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25話 料理をしてみよう

筆者は料理したことがほとんど無いのでクックパッ○先生やらなんやらを参考にしました。色々な料理があるんですねこの世の中。

「料理って大事だよな」



「急にどうした」


 ロステマに来た翌日の朝、起きてすぐにルヴィスは真顔でシオンにそう言う。


「いや、何となく自分で作った料理が食べてみたいなーって。お前って『料理』スキル持ってるじゃん?あれって調理技能に補正かかる系なの?」



「まぁ簡単に言えばそうだな。煮込み時間の短縮とか割と便利だぜ?まぁ当然無くても作れるけど、そういう系の補助は無くなるな」



「あー、そう言われるとスキル取っといた方が良い気もするな……あ、でも無くていいや。作りたいのが気長に待つタイプのだし」



「何が作りたいんだ?」


 シオンがそう聞くと、ルヴィスはよくぞ聞いてくれたと言わんばかりにこう答えた。


「モツ煮込みとか自分で作ったら美味そうだよな!」



「臭み抜きとかどうする気だお前」





 その後レミアとノエルにもこの事を話すと、レミアは興味を示し、ノエルは大丈夫なのかという表情をした。


「なるほどねぇ。まぁ、臭み抜きになるショウガとかは代わりのがあるか街の人に教えてもらえば何とかなるんじゃないかな?問題は味付けだけどね」



「醤油も味噌もあるか分かんないってのを忘れてた……どうしよう」



「他のゲームだとそうやって作り始めたら謎の物体が出来たりすることあるけど……無闇に変なのを加えない方が良いわよ?」



「まるでやらかした事があるみたいだぁ……まぁ、トマトモツ煮とかもあるから大丈夫じゃないか?望んでたのとは味は異なると思うが」



「何それめっちゃ美味そう。レシピ教えて」



「あいよ、メモっとけよ?用意するのは…………」





「さて、まずはワインを…安いので大丈夫かな?高いのを使うのって勿体無い気がするし」


 レシピを教えてもらったルヴィスは早速材料を買うことにした。今は酒屋に向かっている最中で、視界の端には小さく酒屋までのナビゲートが表示されたマップが見えている。


「おぉ、ここが……入るか」



「だーからあんなん売れませんってー。これほぼ料理酒っすよ?ここにそんなの買いに来る人―――お?」



「別に料理酒売ってもええやろ?もしかしたらそれ目当てで来る人も―――んぁ?」



「…………」



「あぁちょっと待って帰らんで!金落としてって!」



「なんつー事言うんすかアンタ!?あっちょ、スタアァァァップ!」





「いやーすまんかったな、しょーもない口ゲンカ見せて」



「いや発端は……っと、そーいえばお客さんはどんな酒を探してるんすか?大体の酒は揃ってまっせー」



「あー、今料理に使う酒を探してて……ワインでなんか良さげなのってありますか?」


 ルヴィスがそう言うと、店員と思われる二人のうちエセ関西弁の男がガッツポーズをした。


「っしゃあ!やっぱり需要あったやろ!?しかもこんなすぐに!いやぁ運がええなアンタ!あ、俺はテンロンって名前なんやけど、テンさんって呼んでや!」



「わ、分かりました。して、その酒って今どこにありますか?お金なら多分大丈夫だと思うので」



「こんな二人に丁寧っすねぇ。あぁ、今いくつか持ってきますんでちょっと待っててくださいな。あとワタシはミロデって呼んでくださいな」


 そう言うと、ミロデは小走りで奥の方へと行った。すると、テンロンが笑いながらルヴィスに話しかけた。


「どうよ?うちの店。ゆるーい感じだけど緊張はしなくなったんじゃない?」



「あれ、口調変わってません?まぁ、入ってすぐがアレだったので緊張はしてなかったですけども」



「あぁ、こっちが素の口調だよ?アレはまぁ……気分?かな?口調変えたいときって無いかな?」



「いや、無いですよ……?それはともかく、なんかピンポイントで料理酒的なのを入荷してたらしいですけど、どんななんです?」


 ルヴィスがそう聞くと、テンロンは嬉しそうに話し始めた。よほどその話をしたかったのだろう。


「よくぞ聞いてくれた!今回新しく入荷したワインなんだけど、向こうの人から料理に使ってみてくれと言われてね!試しに使ってみたらそれがもう「お待たせしましたー……はーいそんくらいにしといて下さいね。困ってるじゃないっすか」……おぉ、ごめんごめん」



