17輪
♪揺られ 揺られ
道を進むの
大地に耳を
傾けながら
風は語る
キミのことを
いつまでも
いつまでも
あなたは知るよ
彼のことを
夢物語と言うのなら
流れる川に
輝く光
あぁ、そこに
希望があるのなら
少しでも触れたい
キミのために
囁く星々
キミがため ♪
牛車をひく式紙さんが歌を歌いながら目的地まで行く
でも、その歌が何故か気になった。だからなのか、歌に耳を傾け続けた
何故だろう?
胸騒ぎが止まない。何より、皆と離れてい……訂正、阿比王以外の皆と離れているからだろうか
どうでも良いことだけど、阿比王は牛車の牛に乗って、時々『もっと早く行けよ』って、式紙さんにいちゃもんをつけている声が聞こえた……
それに律儀に『申し訳御座いません』って聞こえて、申し訳なくなった
―――――――――――
阿比王side
「で、何でお前が動いてんだ?」
アイツが亡くなった今、コイツが動くハズがない
「死して尚、あの方の力が強大で膨大ゆえに我らは動いております」
「ハッ、そうかよ。余程お前の主は『最低の野郎』に磨きがかかったな」
アイツの血を霊力に変えて、コイツ等を動かしているあの野郎
『最低の悪野郎』がまだ生きているってことか
「主を侮辱することは許しません」
「だが、お前は俺に怪我をさせることさえ出来ないだろうが」
アイツの血を無理矢理霊力に変えて、コイツ等動かしている為にコイツ等は本来の主の命令に従えない
だから、本来主を侮辱されたコイツは俺を攻撃してきて忠告しても可笑しくはないのだが、今コイツ等を動かしている霊力はアイツだ。
あの悪野郎はアイツの霊力にひかれた、だからアイツが怪我した際に血を採った
あの最低の悪野郎を、俺は赦しなどしない……
阿比王side end
―――――――――――
「まだつかないのかなぁ」
いくらなんでも遅すぎるって言っても牛車で行っているのだから、遅くても仕方ないのかもしれないが……
一時間も揺られていると……
「酔った……吐きそう……」
この時、僕以外のメンバーも吐き気と(慣れない牛車に長時間いたためによる)痛みでヤバかったのだと言うことを、今から30分後に知ることになった




