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26話 欲と妥協

どのソシャゲのガチャも爆死したのでどこかで大当たりぶち当てれるのを期待することにしました

トマトモツ煮込み  評価四


料理初心者が良い食材を使って丁寧に作った一品。下処理などもしっかりとしてあるため食べやすい。


効果 戦闘時HP自動回復(極小)



「十のうち四ってことは、初めてにしてはまぁ上手くいった方なんじゃないかこれ?戦闘時にこれを食べるかって言われるとアレだけど」


 完成したモツ煮込みにルヴィスが近付くと、評価などが鍋の上に表示された。これは『鑑定』無しでも表示されるもので、食材以外にもどれだけ丁寧に作ったかなども評価の対象となる。


 ただし『料理』のスキルを持っていると評価は上がりやすくなるため、スキルの無いプレイヤーが丁寧に作ったものと持っているプレイヤーが割と大雑把に作った料理が同じ評価ということもたまにある。


「あの掲示板だと既に七とか八とかの評価出してる人もいるから、やっぱスキル取ってると違うんだろうなー。にしても美味そうだな、少し食べてみるか…うん、少しだけ」


 この後、予想以上に美味しかったためもっと食べたいという意思と他の人に食べてもらいたいという意思がせめぎあって苦悩しているのをノエルに見られて若干引かれていた。幸いルヴィスはそれに気付かずにいたので精神的ダメージは受けなかった。





「殆ど無くなってしまった……あと一人分くらいか?」


 あの後、シオン達以外にも酒店ウーラの二人にもおすそ分けをすると、とても喜んでくれた。特にテンロンは良いお酒のアテが貰えたと言ってそのまま店の奥に行こうとしてミロデに止められていた。


「どうすっかな、自分で食べるかどうするか…もっかい作るってのもアリだけど材料がなぁ」


 そのままどうするか考えながら帰っていたのだが、決まらなかったのでとりあえず保留することにした。一日で食べ尽くすのは勿体無いと思ったのだろう。


「さて、今は16時頃でクエスト受けようにも帰ってくるのが夜になりそう。かといってこのまま時間潰すってのもなんか勿体無い、検証場でも行くか……?よし、ソロで戦う可能性を考えてやるか」


 そのまま検証場に行き、モンスターの動きを再現できるカカシを起動させるためにルヴィスは戦う予定のモンスターをイメージする。カカシが思考を読み取ってその動きやら何やらを完全再現してくれる、とレミアは言っていたがルヴィスはその才能をもっと常識的な方向に使ってくれと思っている。


「今回戦うのは……どうしよおぉぉぉお!?」



「ん?あぁ、ルヴィス君じゃないか。どんなモンスターと戦うんだい?ドラゴン?それとも17…」


「視界から外れた瞬間に首へし折られるような奴と戦いたくねぇよ!?てか何でそこにいるんだよ」


 レミアは何かを考えていたのか、叫び声でそこにルヴィスがいることに気付いた。―――ただし()()()()()()()()ではあるが。


「ここに立ってるのはアレだよ、管理人としての力の有効活用法を考えてたんだよ」



「いや、それと今の状況が全く繋がらないんだけど?何?吸血鬼にでもなるの?」



「ならないしなりたくないよあんな増える蚊モドキ。で、私は物体と魔法の管理人なのは知ってるよね?でも今のところ殆ど魔法しか有効活用した記憶が無いんだよね」



「蚊モドキて…でもここの壁って何しても傷付かないってことは物体に干渉する力的なのを使ってるんだよな?」



「それはそうなんだけど、このままだと物体を管理してるってことが忘れ去られそうじゃないか!そこでとりあえず足をつけることができる場所を増やしてみたんだけど、もっと何ができないかと思ってたんだよ」



