表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その優等生ゲスにつき  作者: カツ丼王
26/31

24.一人の夜

 次の日、俺は家から一歩も出ずに一日を過ごした。学校が休校になっている以上、むやみやたらに外出するのは良くないだろうと考えたからだ。それに、明日学校で投票活動を行わなければならないため、そのための準備も必要だった。


 時刻は夜八時過ぎといった所。俺は自室のノートパソコンを眺めて、憐明高校に通う生徒たちの様子を確認していた。最近はSNSに代表されるコミュニケーションツールのおかげで、顔を合わせなくとも多くの人間の情報を得ることが出来る。実際そのおかげで、俺は容易に彼らの声を聴くことが出来ていた。


「この先、学校はどうなんのかな?」


「犯人まだ近くにいるんじゃね!?」


「傷害事件とかにまでなったら、マジやばいよな!!」


「怖いなー。外で出たくない!」


 ディスプレイに映し出された彼らの関心はある一点にだけ注がれていた。当然のごとく、今憐明高校を揺るがしている脅迫状の件についてだ。多くの者はこの話題に興味津々であり、タイムラインにはそれについてのコメントばかりが溢れかえっていた。平和で変化のない日々を送る彼らにとって、良い悪いは別にして刺激的な出来事であったのは間違いない。純粋に今後を心配する者、不安を駆り立てるような発言をする者、次は何が起こるのかと楽しんでいる者……反応は様々。


 そしてこの件に付随して、桐生と如月先生の話も広まっていた。俺の流した情報によって、話を聞いた者のほとんどが、ストーカーと脅迫犯が同一人物だと思っているようだ。それと、今回起こったことを俺たちのせいにする学生がいるかと思ったが、その心配はほとんどなかった。やはり初動で、知り合いや友人たちに協力を取り付けてから情報を流布したことが大きいかもしれない。日頃から人脈構築に勤しんでいたのが功を奏したようだ。


 脅迫犯についてだが、証拠はないものの、俺個人としても同一人物だとしか考えられない。犯人は未だに捕まっていないため、何かしでかさないかという不安ではあるが……俺にはどうしようもない。幸い桐生家はその辺厳重であるわけだし、聞いた話だと、警察や知り合いの人が代わりながら見張っているらしい。桐生は学校に来れていない状態だが、家に居る方がかえって安全なのかもしれない。


 そして俺が現状、達成しなければならない課題は『生徒投票を学校側にばれないように行い、賛成票を規定以上まで集め、最後には校長等に校則の改定を認めさせる』ということになる。あとは犯人が逮捕されてくれれば、桐生の抱えた問題はすべて解決する。


 俺はパソコンから視線を外し、部屋の天井を仰ぎ見た。


「……俺に……出来るか?」


 目の前に立ちはだかった難問に辟易とした心境になった。そもそも、学校側に隠れて署名を集めるなんて不可能に近いとえる。もし彼らの目を逃れて活動することが出来たとしても、署名を集めた生徒から漏洩することだって十分あり得る。ただでさえ、風紀に厳しい校風なのだ……生徒に対する教師達の監視の目も相当なものである。憐明高校で生活していれば、それはイヤと言うほどわかる。


 だが――策はある。絶対に成功するとは言えないが……教師たちの監視の目を掻い潜り、生徒達から票を集める方法が。


「……とにかく……俺はできることを最大限やるだけだ」


 明日はこの学園に入学して以来……最大の勝負に出る。必ず目的は達成してみせる。俺は最強だ。誰にも負けるわけにはいかない。


 目線をパソコンの方へと戻し、俺は作業へと戻る。ふと手元を見ると、マウスを持つ手が震えていることに気付いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