43輪
二人の放つ攻撃を山姥は飄々とかわす
『グヘヘヘヘへ、いきがいいじゃないかい。美味しそうだよ』
「チッ、」
「縛!!」
動きを縛ろうとするも、山姥の動きが早すぎて捕らえられない
「うわぁッ!!」
「「瀧月(君)!!」」
山姥が振り降ろした包丁が瀧月の腕を裂いた
『ヒヒヒヒヒ、いいねぇ~』
「コイツ!」
「焦るな瀧月!」
「今、怪我を治します!」
焦れば奴の思い通りになるかもしれない。だから今は余計に焦ってはいけない
―――――――――――
~阿比王side~
「全員を別れさせたか」
一筋縄にはいかない。何より気性の荒い奴等に攻撃をすると自殺行為だが、まぁ大丈夫だろう
「アイツら自身、どこまで強くなれるか……」
弱ければ死ぬ。弱肉強食の世界
今でこそ綺麗なこの森。昔は酷かったそうだ……。この綺麗な自然を壊そうとする人間達の勝手な欲望。
この森を住みかにしていた妖怪達の怒りをかい、沢山の人間達を山に連れ去り、亡き者にさせた。
そんな妖怪達を滅するべく数十人の陰陽師が現れた。何日も続く戦い。それにより、人も妖怪も双方に甚大な被害がでた。その時から人に悪さを出来ないよう、陰陽師達は妖怪避けの結界を張り巡らせたそうだ
まぁ数十年後、アイツによってお互いが納得できる契約を交わしたが……
「かたや気性の荒い方、かたや温厚の毒舌家ども」
さて、お前らはこの状況をどうするんだろうな……
~阿比王side end~
―――――――――――
「クッ、」
『諦めて食べられな……』
「誰が!」
目の前の山姥は思っていた以上に強く、何よりスピードが早い。故に捕らえられないのが腹立たしい
「落ちつけ、コイツは早いだけで一撃一撃が軽い。何より、あの山姥はどちらかと言えば猪突猛進的なタイプだ」
「うっへぇ~」
「なら私が囮に!」
「「それはダメだ!」」
どうやら彼らの守るべき順は広野江の次に美咲のようだ




