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57輪

千年樹の木霊のお怒りも収まり、やっと話ができた


「まず、聞きたいことがあります」


「発言を許可しよう」


ここは千年樹の木霊の地。故に亜矢椿先輩も発言する際には許可が必要なんだそうだ


って言うか半分土地神化しているって亜矢椿先輩や美咲さんが教えてくれたケド、僕は普通に話してたよね!?祟られないッ!?祟られないよねッ!?


「先ほどおっしゃった『゛広野江゛の名を持つ悲しき運命』とは何ですか?」


「それって広野江に関係あるンですか!!どうなんですか!!」


「そこの男児よ」


千年樹の木霊の瀧月君を見る目が些か冷たいし、何か周囲の空気も冷たい


「我はそこの女児には発言を許したが、お前に発言を許可した覚えはないが……」


目を細め、冷笑しながら瀧月君を見る


……うん。気のせいじゃなかった


「まぁ、いいんじゃね?とりあえず千草(おまえ)、ソイツの質問に答えてやれよ」


「宵の(よいのあやかし)……。ハァ、わかった。先ほどの問いに答えよう」


宵の妖?阿比王のことだよ……ね?


何で宵の妖?


「゛広野江゛とはこの地域特有の言葉換えによって付けられた名だ」


「言葉換え?」


「漢字で書くならこうだ」


千年樹の木霊はそう言うと地面にこう書きはじめた



   悲 呪 穢



「………は?」


「えっと……これは……いったい……ι」


「逆に読むのか?」


亜矢椿先輩の言葉に納得がいった。この地域は未だに古き日本の特徴を色濃く残している。故に、昔の日本人が字を右から左へ読む習慣が、まだこの地域に残っているのなら納得がいくが、少し可笑しい。


そして、漢字が酷い……


「『穢れた呪いを受けた悲しき者』。と書き、一字一字を出した結果が゛悲呪穢゛(コレ)だ。そして、その意を悟らせない様に゛呪゛の部分を逆さにし、全てを当て字に変えた。そして出来たのが、゛広野江゛だ」


「どうして、そんなこと……それに穢れた呪いって……」


美咲さんが悲しそうにしながら訊ねた。今度は怒らずに言った





「真実は主ら自身の目で確かめろ。さすればコレがわかる……」




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