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22話 廃鉱乱舞-後

前回特に説明の無かった『二の剣-繊月』ですが、脚部に当てると通常の一.三倍ほどのダメージに加え移動速度低下状態を付与できるのですが、暴鉱食霊には脚なんて無かったのでただ強くなった『スラッシュ』のようになってます。

「自信満々に耐える宣言したはいい、けどっ、これキッツぅ!?」



「亀のクセして動きがトロくないってのもあるが、それ以上に礫飛ばしてくるのがっ、面倒だな!」



「■■■■■■!!!」



「〈我が望むは怨敵への永劫の苦痛、魂を輪廻することすら許さぬ凶呪…」



「回転するなよクソ亀!てかあと二分くらい動くの止まってくれねぇ!?」


 ノエルが詠唱を始めてから二十数秒、ルヴィス達は想像以上の暴鉱食亀の攻撃の厄介さに気付き始めた。


 初手でいきなり使った高速回転による接近攻撃以外にも、後ろ脚のみで立ち上がってから地面への強烈な踏み降ろし、そしてそれによって発生する大量の礫と地割れ。


 地割れは恐らくその場から動かなければ裂け目に落ちることは無いと分かったのだが、礫はランダムに飛び散るため、飛ばされた礫がノエルに直撃して詠唱キャンセルされかねない。


 その他にもカミツキガメの如き速度での突進噛み付きや背後からの奇襲を許さぬ鞭のような尾撃など、耐久するしないに関わらず恐ろしい攻撃が多い。


「やめろぉ!ストンピング礫飛ばしはやめろぉ!」



「あいつをひっくり返せば隙が出来るはずだ!タイミング合わせて吹っ飛ばすぞ!」



「あと数秒しか出来る隙無くねぇ!?でもいいぞやったらぁ!」


 叫び合いながら即座に立てた作戦を実行するべく、二人は丁度暴鉱食亀の前脚が振り下ろされるだろう場所に移動する。


 直径人一人分はありそうな脚があと少しで二人に直撃する直前、同時に同じスキルを発動する。


「「『豪破突』』!!」」



「■■■■■■■■■!?」


 火力自体は他に少し劣るものの相手を大きくノックバックさせる『豪破突』、それを前脚に全く同じタイミングで当てられた暴鉱食亀は再び後ろ脚のみで立つ状態になり―――


「よっし!ひっくり返せたぞ!」



「にしてもとんでもない音だったな!後は起き上がるのを全力で妨害するぞルヴィス!」



「此処に顕現するは深淵を統べし神王。これより先は希望も、絶望すらも無と帰すだろう……」



「あと少しっぽいな!どうする!?」



「後は、よし。元に戻して誘導するぞ!」


 妨害されなくなったことにより再び脚が地についた暴鉱食亀は怒りの声を上げながら凄まじい勢いで二人へ攻撃する。しかし怒りにより注意力が散漫になった暴鉱食霊は自分から断頭台に登っているような状況になっているとは知らず……


「――絶えよ。〉『深淵振ルイシ(コール・オブ・)滅剣(グルヴァイン)』!!」



「せいこ………ッ!!?」



「ッ゜……耳塞げ目も閉じろルヴィス!多分これ無差別かもしれんぞ!」


「あいよぉ!てか何そのヤバげなの!?」


 ノエルが発動、いや()()()()モノは、シオンが一目見て即超危険だと判断したそれは例えられる物が一切不明。いや、それでも人々にこう呼ばれている。


「(一瞬だったがあの姿、旧支配者……に見えた。マジモンの深淵じゃねぇか…)」



「―――蜃コ逡ェ繧�↑�溘h縺」縺励c縲√ヮ繧ィ繝ォ縺。繧�s縺ョ鬆シ縺ソ縺ィ縺ゅi縺ー縺薙s縺ェ縺ョ縺吶$繧�〒��」



「■゜」


 暴鉱食亀を除く全員が視覚と聴覚を遮断している中、召喚された旧支配者(らしき存在)がどこからか声を発する。その瞬間に暴鉱食亀は奇妙な声を一瞬上げるとその全てがありえない方向へと捻じ曲がり始める。


