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124輪
おいでなさい
夢の戸を
恐れずひいて
出てきなさい
「迷ったら、先には行かず、戻りましょ。………って、この先どうだったかな?」
祖父は困った時、迷った時、嬉しい時等に歌う歌を僕に聴かせていた
それが、本当にその場で勝手に作った歌だと解ったのは、前に阿比王のいる前で口ずさんでしまったから
その時阿比王は
『耳障りだな。お前のこれからにぴったりの耳障りな歌』
『なっ!?おじいちゃんが作ったんだよ!』
『その場しのぎの歌をな』
その後は散々僕を貶して、罵って……散々な目にあったけど……
ただ、なぜ祖父はこんな歌を作ったのかが未だにわからない
「う~ん……」
「………江君!」
「ん?」
誰かが呼んだ気がした
「広………江ッ!!」
「………野………ッ!!」
その声は、今夏休みの宿題に取りかかっていて、いるはずのない全員の声だった
「瀧月君!?美咲さん!?亜矢椿先輩!?」
いるはずのない全員の声のした方向へ駆け寄った




