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1話 ログアウト不可能?

 ルヴィスが扉を通るときに発生していた謎の光に思わず目を閉じ、再び目を開けるとそこはいかにもな感じのする街中だった。


「おぉ…これはすごいな」


 ルヴィスはそう言いながら辺りを見渡す。まず真後ろにはこの手のゲームではお決まりのように噴水が、その周りでは子どもたちが走り回って遊んでいる声も聞こえる。

 

 また別の場所では、屋台が串焼き肉を売っていていい匂いがし、ここがリアルではないファンタジーの世界なのだと実感させるように顔以外が鎧で覆われたエルフらしき男や弓を背負った女などもいる。


「さて、種族も気になるし早速……『オ「おい、待ち合わせするんじゃなかったのか?」ープ、ってそうだった………な…?」


 紫音の声がしたのでルヴィスが振り向くとそこには頭から角を生やして若干不機嫌そうな顔をしている男がいた。髪色は薄紫、瞳は灰色で身長はルヴィスより少し高い。ちなみにルヴィスは黒髪に赤い瞳だ。


「えーーっと、紫音、でいいんだよな?その角は……鬼種か!てことはお前もランダムを選んだのか」



「何になるか分からないのも面白そうだったからな。ちなみにお前も角生えてるぞ。俺もお前も多分鬼種だ」



「えぇ…楽しみにしてたのにバラすなよ……まぁいいや、とりあえず俺らのステータスを確認しよう。もしかしたら種族補正とかあるかもだからな!」



「あったらいいな。それじゃやるか」



『『オープン』』



ルヴィス 男 Lv1  鬼種

HP 15/15 MP 5/5

攻 16 防 11

魔 5  精 5

敏 10 運 12

スキル 初級剣術Lv1

種族スキル 鬼化Lv1

称号 管理人の友人(new!)

SP 0



シオン 男 Lv1  鬼種

HP 15/15 MP 5/5

攻 16 防 11

魔 5  精 5

敏 10 運 10

スキル 初級剣術Lv1

種族スキル 鬼化Lv1

称号 なし

SP 0



 ほぼ同じだが少し違うステータス欄を見て二人は少し固まった。


「……おい、なんか称号ゲットしてるじゃねぇかお前」



「管理人の友人…あー、言われてみれば心当たりがあるような」



「マジかオイ。まぁそれはそうとして元々振ったパラメーターよりも若干増えてるな?つっても1とかだけど」



「種族スキルってのが関係してるのかもな……詳細が見たいところだ」



「それならそのスキルなり称号なりをタップすれば良いらしいぞ」


 素早くヘルプ画面も開いたシオンがそう言った。


「なるほど。して、なんとなく分かるけど鬼化と管理人の友人の詳細はっと…」



鬼化Lv1 パッシブ&アクティブスキル

・攻撃と防御のステータスにLv1〜4で10%、Lv5〜9で20%、Lv10で30%加算 (パッシブスキル)

・戦闘中一回のみ自身の攻撃ステータスを2倍する。Lv1〜4で二分間、Lv5〜9で三分間、Lv10で五分間が限度 (アクティブスキル)



称号 管理人の友人

・運のステータスに20%加算する


「…種族スキルがとんでもないんだがこれは他の種族もそれなりの種族スキルがあるんだよな……?」



「多分そうだろうな。人間とかどうなってるんだろうってのもあるが、称号自体は効果控えめ?だな」



「でも運を上げるスキルとかは狙って入手するのなんとなく難しそうだからありがたいな」





 その後も雑談やこれからやることなどを話し合い二人はひとまずギルドと呼ばれる施設に行くことにした。


 その途中で一旦時間を確認するためにルヴィスが『メニューオープン』と言い時間を見ているときにある異変に気付いた。


「えーっと、ここはリアルの十倍で進んでるから…ん?」



「どうした?計算できなくなったか?」



「いや、そこまで頭イカれてねぇよ……じゃなくてな?これ見てみ?」



「どれどれ…は?ログアウト不可能?これマジ?」



「お前のも開いてみたらどうだ?」



「『メニューオープン』………うわマジやん。どうすんのこれ?」



「どうするっつってもなぁ…」


 しばらく二人は悩んであれこれ意見を出し、一つの結果に行き着いた。


「考えるのめんどくせぇなー…ん?そういえばこれ、デスゲームって訳では多分ない、よな?だったらさ、いっそ楽しもうぜ!現実で死んだわけじゃないはずだし!きっと!」



「それはどうなんだ……?あーでもまぁ、確かにそうならデスゲーム開催するよ!的なインフォが来るよな。どっかのアレみたいに」



「だろ?じゃあこの世界で人生楽しむぞー!」



「おー」


 考えることをやめたとも取れる気がするがとりあえず二人はこの世界を楽しむことに決めた。


「……ルヴィスよ、これなんかしらの不具合で数時間後に直ってるとかなんじゃね?」



「あっ」

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