乙女ゲームの中で彼女はハッピーエンドを迎えれる訳がない
あっ、これ私転生してね?
大好きな家族に包まれて
15歳の誕生日を過ごしている途中私はふと前世の記憶を思い出した。
何故なら私が今住んでいる世界は私が私である前のあたしがやったことのある乙女ゲームそっくりだったからだ。
あまりの衝撃に一度ポカーンとなったけど、すぐに気を戻す。
キラキラと輝くシャンデリア、お気に入りの緑色の胸元があいたドレス、そして左手には昔、幼なじみと結婚の約束をしたときにもらったブレスレット。
間違いない。これはあのあたしが大好きだった乙女ゲームの中の世界でここは主人公の家だ。
ん?この家には私以外の女の子の姉妹いないし。
もしかして私ってば主人公?
うわぁ、やべえ。よくみたら目の前に座っている兄様とか攻略キャラじゃん。やばい超キラキラしてる。後光がっ後光がヤバいです!兄様!何で今まで気がつかなかったんだ私!!バカなの?うん、バカだったわ。
えっ?兄様、なんですか?体調?あぁ、ずっと俯いてたからだいじょうぶかって?勿論ですわ。
今まで一番爽快な気分ですわ。うふふ
それから一年がたって私は高校生になって乙女ゲームの舞台になるであろう学園に行った。
そこには、攻略キャラである皇帝もクールな生徒会長も俺様になった幼なじみもいた。
私は主人公。目指すのは逆ハーレムエンド。
私はこの乙女ゲームをやり込んだ。全ての選択肢を覚えていてキャラの対応も覚えているくらいに。
うふふ、大丈夫。私ならできないことなんてないわ。
この時の私はそう思い込んでいた。
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「ミドリ、無理すんなよ」
えっ‥と、皇帝が好感度85の時にいう言葉だから、この返事は
「大丈夫だよ。」
短いけど今の皇帝が一番安心できるこの選択肢が正解。ほらっ、皇帝の目がさらに優しげになった。そして、別れみちではあの皇帝が手を握って別れを惜しんでくれる。
結論、逆ハーエンド予約簡単でした。
攻略本を片手に持ってプレイしている状態の私にはイベント通りに進むキャラの攻略なんて余裕だった。
そう。イベント通りにしか動かないのだから。
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この世界が私の思っている通りにしか動かないと知ったのは何時の事だったか。
この世界の人々は彼らの普段の行動からは考えられもしないことをイベントだからという理由で彼らが知らず知らずの内に動いていることを知った時の気持ち悪さはどれほどだったか
初めは楽しかった
自分の思い通りに皆が私に好意をもってくれることが。
でも、それはいつの間にか気味悪いなった。
彼らに心なんてないことに気がついてしまったから
世界が世界の意志で生きていてそこに人の意志なんてないっでことに。
この世界は私にとって居心地が良すぎたのだ。私のためにあるような。他の人々の気持ちなんて関係なし。私にとってだけ都合がイいセカイ。
私は何時からこのセカイに転生したなんて思い込んでいたのだろうが。
もしかしたら、私は転生なんかしていないのではないのだろうか?
私はきっとまだあたしのままできっと交通事故とかそんなものに巻き込まれて今も眠っていて…
このセカイもそんなあたしの夢で…
いや。そんなはずがない。首を横に振る。でも、完全に否定できない私がいる
転生なんて甘い話本当に起きるとでもイウのだろうか?
私はイマ本当にイキテルの?
ダレカ、おしえて