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114輪
亜矢椿の無言の圧力により、瀧月は自らの口を開いた
「広野江は、昔の友達に似ているんだ」
「友達ですか?」
「あぁ、性格とかは少し違うけど、何だろな雰囲気?みたいなモノが似ているんだ」
「ほう。その友は今何処に?」
「今は入院しているんだ」
「えっ!」
この答えには純粋に美咲は驚いた
亜矢椿はやはり聞いているだけだ
「アイツも、同じ陰陽師の家系なんだけど、親の期待とかでプレッシャーを感じて、押し潰されそうになっていたんだ」
それは、陽炎も同じだった。そしてそのプレッシャーにより陽炎は壊された
しかし、
「アイツは広野江と違って、限界ギリギリまで来た時に親に反抗しまくって、最終的には家出したんだ」
反抗して、親たちは気づかされた。自分達が何をしていたのかを……
「だから、今の広野江が、限界ギリギリまで追い詰められていた昔のアイツと被るんだよ!助けたいって思うんだよ!!」
孤独を理解は出来ないが、それでも、『広野江陽炎』と言う一人の友を理解したい。それが瀧月の願い……




