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32輪


「(あの時の彼の目が怖いと思うのは、あの場の雰囲気に呑まれたのかなぁ?それとも……)」


「莉緒?」


亜矢椿がふと隣を見ると小刻みに震えている美咲の姿が見えた


「大丈夫か?」


「大丈夫……大丈夫だよ」


美咲は笑ってみせたが、亜矢椿にはソレが無理して笑っているということに気がついた。


「莉緒、広野江の祖父から何か感じたのか?」


「えっ!」


「お前は昔から人一倍相手から何かを感じやすいからな」


「………」


美咲は言おうか迷った。陽炎の祖父の悪口を言いたいのではないが、口を開けば多分ソレは陽炎の祖父の悪口になる


だから彼女は亜矢椿に「本当に大丈夫だよ」としか告げなかった




―――――――――――


「と、まぁそんなところだ」


「うわぁぁあぁぁ!阿比王がすみません!」


「嫌、別に謝らなくてもいいんだがな」


山に行くなんて無茶苦茶なこと言ったりとかしているのに、何で亜矢椿先輩はこんなに優しいのだろう


普通の先輩方だったら後輩の式神【お前の式神になった覚えはねぇーよ!!/by 阿比王】にこんな風にされたら腹が立って、その後輩をタコ殴りにするとかフルボッコにするとかしそうなのに……


あっ、自分で言ってまた泣けてきた


とりあえず、僕たちは朝食を食べた後、食器を洗って片付けて、それから山に行く準備に取りかかることにした



―――――――――――


「でも何で山の中に態々入って行かないといけないんだろうね」


「確かにな……」


準備をしながら瀧月君とさっきの話をする


『山を越えた向こう』と言うのなら別に山に態々入らなくても、その村までタクシーで行くとか、バスで行くとか、いろいろあるのに……


「阿比王が馬鹿なのかなぁ?」


「なんだそりゃ(笑)」


「だってさ、別に山に入らなくても、タクシーとかバスとか使え「馬鹿はお前だ!下僕がッ!!」ふぎゃあッ!!」


いきなり後ろからおもいっきりド衝かれた


そして僕の背中をおもいっきり片足で踏みつけて言った


「お前らは過去を知るんだろうが!だったらその人物の歩みから調べろ!」


「無茶苦茶だなぁ……。じゃあさ、織田信長みたいな人の最後とかはどうなるんだ?」


いやいや瀧月君!織田信長って裏切られて死んでるよね!明智光秀によって死んでるよね!!?まぁ、明智光秀は三日天下だったけどさ!!


いや、この際歴史勉強は置いといて、阿比王にそれ聞くの!?


「そん時は寺で寝かせておいて、後で火を放つに決まっt「うわぁぁぁあぁぁ~~ッ!!マジでやらないよね!?阿比王マジでやらないよn「うるせェーッ!!黙ってろ下僕!」グハッ!」」


「広野江、大丈夫か?」


心配してくれる瀧月君に向かって僕は右手を挙げて、返事をした




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