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14.75話 処刑人

11/25

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「…………ハッ!?アイツは!?」


 とある場所にて男が意識を取り戻した。


 そこは蝋燭の火しか明かりと呼べるものが無い場所。そして男が周りを見渡すと、三方向は壁に、そして元々向いていた方向には鉄格子らしきものが四メートルほど広がっている。


 彼が元々装備していた鎧はみすぼらしいボロ服に、バトルアックスは赤錆だらけの手斧になっていた。


「……そうだ、思い出したぞクソが。俺様はあのクソッタレの衛兵に何かされて………いや、まずここから出る方法だ。このギズゲルを舐めるなよ……!」


 そう言って男―――ギズゲルは何かここから出るための手掛かりは無いかと周囲を探し始めた。


 とはいえ広さとしては六畳ほどしかない牢獄。脱出の手掛かりとなるようなものはそう簡単には見つからない。そして次第に苛立ちを覚えてきたあたりで、何かが近付いて来ることに気が付いた。


「クソッ、何も見当たらねぇ。せめてもう少し暗くなけりゃ………あぁ?何だ?」



「ふーむ、意外と冷静な判断は下せるのな。お前さんみたいなやつだとさっさとここから出しやがれやー!って言いそうなもんだけど」



「んだとテメェ……俺様はそこまでアホじゃねえんだよ。で?テメェは誰だ?」


 そうギズゲルが尋ねると、目の前に立っていた人物―――声から判断するなら女だろう―――は思い出したかのように話しだした。


「あー、忘れてたねそういや。私はリネア、ここでの処刑人を担当してるんだ」



「処刑人ン……?ってーと、ここにいるやつをぶち殺す為にいるってことか?まぁ、俺様は脱出してやるがな」



「よく言うよねぇ、脅して物を盗もうとして尽く失敗。挙げ句の果てに店員を殺してでも金を奪おうとして拘束アーンド牢獄にドン。そんな頭アッパラパーなやつにここから脱出できるのかなー?」



「テ、テメェ、言いたい放題言いやがって……チッ、まぁいい。どうせテメェは俺様を処刑するんだろ?だがこっちはプレイヤー、リアルのように一度死んだら終わりじゃねぇんだ。どうする気だ?」


 そう言うと、リネアは少し意外そうな顔をしたように見えた。


「あらら、これまた意外。大体こういう輩って逆ギレするのに。まぁこっちにも対プレイヤー用の処刑方法はあるのさ。………とは言っても、一応ここから脱出する手段はあるよ?どう?聞く?」



「勿論聞いてやろうじゃねぇか。で?どうするんだ?」



「まぁそう焦らないで。その方法は単純、私を倒して脱出用のアイテムを手に入れること。モチのロンで簡単には行かないけどね?」


 そうリネアが言うと、ギズゲルはまるで余裕だと言わんばかりの笑みを浮かべた。


「ほほぅ?テメェみたいなやつをぶっ倒すだけで脱出出来るのか。挑戦するにはどうすりゃ良い?」



「(やっぱりチョロい。流石ココに来るだけのことはある)それもまた簡単。こっちが承認すれば別フィールドに移動してバトルスタート、どっちかのHPが0になれば倒した方の勝ち。ち、な、み、に………」


 リネアはそうもったいぶると、凄まじく嫌らしい笑顔で続きを話した。


「私は負けてもアイテムを奪われちゃうだけ、キミは負けたらそのまま私手ずから処刑して差し上げるよ!よろこびたまへ!」



「ハッ!処刑人だろうがなんだろうが俺様がテメェに負ける訳ねぇだろ?やってやろうじゃねぇか!」



「よーし、決まりだね。じゃ、ゴー!」


 リネアがそう言うと、ギズゲルの意識は一瞬で失われた。




「………へいへい、起きろい」



「………ッ!…ここがその別フィールドとやらか」


 ギズゲルが周囲を見回すと、直径二百メートルほどの円形の地面と、それを取り囲むように観客席があった。形としてはコロッセオに近いだろうか。


「さてここで私からのすっぺさーるなハンデをあげよう。私は一分間一切攻撃はしない、そしてキミは攻撃し放題。あ、その場から一歩も動かないハンデも追加しよう!さあ、これだけお得な条件、キミならどうする?」



「おいおい、そんなに脱出されてぇのかテメェ?どうなっても知らねーぞォ?」



「さてさて、どうなるかな?じゃ、スタートまで、さーん……」


 リネアが数えているうちに、ギズゲルは既に脱出後のことを考えていた。


 その間、リネアは目の前の男がどう出てくるかを予想していた。勿論、()()()()()()()()()ことに変わりはないのだが。


「いーち………スタート!」



「ハッハァ!貰った!『崩断撃』ィ!」


 リネアに向かって突撃しながら現状使える最高火力スキルまで発動したギズゲルの手斧はそのまま首元に吸い込まれるように動く。そして狙い過たず命中し彼女の頭部は錆まみれの斧とはいえどもその火力の前に―――何も起きなかった。


