8-B 太薙の境涯
次に影郎が登校した日、朝のホームルームで鳥尾先生が、太薙がアルバイト中に、事故で重傷を負った旨を伝えた。
数日後、影郎たちは日常業務のため、帝室庁を訪れた。月曜日の放課後のことだ。
4人がSSSのオフィスに入ると、間もなく辰午も入室した。
「晴日。太薙くんとは、ずっと前から知り合いだったの?」
辰午は、晴日のかけているいすの隣に立った。
「高校に入ってからよ。どうしてそんなこと訊くの?」
晴日は怪訝そうに、辰午を見上げる。
「いえね。僕この間、太薙くんの縁者にご連絡しなきゃと思って、ほうぼう探し回ったんだ。そしたら彼は天涯孤独で、3才のときから、『日野こどもの園聖バルナバ敬愛館』に入所してるって分かったんだ」
「私と同じ!?」
晴日が驚く。
(そういやらんの言ってた児童養護施設って、そんな名前だったな)
影郎は、晴日が辰午や芽実と出会うまでのいきさつを、4月にらんから聞いたことがある。そのとき児童養護施設の名も、耳にしたのだ。
「本当に心当たり、ない?」
「ないわ。そもそも私、あそこでは友達が、1人もいなかったから」
「そうか。太薙くん、初めてここに来た日に、『家族はいない』って言ってたよね。まさか、晴日と同じ施設からかよってたなんて。これもやっぱり、仙骨によるものなのかなって思ったんだ」
辰午はその後、近いうちに太薙の身柄を、帝室庁に移す予定であると、影郎らに告げた。
ここには医事部が存在し、国立大学の附属病院並みの設備が揃っている。だから、現在入院している鎌倉の病院よりも、充実した治療ができる。
ただ、当面は絶対安静で、影郎はおろか、辰午さえ立ち会えないだろう、とのことだ。




