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ああ、涙涙の半生よ!(´;ω;`)

応接間で魔王と姫君が向かい合う。

重臣達や騎士達もそれを囲むように二人を見ていた。

姫君の隣にはお付きの美女がおり、姫君の手を握っていた。



「からだに違和感は?」


「ありません、ちょっと喉が乾いたくらいです。」



素早く飲み物が提供される。

我々は戦々恐々していた。

ここまで来る間、姫君は3回ほど復活の呪文を唱えられる事態になっていた。


1度目、歓迎の花束についていた毒虫に刺され全身ピンクの斑模様が出て倒れた。


2度目、何故か落ちてきた城壁の一部が頭に衝突しグロい状態に。


3度目、魔王の年の離れた従弟(いとこ)が嬉しくて突進してそのまま壁に激突し、首がおかしな方向に曲がった。



「王女様、少しお眠りください。

魔王様、よろしいですね。」



姫君には優しく、魔王には塩対応でお付きの美女は言うと、返事も待たずに姫君を膝枕させた。

姫君、羨ましいです。

3度目撫でられただけで姫君は健やかな寝息をたてはじめた。寝つきいいな。



「あなた方が望む、魔力が一切無い女性がこの方です。」



淡々とお付きの美女が言う。


今回の婚姻の絶対条件は、魔力が一切無い若い女性、ただそれだけ。

身分は問わない、と伝えていたが王族の姫君が来るなど我々は予想していなかったので嬉しい誤算だった。

王族の姫君ならば王妃教育もさほど大変ではないなーなんて話していたら来たのはよく死ぬ姫君。

なにそれ、怖い。



「正直に申しますと、王女は国王様の若気のいたりで平民との間にもうけた子どもです。

しかもクソや…いえ、国王は産まれた王女を見て魔力無いしオーラ無いし、普通顔だしいらねっ…という理由で母子共々離宮の奥深くに押し込めたのです。

そして王妃様に平謝りして、結婚したのです。

待てど暮らせど訪れない国王を思っていた平民はとうとう発狂してしまい、王女もろとも死のうとしました。

高い塔から身を投げ平民は死亡、王女は復活の呪文を私に唱えられ息を吹き返しました。」



「気になったのですが、質問よろしいですか。」



私が手を上げると、お付きの美女は頷いた。



「姫君はけっこうな回数復活の呪文を唱えられているように思えます。

人族も我々も、差はありますが蘇生回数上限があるはず。姫君の上限は…」



「∞」



「は…?」



「王女は魔力がありませんが蘇生回数は∞(無限)です。

我が国の王妃様は慈悲深いを装う策略家の女傑です。

母を亡くした王女に対し、なんだか癒されるし、いずれ役に立つかもな~という理由で時に厳しく時に優しく育て上げました。」



ペット枠、という言葉が頭に浮かんだが慌てて消し去った。

姫様はなかなかハードな幼少期を過ごされたようだ。



「王女はカルガモの雛のように王妃様になつきました。

王妃様もちょっと厳しく指導しただけでガクブルなるお子様よりも根性と愛嬌のある王女を可愛がりました。

それ故、王妃様の代わりに間違って毒入り食材を食べたり飲んだり、身代わりになり復活の呪文がかなり必要な事態となり王妃様も心配になり調べたところ分かった蘇生回数上限∞でした。」



「うむ、とりあえず死んでも大丈夫なのは分かったが…いや、大丈夫じゃないだろう!

死ぬのは痛いし怖いだろう!」



珍しく魔王がいきり立った。

ぶわり、と魔王の怒気に呼応するように風が吹く。

ゴッ、と後ろから宰相閣下の拳骨が振るわれ、とたんに魔王は大人しくなった。

教育的指導怖い。



「王女は死んでしまう状況下になると痛みや味が一切無くなるらしいです。

というか、我々とて王女を死なせたくないのですが、持ち前のうっかりさと不運で死亡率を格段に上げているのです。」



深く深ーくため息をつくお付きの美女。

美女はなにしても美女。



「マカロンいっぱーい…」



むにゃむにゃと幸せそうに寝言を言う姫様。

ああ、うん、なんか癒されますね。

今度茶菓子はマカロンを頼んであげましょう。


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