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21話 廃鉱乱舞-前

初の長々とした戦闘描写になります。ド下手かもしれませんがどうぞ

「さてやって来ましたはリメヌ山最深部のボスエリア手前!何をするかはもう分かってるよね?」



「うーん、ここらでしか出ないモンスター狩りしてレベリング?」



「すっとぼけても遅いぞルヴィス。今更抵抗したところでどうにもならないだろうからな」



「まぁ、覚悟を決めないと駄目よね……でもタンクとかヒーラーとかいないわよ?それでも勝てるの?」


 ルヴィス達が連れて来られたのは今までレベリングをしていた場所とは違い、リメヌ山内部にある廃鉱の最深部手前。つまりは唐突にボスと戦おうと言われここまで来たのだ。


「というか、ここのボスってまだ倒されてないんじゃなかった?スレ見ても倒せないって嘆きが多いんだけど…」



「だからこそだよ!レイドに出られないのならこっちで初討伐者の栄光を手にしてもらおうって計画さ!」



「いや、その理屈が分からないんだが?一応装備は更新してきたけどだからって突破出来るかは不明だし」



「そうなのよね……にしてもこの杖、見た目はアレだけど結構強いわ。炭鉱霊(マイニングレイス)のレアドロを使っただけあるわね」


 ボスと戦うということで、全員店売りの装備からモンスターの素材を使って作ってもらった現状での最高装備にした。


 ルヴィスは防具にロックタートルの岩産殻を使い土属性耐性を、シオンは片手剣に岩蜂(ロック・ビー)の石毒針と廃鉱内で採掘して得た魔鋼(マナ・メタル)を使って単純に物理攻撃力を強化した。


「さあ、話もこれくらいにしてボスと戦おうか!あ、私は観戦してるだけだから回復とかのサポートは期待しないでね!タンクは……避けタンクってあるよね!」



「無茶言いよる……そんなに敏捷値上げてないんだよなぁ」



「一応一定時間対象の敏捷を上げる魔術もあるけど、それ使うと攻撃に集中できないからちょっと不便なのよね」



「あるなら……ルヴィスの方が適任かな?取り敢えずあいつにかけてやってくれ。俺は隙が出来たら全力で叩くから」



「うわぁい初見対応肉盾マンにさせられた。情報で知ってても見てみなきゃ分かんないから落ちるかもしれないけど大丈夫?」



「その時はその時だ。じゃあ行くか」


 こうして、半世捨て人プレイをする(する羽目になった)三人の初のボス戦が始まった。





「何あの……何?怨霊の集合体みたいなやつなのかな?人型ではあるけど」



「『鑑定』………暴鉱食霊(グラトオアソウル)だとよ。スキルは…」



「AaaAAaaaa!!」



「うおっ!?避けろ皆!」


 シオンがスキルを言おうとした瞬間、暴鉱食霊が手に持っていた鶴嘴を振りかぶりながら襲い掛かってきた。目で追える程度の速度だったため全員避けることが出来たが、もし避けられなかったときの結果は鶴嘴を叩きつけられて抉れた地面がハッキリと示している。


「あいつ、霊の集合体らしいから物理はあまり効かないっぽいぞ。あの鶴嘴は本物だからあれを狙う手もあるが」



「そうはさせてくれない、よな!『スウィフトステップ』!」



「kRueeaa!」


 再び振り下ろされる鶴嘴にはルヴィスが『危険察知』により覚えた回避スキルで対応する。しかし先程と違い至近距離での攻撃、叩きつけられたことにより吹き飛ばされる拳大の礫が意思を持つかのようにルヴィスの方へと飛んでいく。


「掲示板見といて良かったぁ!『パリィ』!」



「退避!『フレイムジャベリン』!」


 戦闘開始から詠唱をしていたノエルの火属性魔術が相手に着弾する。魔法職の中でもかなり火力が高いとは言え、暴鉱食霊が身につける衣服には若干燃え焦げた跡が見えるだけに留まっている。


