深淵のアリス

人類が、その活動の場を太陽系外へと広げてはや数千年。
五百億といわれる総人口は、今やもう百を超える可住惑星に散らばっていた。
いまだ異星人との邂逅もなく、人類は相変わらず人類同士での争いを繰り返しつつも緩やかに進歩、発展をし続けている。
一番遠い星と星との間では一万光年の距離にもなる人類域を、ネットワークで繋いで物と情報のやり取りを行うのは、超光速航行を実現するインフレータフライトシステムを載せる星系間宇宙船だった。
星と星の間を網の目のように航路が繋ぎ、無数の宇宙船が絶え間なく行き来することで人類域は活動している。
それはさながら体内を流れる血液のように絶え間ない。
そんな流れの一つ、国際郵便機構に所属する不定期星間郵便船の乗組員だったレオンは、ふとしたことから辺境の開拓途上惑星で、小麦色に日焼けした少女に出会う。
その少女の託した手荷物を運んだことで、彼の運命は大きく変わっていく。

まあ要するに、人類の未来は案外明るいかもよ　って話です。