百戦錬磨(笑)
「まぁ、よかったではないが可愛らしい姫君で。
頑張れよ。」
晩餐までは姫君に休んでいてもらおうと言うことになり宰相が指示をして二人を部屋に案内させた。
魔王はまだ赤い顔を手で覆いうつむいていたので役立たずだったからだ。
乙女か。
そんな魔王に宰相が送った言葉が冒頭である。
「人族の王妃からもオッケー出たのだし、今夜にでも突撃すりゃあええ。」
「ぱーん事件にはならないと早く証明してください。」
「幼げな姫君だから魔王が変態に見えるけど気にするな!」
「ロリコンやーい。ワハハハハハ」
口々に好き勝手言う重臣や騎士に魔王がキレた。
「好き放題言いやがって!
大体、まだ婚姻の儀を済ませてないのに手を出すなんて…!こっ、心の準備とかあるだろうが!
お前らにはデリカシーがない!
俺は寝る!晩餐の身支度までは誰も部屋に来るな!」
プリプリ怒って自室へと逃げていく魔王。
「見た目だけなら百戦錬磨なのにねぇ」
「ぱーん事件後から女性と触れあってないし、避けられるばっかりだったからだねぇ」
「見た目はいいのにね、残念だ。」
魔王が去ったあとも、色々愚痴をこぼし合う。
自信満々の俺様魔王様はとうの昔に消え去り、今や外見だけは一級品の恋にびびりな男なのである。
「何はともあれ、魔王様には頑張ってもらわんとな。
これは我々の未来もかかっておる。
人は脆弱だ。皆の者、くれぐれも姫君への対応や扱いには気を付けるように。」
「「「「「「はいっ」」」」」」
宰相の言葉に皆、背筋を伸ばし敬礼する。
大体の者達が宰相に教育的指導をたまわった事がある為、内心ガクブルだ。