5輪
「何……これ?」
「牢屋だな」
「何で図書館の地下に牢屋が……」
阿比王は知っていたのだろうか?図書館の地下室が牢屋だってことを……っと考えて思い出した
「阿比王はッ!?」
「そう言えば見当たらないなぁ」
阿比王が見当たらない。元々薄明かりのこの場で見つかるとは思ってもいないが……
「阿比王ぉ~!」
「コッチだ」
「うおっ!」
阿比王の声が後ろから聞こえた
「松明があったから火をつければ灯りになるだろ」
「火か……」
「陰陽術でつけるか?」
「それもどうかと……」
「火打ち石なら置いてあった」
何時代!?
兎に角火打ち石でつけるのは却下。仕方がないので陰陽術で松明に火をつけた
牢屋はまだ奥の方にも道が続いていたので行くことにした
暫くすると、木で出来た小さな机と椅子、本棚に燭台があった
そしてその机等の奥はやはり牢屋だった
「また牢屋……」
「でもこの牢屋以外何にもないな」
「ノートに何か書いてあるな、後スクラップ張か?」
スクラップ張を見てみるとそこにはとある村の大災害の記事が貼ってあった
―――――――――――
○○県○○村にて大災害!!
小さな村だったのにも関わらず、村のあちこちから火の手があがるという不可解な事件
死者120人
行方不明者1人
負傷者325人
この村の少年が現在も行方不明……
―――――――――――
「何だこれ?」
「神陰学園のスクラップ張は大抵が妖怪関連のコトが多いらしいが……」
「ノートには何が書いてあるんだ?」
「えっと……」
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○月×日
この子はまだ何も言わない。人間を敵と勘違いしている
どうすればこの子は普通に戻れるのだろう?
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○月☆日
またこの子が襲いにかかってきた。末恐ろしい子だ。このままじゃ……
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○月◇日
これ以上はダメだ。もうこの子の記憶を奪うしか他に方法はないのか……?
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○月□日
恐ろしい……。この子は記憶を消す術を打ち消した……
こんなことは今までなかったのに……
何なのだこの子は……
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……誰かを閉じ込めていたのか?
この牢屋に……
この場所で一体何が……?