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16話 新しい仲間

「魔法を使える仲間が欲しい」



「おおう、いきなりだねルヴィス君。やっぱりあれかい?リメヌ山で亀に苦労するから?」



「それもそうだし、ずっと前衛二人だけだと弓とか持ってる相手に苦労するだろうからな。つっても誰かアテがある訳でもないし」


 あれから、二人はリメヌ山では魔法を使える仲間がいないと戦いにくいということがハッキリと分かった。しかし二人は知っている人の中で魔法を使えるプレイヤーがいないことに気付いた。


 もちろんプレイヤーで無くても良ければレミアを連れていけば良いのだが、ずっと頼りっきりにはなりたくないと二人は考えている。そもそもレミアを仲間にすると恐らくすべて一撃で戦闘終了してしまうので、それだと二人のスキルLvが上がらなくなってしまう。


「じゃあ、どっかから募集してみればいいんじゃないかな?あーでも、それだと仲間というより傭兵になっちゃうかな?」



「そうなんだよなー。個人的にこうだったら良いなってのは、ここに来れる人なんだけど……そもそもそんな人いるの?ってなるし」



「俺もルヴィスの条件に当てはまる人が良いんだがな、このログアウト不可能な状況下で今でもログインできる人いるのかって話になるわけで」



「あー、そういえば出られないんだったね君達。確かここに君達が来てから大体一ヶ月くらい……なのかな?だから、向こう(地球)側だと三日くらい経ってる計算だね。だったら事情をよく知らずにこっちに来る人はまだいそうなもんだけどね」



「そう言われてみると……意外といそうな気がしないでもないかも」



「でも流石に自主回収とかしてるんじゃないか?二度と戻ってこれないようなとこに行こうなんて……」


 シオンがそこまで言いかけると、扉が開いた音がした。一応はここも薬屋なのだから、客も入ってくるだろう。―――ただし、"管理人の友人"という称号を持っていれば、の話だが。


「えっちょ、客?客なの!?いやいやいや、そんなわけないよね。たまたま扉が風で開いたとか………」



「すいませーん、誰かいますかー?」



「うっ、うわぁぁぁ!ホントにお客さんだあぁ!!?待って待って、まだ仕事用の服に着替えてないんだ!ああぁ、と、とにかく行ってくるから!君達はここで待ってて!」


 そう言い残しながら、レミアは慌てふためいて部屋に戻っていった。


「………マジで?こんなタイミング良く人来るもんなの?」



「どうなんだろうな。もしかしたらお前の多分人より高い運の値が引き寄せたのかもしれないぞ?」



「多分とか言うなよ……一応運の値って上げる方法ほとんど確立されてないんだぞ?そんな中でブーストかかってるんだからなんとか…てかお前も持ってるじゃん"管理人の友人"」


 そう話しているうちに、ずっと待っていたであろうプレイヤー(声から判断すると女の人だろう)は商品を見始めたようだ。


「これが回復薬でこれが麻痺治しで…うっそ、他所の店より安い!なんで始めたてのうちにここに来なかったかなー私。試しに来てみればもうちょっとお金貯まってたのに!」



「お、おっと。久しぶりのお客さんだね。ようこそ………おや、君は新人って訳でもないようだね?だったらこのセットはどうだい?」


 全力で仕事モードに切り替えたレミアだが、微妙に服装が乱れているのを見る限り、未だに動揺しているのだろう。


「どんなのが入ってるのかな?えーっと……ニトロポーションと石化治し、回復薬が五個ずつセットなんだ。めっちゃほしい!いくらするの?」



「あ、あぁ。それなら900Gだね。どうかな?他所よりはお得だと思うよ?」



「買う!買います!うわぁ、もっと早くからここ来てれば良かったぁ!」


 そう言いながら喜ぶ彼女を、ルヴィス達は少しだけ扉を開けて見ていた。やはりどんな人なのかが気になるのだろう。しかし、これもし通報されたら不審者と間違われても文句は言えない。


