38話 無作為の誘惑
9000円分のGoogle Playカードを買おうとしてApp Storeのカードを間違えて買って削ってから気付いたアホがいるらしいですよ?(500ml魔剤飲んで落ち着きました)
36話で出たスキルが無いと云々という話の補填
・当ゲームで対応するスキルを持たない状態でその武器を扱う場合、攻撃力は該当する武器の初級スキルLv1状態の0.7倍になり、当然戦技(詳細はヘルプその5をご覧下さい)も使用することは不可能なのでご注意下さい。(ファトゥムオンラインのヘルプその4〜武器を扱う時の注意点〜より)
つまり初級〜〜術Lv1で10のダメージを与えられても、そのスキルを持っていない以外の条件を同じにしても7しか与えられないということです。複雑!
検証場に、邪花木薔薇の形をしたカカシと戦う男とそれを見ているもう一人の男がいる。戦っている方は使う武器に慣れないようで、今はどうにか攻撃を回避したりと攻めあぐねているようだ。
「クッッソ扱いづらいなこの武器!?どっちのスキルも無いから微妙だし、やっぱり新しく剣作って貰ってからのが良かったかっと、『逆上血牙』!ついでに『アクセルダッシュ』!」
「shwrrrrrr!!?」
「あれは、茨か?血みたいな色してるけど…てか動きが早くてよく分かんねぇな、やっぱLv上げなきゃ駄目か?動体視力も多少なりとも上がるだろうし」
見ている方が自身のLv上げをどうするか本気で考え始めているが、そんな事で一時停止する訳もなく戦闘は続く。
戦っている方が発動していた『逆上血牙』は所謂カウンター系の戦技で、受けた攻撃の威力などを参照して相手に反撃をするようだ。憤激の薔魔人が使っていた血の色をした茨によく似た反撃は、そのまま邪花木薔薇の形をしたカカシを怯ませる。
「なるほど、こう使うのか。じゃあ後はコレを倒せるかどうかだな!」
「kyyaaaaaa!」
「シオンー、レミアさんが自室に引き篭もったから夕食作りを…うわ、スネークソードが絡みついて…あ、引っ張られて転んだ」
「初めて扱う武器が二つ合体したようなやつだからそりゃああなるわな。というかあれ使いこなせる人いるのか?」
「うーん、掲示板とか見てると二刀流プレイヤーはいるみたいだけど、完全に違う武器を複数扱ってる人の噂なんてこれっぽっちも無いのよね。秘匿してる可能性はあるけど、そんなことしてた所で既にバレてそうだし」
「戟だけ、スネークソードだけを使うプレイヤーはいるみたいだが、どちらもそれ単体でしか使ってないみたいだしな。まぁそもそも、異なる二つの武器をあんな風にくっつけようとする発想自体大分イカれてるような気もするが」
イカれてるとまで言われる武器こそが今ルヴィスが扱っている戟蛇剣と言う物だ。これは柄が中心にあり、片方には戟が、更にもう片方にスネークソードの刃が付いている全長二メートル半程の武器で、実際に扱うとロマン武器と言われる類の物だということが分かってしまう。
その能力を引き出そうとした場合には戟術と蛇剣術の両方を取得する必要があり、なおかつ状況に応じて使い分ける判断力なども重要になってくる。どちらか片方だけのスキルを持っていても、当然使い勝手が違うため十分に扱うことすらままならない。
それどころか持っていない方の分だけ攻撃力も下がってしまうなどのデメリットもあるため、上級者向けかそれ以上に使い手を選ぶ武器となっている。
そしてどちらのスキルも持っていないルヴィスなどが扱った場合、そのデメリットなどは更に酷いものとなる。
「よっ、ぐぇっ…ぬあぁ半分にへし折って使いてぇ!しかも明らかに剣持ってた時よりダメージ通ってねぇし!」
「まぁ、ああなるだろうとは薄々思ってたけど…戟の方で攻撃しようとして脇腹にスネークソードが当たりそうになってるわよね、逆もあるみたいだけど」
「アイツの言う通りいっそ二分割して使った方がまだマシになるんだろうが、それだとあの形状である意味が無いからなぁ。というか、アレはどう持つのが正しいんだろうな」
「うーーん……武器を地面と並行になるように横持ちして、飛ばない操○棍みたいな感じで戦うとかかしら?それか、いっそのこと片方を引き摺って地面ごと抉り飛ばしながら切り上げるような感じ?」
「あーーー…まだ前者の方がマシか?どちらにしろそれぞれの武器の特色をドブに投げ捨ててる感じはあるが」
「使いづらあぁい!!オラァ!」
「gqyyyrrrrr!?」
「ついに投擲武器として扱い始めてるな。っと、見てる場合じゃなかったな。夕食出来るまでに終わってりゃ良いんだが」