「テメェの敗因は油断したこと………ッ!?な、なんで……その盾はいつ……?」



「いやぁ、上手いこと引っかかるもんだねぇキミたち罪人は?私は攻撃もしない移動もしない。でもね?()()()()()()()()()()()()()よねぇ?あ、しかもこれ持ってるだけだから動いてもないよね!私ってば規則正しーい!」


 そう言われる(煽られる)ギズゲルだが、彼の頭の中では何故、いつからそこにそんな物が、といった疑問の感情がただひたすらに渦巻いているために脳まで届くことなくその言葉は耳をすり抜けていく。


 ネタを明かせば彼女は当たる直前、それこそゲームで言えば一フレーム単位未満の時間で元々装備していた盾を出現、更にその盾専用のスキルまで発動させたのだ。


 そのスキルとは『インビンシブルソウル』。効果は一分間ほぼ全ての攻撃の無効化という、そこだけ聞けば理不尽の塊のようなものである。


 それでも流石に防御貫通などの攻撃は通してしまうが、ギズゲルはあいにくそのようなスキルを持っていない。当然だがリネアがスキルの詳細を話す訳もないため、混乱したギズゲルはただひたすらにスキルを乱発するも彼女にかすり傷の一つすら付けられていない。


「クソが!その盾は一体どうなってやがる!?『フルスイング』!……アアァァァ!!クソッタレがァ!」



「おーおー、必死なこと必死なこと。さあさあ、あと十秒しか時間が残ってないよー?」



「ハァ、ハァ…………ウオォアァァ!!!『崩断撃』ィィィ!!………アアア゛ァ゛ァ゛!!?」



「はいっ、時間切れ♡じゃ、ここからは私も攻撃するからね?…『チェンジ』」


 リネアがそう言うと、今まで持っていた盾はどこかに消え去り、代わりに彼女の背丈の一.五倍ほどもある禍々しい大剣が手元に収まっていた。


 その剣は中心から少し右にズレたところに真紅の石が嵌め込まれていて、装備した彼女の周囲からは火の粉が舞っている。


「さて、出番だよ。耐えて見せてね?…『焼滅せよ、愚かなる者(ムスペルヘイム)』!」


 すると、突然その大剣とリネアが重なり、焔に包まれた。


 それによる影響は凄まじく、呆然として数メートル離れていたギズゲルの近くにまで膝下までありそうな大きさの焔が突然吹き上がる。


「ヒッ!?……に、逃げなきゃ、あんなのと戦ってられるか!」



〚ここから逃げられるとでも思うたか?この軟弱者めが!〛



「ッ!?………う、うぉわぁぁぁぁ!!?」


 軟弱者という言葉にギズゲルが思わず振り向くと、そこには全長5メートルほどもある化物がいた。


 その化物は全身が暗褐色の体毛で覆われた直立した狼のような姿をしているが、頭部に少し捻れた角が二本ある。瞳は先程の大剣に嵌め込まれていた石に似た色をしている。


「あ、悪魔………?」



〚不敬な、我は……ふむ、リベルと名乗ろう。汝には我が渾身の一撃を喰らわせてやろう。さぁ、耐えてみせよ!『デイブレイク・バーン』!〛


 その瞬間、周囲に充満していた熱気が全てリベルの右腕に集まり始める。まるで太陽の如き輝きと熱を持ったように赤熱化したその右腕は、地面に向けて叩き付けられると同時にその熱に指向性を持たせる。


 熱は地面を迸り、至るところで噴火のようなものを起こしながらギズゲルに殺到。彼を構成する何もかもを灼き尽くしていく。


「あ、ああぁ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」





〚………チッ、今回のも耐えられんかったか。一体いつになったら我を楽しませてくれる輩は現れるのか〛


 そう言い残し、リベルの姿が焔に溶けるように消え、再びリネアが焔の中から現れた。


「あら、全身真っ黒焦げ。やっぱり初手でこれはオーバーキルかなぁ?うーん………まぁいっか、取り敢えずこいつもあの場所に……っと。そいっ」


 そう言ってリネアが今度は鎌を取り出して何もない場所に振ると、そこから謎の裂け目のようなものが出来、そのまま黒焦げになっているギズゲルを裂け目に放り込んだ。


 それに呑み込まれるようにギズゲルの姿が消えると裂け目も閉じていき、リネア一人がその場に残った。


「よーし、これで仕事終わり!かーえろっ!と」


 そして再び鎌を振り裂け目を作り出し、そこに自分から飛び込んで行った。


__________________________________________


「はー疲れた疲れた。よいしょっと、なんか面白そうなのはー……ん?これは、初手友人称号?しかも彼から、ねぇ…」



「しかもあのマジ(魔術)キチからも、ついでにあの子からも貰ってるとは珍しい。てか三つって凄くない?ねぇ?」



「…ちょっと興味が湧いてきたかも。え、近々変なの来るって?んー、彼が関わるのならパパーっとやるかも?もち正体は明かさない方向でね?」



「よーし、他にも気になるのあるけどこっち見てみよーっと」

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