2輪
放課後、亜矢椿先輩や瀧月君達と一緒に図書館に来た
夏課題の歴史上人物を誰にしようかということを決める為にも、亜矢椿先輩の助言が欲しかったのもあったし、神陰学園の図書館には歴史上人物の生い立ち等をスクラップしたモノもあるので、調べるのにはうってつけだった
「先輩の時は何が調べられたんですか?」
「一番人気がやはり安倍晴明だったな」
やっぱりですか……ι
「次に調べられてたのでは芦屋道満だな」
「芦屋道満?」
「道摩法師のことです」
瀧月君、安倍晴明を知っているのに芦屋道満は知らないんだね……。美咲さんが道摩法師と言っても頭に?が出ている位だから……
芦屋道満は安倍晴明とライバル関係にあった陰陽師だ。確かに陰陽師として調べらるなら代表的な存在だろう。
その存在を知らないなんて、少しは勉ky……あっ、駄目だった。
前のテストの悲惨さを思えば勉強は駄目だったのに……なんでそんなことを忘れていたんだろう……
僕達三人が遠い目をしているのに気づいた瀧月君は慌てている
「知ってるぞ!それぐらい!」
「じゃあ、芦屋道満は何処の国出身だ?」
「えっ?日本だろ?」
『そう言う意味じゃない』僕達三人が同時に思ったことだった。
「瀧月君、国って言うのは、尾張、紀伊、三戸、江戸、京、三河、陸奥等のことですよι」
「うっ、」
戦国武将が好きなのに何で国と聞いてピンッと来ないのだろう?
「まぁ、瀧月の勉強が壊滅過ぎるのは前のテストでわかっていたことだから、今さらグダグダ言っても意味がないからな」
「亜矢椿先輩ッ!!!」
悲痛な瀧月君の声が聞こえたが、否定しない所をみると本人も自覚済みらしい
「とりあえず、お前達は誰を調べたいんだ?」
「俺は戦国時代の武将だったら誰でも!」
「歴史に登場する女性方なら誰でも……」
「「………」」
「……広野江は誰がいいんだ?」
二人の返答を聞いた亜矢椿先輩は一瞬遠い目をしたが、直ぐに僕に聞きにきた
「あっ、その……調べたいとは思うんですけど……その~」
「?誰だよ?」
「誰かは知らないけど、ほら瀧月君にはこの前話した綺良姫結晶華の……」
「あぁ~、あのチート技か……ってかそれって歴史上人物じゃないんじゃ……」
「嫌、歴史上人物だぞ」
「「「えっ?」」」
「夏課題は日本の歴史とは断定していないだろ?綺良姫結晶華は神陰学園の歴史にいる人物が作った技なのだから、その人を調べることはOKだ」
そうなんだ……
そして話し合いの末、綺良姫結晶華を作った人物を調べるコトにした……
だがそれは……
とてつもない
憎しみと怒り……
悲劇と嘆きの……
始まりの物語でもあった