 だが暴鉱食霊のヘイトはノエルに向いたようで、自分の真下に向かって鶴嘴を叩きつけて数個の礫を真上に飛ばし、更にそれを構え直した鶴嘴でフルスイングして弾き飛ばした。


「タンク系の人がいれば対処が楽なんだろうがな!って痛ぇ!?手が痺れるレベルの豪速球ってか!」



「微妙に浮いてるからやりにくいなこいつ……!『ハードノック』でスタンしとけ!」



「Gyyixah!?」


 確率スタンの効果を持つ『ハードノック』が相手の頭部に直撃し、一瞬ではあるが暴鉱食霊がよろめく。


「ナイスだルヴィス。『ニノ剣-繊月』!」



「じゃあこの隙に俺も、『朧突』……これやっぱダジャレじゃね?」


 ダジャレのような名前ではあるが、再使用までの時間が短くそれなりに威力もある『朧突』が暴鉱食霊にクリティカルヒットする。それにより再びルヴィスへとヘイトが向き、開始時と似た状況に戻る。


「qaaAhhhh!!」



「そういえば魔術も使うんだったなコイツ!使わせるわけ無いだろうが!」



「ごめん、これ忘れてたわ!『アクセル・エア』!」



「うっ!?おっ、とぁあ!急にかけるのはすっ転ぶから止めてくれ!」



「『earthbom』!」


 敏捷値を上げるバフを急にかけられて転びそうになっているうちに暴鉱食霊は詠唱を終え魔術を発動した。放たれた魔術は球状の岩石を作りだし、ルヴィスの方へと高速で飛んでいく。


「やっべ回避しきれぐはぁ!?」



「マジモンの爆弾岩とか笑えねぇな!生きてるかー!」



「『星弾(スター・バレット)』!『月魔術』だと攻撃通りやすいかも!」



「なら一番火力出るやつを……待て、なんかあいつ変な動きしてる!」


 『星弾(スター・バレット)』が全て命中したことにより、ルヴィスに攻撃をしていた暴鉱食霊の動きが急に止まった。そのまま震えだしたりおかしな方向へと関節が曲がり始め、最終的にその姿は人ならざるもの―――何故か亀となって再び襲いかかる。


「全員退避ぃ!何あの亀!?人型じゃなかったのかよ!」



「しかもデカいし回転しながらこっち来るぞあの亀。サイズ的にロックタートルを一回り大きくしたくらいないか?」



「■■■■■■■!!」



「鳴き声が理解不能言語に!?ああもう!『ファイアランパート』!」


 この世界(セリフォト)では威力は大幅に下がるものの詠唱をしなくても魔術を発動することは出来る。そしてノエルが放った火の壁を作る魔術も無詠唱とはいえそれなりの耐久性はある…はずだった。


「■■■■!」



「な、抵抗もなしに突破するの!?」



「やべぇこっち向かって来てるぅ!抱え落ちとかしたくないから『鬼化』!からの『憤鬼撃』ィ!」



「ここで使うしかタイミング無いかもだな!『鬼化』……『岩砕刃』」


 カウンター系スキルの『憤鬼撃』によってその回転を止めた亀型暴鉱食霊の甲羅に丁度のタイミングでシオンが発動した『岩砕刃』が命中する。岩石系の敵にダメージが増加するという微妙な効果の『岩砕刃』だが、甲羅が岩で構成された亀型暴鉱食霊にとっては数少ない物理攻撃での弱点となる。


「■■■■■!!?」



「うわ、めっちゃ甲羅砕けてる。今のうちにあの…『鑑定』、暴鉱食亀に攻撃を!」



「いやもう立て直しそうなんだけど?ノエル!『魔族化』を使ってくれ!押し留めるからまた回転しだす前にやるぞ!」


 甲羅を砕かれて目に見えて怒りだした暴鉱食亀がルヴィス達へと亀らしからぬ素早さで襲う。接近してくる際に追加で魔術も発動してくるため二人がかりでなんとか動きを抑制しようとするが、それでも暴鉱食亀はとどまることを知らないかのように暴れる。


「二人とも!私の真正面に亀が来るように誘導できないかしら!最高火力のをぶちかますわ!」



「必要時間はぁあっぶなぁ!?」



「一分ちょいってとこね!それなら『鬼化』の時間も間に合うでしょ!」



「『鬼閃刃』!了解、なんとかするぞルヴィス!」



「先に俺が死にそうだけど頑張って耐えるわ!こなくそぉ!」


 短いようで長い一分弱の耐久&誘導戦がここに始まる。

掲示板には何故かは分かりませんが人型での攻略情報しか載っていません。それすら突破出来ない攻略班(笑)というわけではありませんが何故なんでしょうね(すっとぼけ)


あと主人公二人の消えた『初級剣術』は本人達が早とちりしただけで普通にスキルは使えます。二人がそれを知ったのはボスに挑む直前でしたが

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