「繧薙=�溘↑繧薙d縺セ縺溘☆縺先ュサ繧薙〒繧ゅ≧縺溘s縺九>縺ェ縲∫寢菴薙b縺ェ縺�縲ゅ⊇縺ェ縺セ縺溘↑��」


 それを恐らく見たのだろうモノはどこかつまらなさそうな雰囲気を発しながらその姿をどこかへと消し去った。


 消えてから数秒後、異質な気配が消えたと感じたシオンが確認するように声を出した。


「………もう、大丈夫なのか?」



「……うん、大丈夫ね。さて、どうなったかしら」



「シオン、一体何を……えぇ…?」


 ルヴィスが見たのは、全身をあらゆる方向に捻じ曲げ瀕死となっている暴鉱食亀の姿だった。


「これは……何をしたらこんな事に?」



「分からないわ。でもスキル詳細には視覚と聴覚を遮断しとかないと即死するみたいな事が書かれてたから、目線とかに応じて無差別に攻撃する魔法なのかもしれないわね」



「うんまぁ、ある意味無差別だわな……それはともかく、ラストアタックは誰が?」



「ノエルがやったことになるんじゃない?一応『深淵魔法』でああなったんだし」


 そう話し合っていると、暴鉱食亀は断末魔を上げることもなく静かに死んだ。


「あ、死んだ。さて、ドロップは……」



「待てルヴィス、それ以上に疲れの方がヤバいから座りながら確認しよう。立ちっぱでやるのは流石にキツい」



「私も賛成するわ。アレ使ってからMPほぼ0の状態だし」



「あー……言われてみれば確かにそうかも。じゃあそうするか」


 こうして、三人の初のボス討伐が終わった。


「アイツの甲羅もある……けど、めっちゃ重っ!?」



「あぁやめろ持ち上げようとするなてかなんで持ち上げ「あっやべ」グハァ!?」



「何してんのよ二人とも……あ、初討伐達成ボーナスだ」





「おかえりー、討伐おめでと……ルヴィス君達はどうしたんだい?妙にボロボロだけど」



「あー、まぁ、色々とあってな……」



「ふーん……まぁいいや。それで、決まり手は何だったんだい?」



「『深淵振ルイシ(コール・オブ・)滅剣(グルヴァイン)』が実質トドメになったわね。にしても凄いわねあのスキル、変な条件あるけどとんでもない威力みたいだし」



「えっ?」


 ノエルが若干自慢げに言うと、レミアの顔から祝福の笑みが消え、途端に何かしらの魔術の詠唱を始めたかと思うと瞬時にその詠唱を破棄して発動した。


「うわあぁぁぁ!!!『癒神の息吹(アスクレピオ・ブレス)』ゥゥゥ!!」



「ちょっ!?なん、どうしたんだレミア!」



「今すぐにでも回復&浄化しなきゃ発狂死しちゃう!そんなの私はまっぴらゴメンだよいやほんとに!」



「いやだから何があったのか教えてくれぇ!あっでも回復量すげえ!」





「……それマジ?」



「マジじゃなかったらあんなに焦らないよ。アレ使われて……いや、アレの言葉聞いて即死しなかったやつなんて片手で数えられるくらいしかいないし」



「いるにはいるんだな……でも、そんなとんでもなく危ないスキルをなんでノエルが?」



「なんか知らないうちに覚えてたのよね……下手したら最初から覚えてたかも知れないわね」


 ノエルのその曖昧な答えに、レミアが思わずため息をついた。


「はぁ……いいかい?これからは何が何でも『深淵振ルイシ(コール・オブ・)滅剣(グルヴァイン)』を使っちゃ駄目だよ?今回は廃鉱の最深部で生きてる生物自体そんなにいなかったから何とかなったけど、平野とかで使ったらその場所の生物全滅とかになりかねないからね」



「でも…」



「プレイヤーならそれが原因で死んだら復活しても数秒持たずにまた死んで、また……の繰り返しだろうねぇ。手遅れになってからじゃ遅いんだよ?」


 今まで見たことの無いレベルでの真剣さに、三人は頷かざるを得なかった。それ程までに危険な魔法ということなのだろう。


「使えば決戦兵器並みの火力、だけど下手したらプレイヤーは無限にリスキルされてそうじゃない生き物は軒並み全滅……禁術指定待ったなしだなこれ」



「使っても『深淵ノ滅槍(アビス・イヴォール)』くらいの方がまだ使い勝手いいかも知れないわね……」



「っと、ごめんね三人とも。初のボス討伐、しかもプレイヤー全体でも初討伐者っていう凄いことなのに変な雰囲気にしちゃって」



「いや、ここで教えてくれなかったら大惨事になってたかもしれないからむしろ助かったよ。じゃあ、取り敢えずボス討伐おめでとー!!」



「切り替え早いなお前……まぁいいや、おめでとー」



「じゃあ私からは……レアドロは頂いたわ!欲しけりゃどうにかして私を倒すことね!」



「「あっ!セコいぞ!」」


 こうして初のボス戦は多少のトラブルはあったが、大成功に終わった。


「あ、暴鉱食霊から亀になるのは特殊条件だったことを忘れ、てた……またやっちゃったかもなぁ……」

旧支配者的存在ですが、文字化け変換サイトを使っての対応になっているのでもし違ったところがあった場合は誤字報告お願いします。


あとシオン君は一瞬見てしまったので10D100による0/100D100とかいう悪鬼羅刹ですら全てをなげうって逃げ出すようなSANチェックを喰らいましたが奇跡的に無事でした。元々SAN値が高かった(恐らく)とはいえ彼も大概運が強いですが、失敗したらア゜と言って即死です

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