「とりあえずで天井なのか……でも物体をどうこうして役立つ事って少なくないか?それこそパッと浮かぶのが強度上げるとかしか無いし」



「うーん、やっぱりそれくらいしか無いんだよね。一応それ使って傷はつくけど何しても壊れないカカシとかは作ったんだけど」



「いやそれで十分だろ。てかちゃんとした地面に戻ったら?地味に首が疲れる」



「あぁ、それもそうだね。〘戻れ(リターン)〙!って着地のこあがっ!?う、うあぁぁぁ…!」



「うわぁ、めっちゃ痛そう」


 その後も何か無いかと二人で考えたものの、結局今はまだ使わなくても大丈夫じゃないかという結論に至った。途中で様々な案が浮かぶには浮かぶのだが、どれもこれもボツになった。


「そういえば一人でも何とかなるようにしたいからここに来たはずなんだが」



「今からでも問題無いさ。でも19時くらいに夕食にするから時間見て切り上げてね」



「分かった。さて、どうするか……これだな」


 ルヴィスのイメージをカカシは読み取り望む姿へと変化する。そうして変化し終わった姿は―――


「一人だが今度はちゃんと倒してやる、邪花木(サプタナキア・)薔薇(ローゼン)



「qrrrrryyyy!!!」



「除草剤使わずに倒せるかどうか、いざ!」





「ルヴィスー、飯の時か……なんでそんなボロボロなんだお前!?」



「除草剤、除草剤さえあればぁ……」


 ソロで倒すのは無理だったようで、至るところに焦げた跡や切り裂かれた跡が残っている。それでも発狂モードに移行させただけ十分ではあるが。


「ソロで戦うの想定した相手がアレってどうなんだよお前。もうちょいマトモなのがいるだろうに」



「意外といけるんじゃね?って思ったんよ。まぁ、カカシに強制中断機能無かったらマジで死んでたかもだけど」



「この世界に来てからまだノーデスなんだから命は大切にしろよ?お前も死んでも蘇るとはいえ死にたくはないだろ?」



「アタッカー兼避けタンクだから下手すりゃ死ぬようなもんだけど、できる限りは何としてでも生き延びたいよそりゃ。さて、飯なんだろ?早く行こうぜ」



「ここにいるのはお前が原因なんだがな、まぁいいか。ボロボロなんだからどうにかしてこいよ?」


 シオンからの言葉にルヴィスは改めて自分のステータスを確認してみる。ポーションを使ってHPは回復してあるものの、装備していた軽鎧などの耐久値がかなり減っていた。ボスの攻撃を受けて未だに破損していないだけ十分というレベルである。


「うげっ、あと一発ゴブリンとかに殴られるだけでぶっ壊れそうだ…鍛冶屋に修理出すかぁ」



「そうしとけ。俺は先に行ってるから、早く来いよ?」



「あいよー……ソロで倒せるようになりてぇなアイツ」


 こうしてソロでの戦いは終わったが、ルヴィスの中で邪花木(サプタナキア・)薔薇(ローゼン)を一人で倒してみたいという欲望が生まれ始めたらしく、夕食後からはどう立ち回るかなどをずっと考えていた。


「避けたら飛んでくるからああして…」



「ねぇシオン、ルヴィスがなんかぶつぶつ言ってるんだけど何かあったの?なんかを倒すためのシミュレートしてるみたいだけど」



「まぁ、アイツなりに頑張ってることがあるんだろ。どうなるかは知らんが」



「ふーん、ならほっといた方が良さそうね」



「これ避けるの無理だな、突撃するか?いやでもそれだと…」



「……そういえば、アレってモンスターと戦うとき大体アドリブでどうにかしてなかった?相手の基本的な行動は覚えてるにしても」



「あーー、うん。そうだな、アイツ戦略考えずに突撃するタイプだわ」


 その事に気付いたシオン達は若干不安になったが、本人の問題だからこちらが心配する必要は無いだろうということにした。そして、この時もルヴィスは気付かなかった。


__________________________________________


〘特定ボスの異常検知。原因解明作業に移行〙


〘特殊条件該当感情確認―――コード:Rに該当〙


〘変質確認。出現まであと二百体の討伐。…百九十九。………百九十八……〙

シオンが作る料理の評価は大体六〜七、レミアの料理は大雑把に作っても評価八、本気で作ると当然のように十を叩き出します。どれだけ暇だとここまで極められるんでしょうね

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