると流石に高くは売れないらしい。
「初戦闘でレアドロあるのか、運が良い。シオン、確認してくれない?」
「あいよ。これは…首飾りっぽいな。どんな効果なんだろうか」
「多分ないだろうけど、装備したら悪影響を及ぼすものだったら困るからな。仕舞っといてくれるか?」
「オッケー。……よし、これで達成だな。落ちてる魔石も拾って戻るか」
「あ、帰る途中で遭遇するとかありそうだから気は抜かないようにな」
二人はいつ戦闘になっても対処出来るように警戒しながら来た道を戻ったが特に何事も無くネレモアのギルドに戻ってきた。
「達成時も受付に行けばいいんだよな?」
「まぁそうだろうよ。てことで行くぞルヴィス、俺もついていくから」
「そのまま報告もしてくれればいいのに……いやなんでもない。すいませーん」
二人はクエストを達成したことを伝え報酬の300Gを受け取った。ついでにレアドロップの首飾りがどういうものなのかを知りたい時はどうすれば良いかを聞いたところ、金はいるが鑑定もギルドでしてくれることが分かった。
ここまでの説明と達成報告の受理をしてくれた職員は前と同じ人だった。ルヴィスが知っている人を選んだというのもある。
「では、鑑定員を呼びますので少しお待ちください」
「はい。……そういやこの世界って鑑定のスキルとか無いのかな?ありそうなもんだけど」
「あるにはあるけどレアスキルとか、そんな感じかもな。流石にスキルには劣るけど鑑定してくれるアイテムとかあれば重宝するんだろうが……お、来たぞルヴィス」
鑑定員が来たので早速首飾りを見せ、鑑定してもらった。鑑定自体は十数秒で終わり、鑑定結果も見せてもらった。二人は代金の150Gを折半して払った。
「鑑定して下さりありがとうございました。ところで…」
「どうなさいましたか?」
「鑑定員さん、瞳に何か魔法陣?らしきものが見えたので……あれは瞳に何かを刻印しているのですか?」
「そのことでしたか。彼ら鑑定員は鑑定瞳というスキルを生まれつき持った人達で、そのスキルを持っているとあのような感じで瞳に魔法陣のような模様が浮かぶのです。特定の種族がなっている訳ではなく、どの種族でも稀に生まれるようです。」
「なるほど、ありがとうございます。……鑑定っていうスキル自体はあるんですか?何度も聞いて悪いんですけど」
「ありますよ。とは言ってもダンジョンの宝箱に極稀にそのスキルブックが入ってる位の珍しさですけれどね。あ、スキルブックというのは読んで理解すれば即座にスキルが手に入る不思議なアイテムです」
「そんなアイテムもあるんですね。すみません、ありがとうございました」
聞きたいことも聞けて日も暮れてきたので、二人はギルドを出て宿を探し、いい感じの場所を見つけたのでそこに泊まることにした。
代金は一人300Gなので結局赤字だが、ここから稼ごうと二人は意気込み眠りについた。
レアドロップは場合によっては0.0022%という鬼畜仕様になる場合もあるようです。その分強力なアイテムになる場合も…?