「いえ、大丈夫です。これがそのワインですか?なんというか、その…」



「ボトルが安っぽいっすよねぇ。まぁお値段の方も実際わりかし安いんですけどね」


 あっさりとミロデが言ってしまった。安っぽいと思っていたのはルヴィスだけでは無かったようだ。


「そう、このワインはボトルのせいか他の料理酒と比べても大分安めなんだよね。僕はもうちょい高くてもいいと思うんだけど、見た目と値段が合ってないって言われそうだからね…勿論中身は最高のものだけど」



「あーー……じゃあそれを二本ください。いくらですか?」



「二本なら2800Gっすね。………はい、ありがとうございましたー」



「ありがとね。これからも酒店ウーラをよろしくね」


 こうしてルヴィスは格安で料理酒を手に入れる事に成功した。





「はい、まいどあり!」



「どうもー。…さて、これで全部だよな?よし、揃ってる」


 あの後ルヴィスは他に必要な材料を買い揃えていき、今は見た目も味もトマトにそっくりなマールという野菜を買って全て揃ったところだ。


「てかよく考えたら自分で料理するの初めてな気がする。失敗したくねぇなあ…っと、ここだった」



「おかえりなさーい。どうだった?材料は揃ったかい?」



「あぁ、後は作るだけ。キッチンってどこにある?」



「それならこっちの方にあるよ。ついてきて」


 ルヴィスがそのままついていくと、そこそこ広く作られたキッチンがあった。コンロらしきものの隣に大量の小さな魔石があったが、使う時に燃料代わりにするらしい。


「使い方はこれね。じゃあ、後は頑張って!」



「あーい。さて、まずはモツの茹でこぼしだったかな?確かメモにやり方が……あったあった」


 今回作るようなモツ煮系は臭みやアクなどをとるために茹でこぼしをした方が良い、とシオンはルヴィスに教えていた。その後やり方なども教えてあるため、特に問題もなくそのまま進めていく。


「今更だけどこれ日本酒的なのがあったらそっちも買っとけば良かったか…?ぶち込んだときの見た目が不安すぎる」


 その後水、酒、ショウガの代わりとなるウリク、唐辛子のようなリーツ、何故かそのままの名称だったネギの青い部分などを鍋に入れる。魔術によるものなのかどうかは不明だが、圧力鍋らしきものがあったのでルヴィスはそれを使うことにした。


「えー、『加圧』の魔術が付与されているので通常より少し多めの魔石を投入してください……なるほど。これくらいが通常量だから、これくらいかな?よし、動いた」


 煮ている間待つのも暇なため、ルヴィスは他の具材の調理も始めることにした。とはいえ野菜を細かく切って炒めるだけだったのであまり時間はかからなかった。


「こんなもんかな?さて、鍋の様子は…大丈夫、だな。そしたらこのモツをこっちに入れて……潰しといたマールやら何やらを入れて、沸騰してから弱火?出来、るのか。便利だなこの魔術コンロ」


 そして弱火で三十分程煮てから塩で味を整えれば完成である。この間ルヴィスは更に何か作ろうと思ったが、特に余った材料も無かったので結局掲示板などを見て待つことにした。


「○ックパッドみたいな感じになってるスレもあるんだな。どれも美味しそうだけど和食系はまだ無いっぽいなぁ。やっぱ醤油とかが作られてないからか……お、三十分経ってるじゃん。どんな出来上がりになったかなー」

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