「あ、作るのは私も手伝うわ。簡単なことしか出来ないと思うけど…」
「あいよ。今日は………何があるか見てから決めるか」
そうしてシオン達が検証場から離れて十数分後。完全に投げるものとして扱ってようやく茎を破壊できたルヴィスは、もう二度とこの武器は使わないと心に決めたのだった。
「ふぅ…あ、そういえばもう二つ…三つ?報酬があるんだった」
夕食後、ルヴィスはロミナから貰ってはいたが、討伐報酬のインパクトで完全に忘れてしまっていたもう三つのアイテムの存在を思い出した。
「三つ?まだあんな感じのがあるってことなのかい?」
「あぁいや、あそこまでブッ飛んだ物じゃ…どれかは割とそうかもしれないけど。とにかく、これとこれだ。あと一つは最後にでも」
「これは、アレの真蕾か?確か武器の素材に出来るんだったか。で、もう一つが…いやこれも大分凄いやつじゃねぇか」
「これ、多分だけどスキブよね?でも私が知ってる限りこんな色、というか柄のやつは無かったはずだけど…何のスキブなの?」
「ランダム」
「……マジかお前?」
「あぁ、マジだ。でもランダムだからどんなスキルが取得できるか分からんのよな、これ」
通常のスキルブックはプレイヤー間では今のところ三つその存在が確認されている。
そのうち二つは表紙が赤い戦闘系、あと一つは表紙が緑の生産系であるのだが、今机の上に置かれているスキルブックはその両方の色を基調とした所謂タータンチェック柄の表紙になっているのだ。
更に、基本的にスキルブックには特定のスキルが一つ封じられているだけなので、何が出るか分からないこのスキルブックは非常に特殊な物なのである。
「うーん、一応存在するのは権限その他諸々で確認済みだったけど、現物を見るのは私も初めてだねぇ。私も使ったこと自体はあるけど戦闘系の赤いやつだけしか見たことなかったし」
「隠したいことなら別にいいんだが、これどういう経緯で入手したんだ?討伐報酬の一部とかなのか?」
「あー、まぁ隠すようなことでも無いから話すか。実は泥花の植園に突入する前にユニーククエストってのを受けてたんだよ。で、真蕾とこのスキルブックはその報酬。あと3000Gも貰ったけど」
「ちょっと待って、ユニーククエストだって!?」
ルヴィスが包み隠さず話していると、レミアがユニーククエストという単語に強く反応した。その声には動揺が混じっているようにも思える。
「ど、どうしたんだ?ユニーククエストに何か問題があるのか?」
「問題って程でもないけど…本来ならもっと先の段階でユニーククエストの存在がプレイヤーの誰かに知られる予定だったんだよね。まさかこんなに早く発見者が出てくるとは思って無かった……ちなみに、難易度は?」
「確か、黄++だったかな?」
「………こう言っちゃアレだけど、なんで生きて帰ってこれたんだい?++ってそれ、本来のランクから状況に応じて最高二段階、つまり今回なら赤ランク相当まで難易度が跳ね上がるようなやつだよ?」
「そこまで難易度上がるって…ルヴィス、内容的に黄以上でしょって思った場面ってあったの?」
ノエルにそう聞かれたルヴィスは、憤激の薔魔人と戦う前の事を思い出しながら答えていった。
やたらとモンスターの出現率が高かったことや、始めから発狂状態だった邪花木薔薇と耐久込みで戦う羽目になったことなどを話すと、シオンが呆れたような眼差しをルヴィスに向けていた。
「話を聞いてるだけだと、お前が自殺志願者一歩手前レベルのことしてるようにしか俺には思えないんだが…?」
「こうでもしないと生き残れなかったんだよなぁ……それはともかく、そろそろこれを使ってみたいんだが」
「あぁ、そうだったね。話を脱線させてごめん。確かランダムスキルブックからはそれこそ上級なんちゃら術を更に超えるようなスキルも獲得できる可能性はあるよ。運が悪ければダブりが出るかもだけど、それでもそのスキルが1Lv分上昇するから」
「うわ、ダブりが出てこられても困るなぁ……えーっと?このまま適当に開けば良いんだったか。よし来い!」
実際のところ複合武器(憤薔の戟蛇剣などの異なる武器が一つ扱いになったもの)に対応するスキルを両方持っていない場合はそれこそ片手に戟、もう片手にスネークソード持って戦ったほうがまだ効率は良いです。攻撃力は前書きを読んだ方ならお察しですし、態々そんな無駄な曲芸をやろうとする者がいるかどうかというレベルですが。
ついでに言えば、どちらのスキルも無い場合の複合武器の攻撃力は0.7倍の二乗で0.49倍にまで下がります。高レベルだとしてもそりゃ苦戦しますよ




