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34話 少年は望む、禍々しき薔薇の蠢きを 8

前回に次々回には三人称視点に戻ると言ったな、あれは嘘ですごめんなさい。もう少し続きます…


魔剤のM3美味しいですね?(更なる高みという名の無謀な挑戦へ)



あと赤い塊は四肢が鎧ごとグシャってる感じで想像すれば大丈夫です。あんなエグいことされたのに中々しぶといですねホント


※8/11 戦疫の偽黒棘の固有スキル→固有戦技に変更。描写されていないだけで憤怒の薔魔人との戦闘前 (正確にはセーフティゾーンにいる時)にスキルによって使える技 (四ノ剣-上弦など)を戦技と呼称するようにアプデされていました。思考によるスキル発動もこの時に追加されました

 手にした、というか地面に半ば引き摺っている黒()をどう構えるべきかと悩みながら赤い塊にフラフラと近付いていく。客観的に見たらどう見ても防具と武器が釣り合っていないように感じるが、まぁそんな事はどうでもいいだろう。


 念の為と言いながらアレの急所以外をまた何で出来てるのか分かんない鎖で拘束したアイツ(リガース)と、それをさも出来て当然と言うような表情で見る推定ネリアは一体何者なのだろうか、そもそも放浪種というのは……まぁプレイヤーの事なのだろう。あと避難させたらしいロミナはいずこ?周囲見渡したけどどこにも見当たらないんだが。


 というか、だ。なんでこんな事になったんだったか……?少し思い出してみよう。









「提案……?一体どんな?」


 リガースからの急な怪しい言葉に、少し警戒しながらその内容を聞いてみる。生贄になってね!とか言われたらたまったもんじゃないが、これまでの流れ的にうっすらと予想は出来る。


〚そんなに警戒せずとも大丈夫でございます。まぁ、簡単な話でございますが、あの死に損ないの塊にトドメを刺していただけないでしょうか?あぁ、別に背後から襲うなんてことはしませんのでご安心を〛



「やっぱりかぁ……」


 思わず声に出してしまったがしょうがないだろう。一応予想はしていたが、実際に言われるとあんな状態(ボロボロの赤い塊)になってるとはいえホントに仕留められるのか不安になってくる。最後の最後に自爆とかされたらホントに死ぬぞ?そして言わなきゃならない事が一つ。


「あー、やるのは当然引き受けるけど、さっきのやつの影響で剣が融けたんだよ。素手でトドメ刺すのもなんか締まらないと思うんだが、どうすれば良いかな?」



〚なんと、申し訳ない事をしてしまいましたね。ですがご安心を、代わりにコレを差し上げますので一思いにサクッとやってしまって下さい。返す必要はありませんので、槍使いになるなり飾るなり好きに使って大丈夫でございます〛


 そう言いながら先程のネルガルだったかと同じように取り出したのは、これまた真っ黒な槍だった。パッと見闇堕ちした神器みたいな感じの見た目でカッコいいが、幾らか武器自体が放つ威圧感のようなものが薄れていたり、どことなく装飾が地味めになった気がする。


 そしてリガースはこの黒槍を俺に貸すのではなく差し上げると言った。今のところ槍術スキルなんて持って無いからどうしようもなくなったとき位しか使わなさそうだけど、貰えるものは貰っておこうって重っ!?


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戦疫の偽黒棘(ネルウォス・レプリカ) 評価Ⅷ


 戦争と疫病を司る神が扱う黒棘、その劣化複製品(レプリカ)

神ならざる者にも扱える様にダウングレードした物ではあるが、それでも国宝級と呼べる業物だと言えるだろう。

 扱えるとは言えども、実際に振るうとなれば黒棘は持ち主の選別を行う。それ故に英傑と呼ばれる者に匹敵する力量を持たねば戦闘に使うことはままならないだろうと伝えられる。


※ここから先の情報の閲覧権限がありません。


装備推奨Lv74


※推奨Lv未満の場合戦疫の偽黒棘(ネルウォス・レプリカ)の固有戦技に封印処置が為されます。

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 思わず『鑑定』を使った、いや使ってしまったらとんでも無い説明がそこに記載されていた。えーーーっとつまり?今持ってるこの激重い槍は厳密には棘で?しかもガチ神器のレプリカで?説明から推測するに実際はネルガル神が使うマジヤバい神器で…?確かそれをしれっと出してた目の前の執事は…………??????


