■魔術(アルダー)■
魔法といえば、大多数の庶民はまずこれを思い浮かべます。
冒険者の間では攻撃的な魔法として、知識層の間では宇宙の真理を探求するための学問として理解されています。
学問としての魔術は、魔力を操り、物理現象として発現させる、そのプロセスを網羅しています。すべての魔法は魔術で再現可能で、世界のすべては魔術で創り出すことが可能なのです。
その性格上、ただ使えるだけの術者と、原理を理解する本職の研究者がいます。前者は「魔道士」、後者は「魔術師」と称され、一般人からの扱いにもかなりの差が生じます。むろん、尊敬を受けるのは後者です。
現実世界の「科学」という言葉に似たニュアンスだと思っていただければ、間違いないかも知れません。ただまあ、現代日本人が思う科学ほどには、物語世界で認知・信望されていませんので、そこは注意が必要です。
次は個別に魔術を紹介していきます。
ただし、魔術は星の数ほどあるので、物語中に登場したもの、主に破壊魔術のみ紹介します。
■【風撃】
空気を圧縮して叩きつける。ドラ○もんの空気砲です。
破壊魔術の中ではもっとも構築が早いので、おもに緊急回避の目的で使用されます。
■【灼弾】
ファイアーボールの呪文。
冒険者の間では魔法使いの代名詞になっています。それほど有名な魔法。
込められた魔力に応じて天井知らずに破壊力が上がる、という特徴があります。
■【天滅煌】
マジック・ミサイルの呪文。
術者の魔力に応じて複数の光の矢を打ち出します。これは必ず、指定した対象に「のみ」命中します。
込められた魔力が多ければ多いほど矢の数が増えます。一発あたりの破壊力は、魔力よりも術者の適性と装備が影響します。
■【灼陣】
ファイアー・ウォールの呪文。
術者の眼前に炎の壁を出現させます。その規模は魔力に比例します。
出現予定位置の地形が複雑だったり、なにか動くものがあったりすると失敗するので、いきなり出して攻撃に使うことはできません。どちらかというと防御用の魔法です。
■【宙域】
窒息の呪文。指定した区域の酸素を枯渇させます。
酸素のまったくない空気の中で数度呼吸を繰り返すと、肺の中の酸素が全てなくなり、脳が活動できなくなります。
ほぼ一瞬で気絶します。そのまま放置すると死にます。簡単に使えるわりには恐ろしい魔法です。
ただ、息を止めるだけで対処できてしまうので、知ってる人にはまるで通じません。
……これだけだと消化不良っぽいのでおまけ。
最上級破壊魔術もいくつか紹介しておきましょう。
■【天穿煌】
光を集めて打ち出す。荷電粒子砲。貫通力ナンバー1。
現実的に個人が使用できる最強の破壊魔術ですが、扱える術師は世界でも屈指。
ようするにガンダムのビーム兵器なので、狙われたら身体に穴が開くのは確実です。
いちおう、他の最上級破壊魔術と違い、魔法防御は可能です。
■【白煌】
火炎系最上級呪文。高温プラズマ化した白炎で対象を切り刻みつつ蒸発させる。
最高最強の破壊魔術で禁呪ってやつです。でも範囲拡大に必要な魔力が膨大すぎて、ほとんど儀式魔法なので実用性は低いとされています。
物語世界において、この魔法で破壊できない物質は「聖柱」のみです。
■【龍旋】
風系最上級、竜巻の呪文。日本人はとにかく竜巻なめすぎです。
物語世界では間違いなく最強魔法の一角。大型の敵にも痛打を与えられる対軍魔法で、もちろん魔法防御不可。回避? 竜巻ですよ? できるもんならやってみろと言いたい。
■【神劔】
雷の呪文。回避・魔法防御不可。急速に発達させた積乱雲から無数の雷を落とし続ける。
規模で言ったらメザイオを凌ぐ破壊魔術。完全儀式魔法なうえ発動に時間がかかるのが難点ですが、大抵の国家の軍が、いつでも使える用意をしています。
会戦場なんかで発動した日には大変なことになるでしょう。おかげでこの世界、意外と戦争が少ないです。
■【灼滅陣】
古代魔術その一。地上に太陽を召喚する呪文。
連鎖核融合反応を引き起こす魔術で、火炎系ではなく転移と物質操作の融合魔術です。
必要魔力はそれほどでもないので、原理さえ理解できれば個人でも行使可能ですが、使える術士は今のところ居ないようです。
また、強力な破壊力に反比例するかの如く、対抗魔術はごく簡単。敵陣に魔道士がひとりでも居ればまず失敗するという、トホホな魔法でもあります。
■【虚淵】
古代魔術その二。次元断。
空間をねじ切って穴を開け、対象を放り込む呪文。
実際は異次元に飛ばされるとかではなく、核力が連鎖崩壊して粒子が拡散するだけなので、古典RPGの「分解消去」とかに近い魔法です。
原理的には転移系魔術で、個人での行使も不可能ではありませんが、その代わり成功率が低く、魔法防御は比較的容易。このへんは【灼滅陣】と一緒です。