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136輪

僕らの夏は、いつもの日常以上に波乱万丈の日常だった。


良い意味と悪い意味、両方があるのは、瀧月君の夏休みの宿題を終わらせるのを手伝うだけなのに、あんなにも奮闘したことだ。


後に来るであろう冬休みの宿題の対策もこの時に話し合った。尚且つ、僕らは今後の自分自身への課題についても話し合った。


僕はまず、皆に追い付けるだけの陰陽術を身につけること


亜矢椿先輩は感知能力や防御といった部類の強化


美咲さんは少しでも攻撃の術を持つこと


瀧月君はまず、勉強をどうにかしようということだった。(陰陽術よりそちらの方が危ないとわかったので)


「おじいちゃんのお陰………かな」


僕らの知らない弱い部分。僕らの今後の課題。祖父の過去を知る為だけだったのが、いつの間にか、自分達を見直すことになっていた


それは、祖父と出会った僕らが思ったことで、特に美咲さん達三人が感じたことだった


祖父は僕らにそれをわからせる為にやったのだろうか?


「(いや、違うよね……)」


あの人はそこまで計算しているかはわからない。だが、結果的に改善すべき点が見つかった


ただ、それだけ……


「そう言えば、あの時おじいちゃんおかしなこと言ってたな……」










『陽炎










本当の戦いはこれからだよ










阿比王をお願い……』



―――――――――――


「お前はお節介だよな」


巨大な桜の木に向かって話をする


今は青々とした葉を繁らせて、大きな木陰をつくっている


「昔はよく花見とかしたよな。特にここから見る山桜の景色は見事だったよな……夏には川で水浴びて、泳いで木陰で昼寝して」


目を閉じても思い浮かぶ。あの頃三人で一緒にいた……


「まったく、お前もアイツも俺の心配ばかりして……まぁ、類友婚だから仕方ないか」


まぁ、今はまだ寝てろ。な、陽日鎖


「いつかまた、会うんだろ?」


その時は、思念体じゃなく、ちゃんとした人として会おうな


「また、三人仲良く……」







『阿比王』




桜の木が揺れる……







『また会おうね……』






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