「おぉ、背中に杖っぽいのが見える。てことは、やっぱり魔法職なのかな?」



「かもな。良かったじゃないかルヴィス、ピンポイントで欲しかった人材が来たぞ」



「あぁ、これならあのロックタート「何してるんだい君達は……」ルゥ!?」



「おぉっ、と…「グエッ!?」あ、すまんルヴィス」


 レミアに急に扉を開けられて、二人はそのまま前に向かって倒れていった。その際に、シオンがルヴィスを押しつぶすような体制になっていたが、おそらく大丈夫だろう。問題は先程まで薬を買っていた彼女の方である。


「うわぁ!!?な、何この人たち、不審者!?つ、通報しなきゃ!」



「おおっと待ってほしいなキミ!……そういえば名前を聞いていなかったね。なんて名前だい?ちなみに私はレミアだ。よろしくね」



「あ、ノエルです。今後ともよろしくお願いしま……じゃなくって!通報!なんでそんなに落ち着いてられるの!?」



「そんなに焦らないで、ね?私の方から説明するからさ」



「は、はい………」





「へぇー。ここってそんな凄い場所だったんだ。まさか"管理人の友人"の称号持ってないと認識すらできないなんて…」



「まぁそれのせいで今までこの二人しかいなかったんだけどね?あ、折角だから君もここに住まないかい?いわゆるシェアハウスってやつさ。家賃は払わなくてもいいけどね!」



「うーん、是非ともそうしたいんだけど……この二人は大丈夫なの?何もしないよね?(………というか、なんか見たことある顔のような……気のせいかな)」


 まるで不審者を見るかのような目で二人に視線を向けるノエルは、パッと見の外見年齢はレミアとそう大差ないようにみえる。もちろん実年齢だとレミアが上回る(はず)のだが。


「マジでごめんなさい……まぁそれはそれとして、俺達にそんなことする気は微塵もないから安心して。何か変な事しようもんなら牢獄にぶち込まれるだろうし」



「ふーん、それなら、まぁ大丈夫かな?じゃあ、これからよろしく!えーっと…」



「あ、俺はルヴィスだ。よろしく」



「で、俺はシオン。これからよろしく。あ、それと俺達はプレイヤーだから」



「自己紹介は済んだね?じゃあ改めて私も。レミアだ。一応魔法と物体の管理人をしている。よろしく!」



「よろし………へ?管理人?」


 レミアが管理人だと知ったノエルは、ルヴィス達と同じように驚いていた。


「まぁ、管理人と言っても二百七十六年だっけ?まぁそれくらい働いてないんだけどね、この人」



「ちょっ、それは言わないでくれよシオン君!私の威厳が台無しじゃないか!」



「それこそ今更じゃないの?一応薬屋やってるんだから無職ではないから安心して」



「あーー……えっと、元管理人?のレミアと、プレイヤーのルヴィスとシオンね。分かった!私はノエル。火と風属性の魔術士よ!」


 そこからは、余っている部屋が無かったためレミアが『エクステンション』を使ってノエルを唖然とさせたり、どの管理人と友人になったのかなどの話をしたりした。





「ふぅ、取り敢えずこんなもん……ノエルちゃん?何をしてるのかな?」



「え?いや、ここに入るための条件を掲示板にのっけようかと……」



「やめて、すぐにそれやめて?いやまぁそれが分かったところでどうしようもないことなんだけどね?取り敢えずそれだけはマジで良くないから。ここにいる人以外に絶対に情報漏らさないでね?ホントに」



「は、はいぃ!分かりましたぁ!」


 レミアの本気で焦っている声での要求に、ノエルは拒否する事を放棄せざるを得なかった。恐らくこのまま情報を漏らしたら本気で殺されると思ったのだろう。


「ひえぇ、何だったんだろ今の……」


 レミアが立ち去った後、ノエルはこの人が本気で嫌がることはしないようにしようと心に決めた。

花粉がつらい時期になってきましたが、皆さんも対策はキッチリしましょう。

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