 よし、考えないようにしよう。そっちの方が精神的にも安全だし、さっきからこっちにすっごいニコニコしてるリガースが純粋に凄い強い武器をくれた心優しい人だってことで終わらせられる。リガース、ニンゲン、コレ、トテモダイジ。


「というかこれ、頭上まで持ち上げるのすらキッツいんだが……こんなでも大丈夫なの?」



〚えぇ、勿論でございます。ただ、仕留め方についてはこちらからは何も言いませんので、それをどのように扱っても問題はございません〛


 それなら……あのやり方で良い、かな?出来るかどうかって話だけど。あと何かしらの原因で薔薇野郎…というかもうただの赤い塊になっているが、アレが動かないと断定できる訳でもない。死ぬ直前にあの状態で出来るか知らんが暴れられたらついでに自分も肉塊になりかねない。


〚何やら懸念していることがあるようですがご心配無く。ここをこうして、これで大丈夫でしょう。さぁ、行ってらっしゃいませ〛



「あ、それ私がやりたかったなぁ。まぁいっか、サクッとやっちゃいなよ!」



「あ、あぁ…ありがとう。行ってくる」


 こちらの考えを読み取ったのかどうかは分からないけどこれなら何とかなりそうなので、俺は黒棘を引き摺りながら赤い塊に近付いていった。









 あぁそうそう、こんなだった。てかやっぱ重いわこれ。それはそうとして定位置に着いた事を目で確認したので思考の海から浮上する。この場所から数メートル離れたところに再び雁字搦めになった元薔薇野郎の赤い塊がある。さてここからが勝負どころだ。


「戦闘にほとんど貢献せずにラストアタックだけ持ってくってのは、ハイエナとか寄生みたいでそこまで好きじゃないんだけど…なっ!」


 未だ戦闘続行中と判定されているのか『鬼化』は使えないため、持ち上げる為に腕に力を入れて塊に向けて走り出す。やることは簡単、槍投げ…いや棘投げだ。


「よっしゃ行くぞ!」


 地球とは違い、一歩踏み出す度に大きく塊との距離が近付いていく。タイミングを見計らって……ここだ!


「乾坤、一擲ィ!うおおぉおおぬあっ!?」


 ここじゃなかった、全然ここじゃなかった。なんでこんなピンポイントで欠けた赤鎧に躓くんだよ俺、あぁでも慣性でもう投げられないような位置に…そうだ、ここでオリチャー発動!


「投げられない距離なら飛び掛かって突き刺せば良いじゃん!吊り橋から落ちてないけどメガトンランスじゃあ!」


 片手で持っていたのを両手に持ち替えて一気に頭上まで振り上げ、ベストなタイミングを見計らう。よし多分ここだ!


「ダンケシューーーッ!!ぁぁぁあああぅぼあ!?」


 人型の時から心臓に近い部分で一際主張の激しかった、縛られようが燃えようが関係なく艶やかに咲いていた一輪の薔薇。その中心にバスケ選手がダンクするかの如く棘を勢いよく両腕でぶち込む。薔薇野郎がうつ伏せだったら出来なかったかもしれないなこんなこと。


 黒棘は中心に吸い込まれるように突き刺さり、そのまま地面まで貫通する。それによって身体も急停止しようとするが、当然空中で止まることも出来ずに地面に叩きつけられた。向こうの方から笑い声が聴こえるが気のせいだろう、うん。


「いったぁ……っと、うわ凄い絵面だ」



「やったのは君だけどね。まさかあんなダイナミックな事やるとは思ってなかったよ、面白かったけど」


 近付いてきた…面倒だしネリアだとして、彼女はまだ少し笑いながらだが一応褒めてくれたようだ。てかリガース、微妙に笑ってるの顔に出てるからな?普段の顔と比べると意外と表情って分かりやすいんだぞ?多分だけど。


 どう返答しようかと悩んでいると、そこまで長い時間離れていたた訳じゃないはずなのだが、妙に久々に感じる声が聞こえてきた。


「ル、ルヴィスさん!描き終わり……って、大丈夫ですか!?あとそちらの方々は?」



「あぁ、大丈夫大丈夫。この人達は……あれだ、ピンチに駆けつけてくれたヒーロー的な人達だな」



「ふぅん、私達がヒーローかぁ……なるほどなるほど?悪くないんじゃないかな?」



〚厳密には違う可能性が高いですが、客観的に見ればそうなるでしょうね〛


 ネリアを見てみると、さっきとは違い嬉しそうな笑みを隠し切れないでいるようだ。言ったらひどいことになりそうだから心の中で留めておくけど。


 その後は、どんな絵を描いたのかなどを見てみたり、アレが元邪花木薔薇だと紹介したりしていた。すると、極僅かではあるものの、二度と聴くことが無いはずの声までもが聴こえてきた。

ロミナ君は描き終わったら謎の空間からまた元の場所に戻っているという不思議仕様に気付かないままでした。集中力半端ないですね

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