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108輪

「陽日鎖さん」


「ん?」


「広野江を元に戻す方法はありますか?」


瀧月の真剣な問いに陽日鎖は少し驚いた後、笑って言った


「ないよ」


きっぱりと、無邪気な笑顔で『ない』と言ったのだ


「ないってそれじゃあ広野江君はッ!」


「何か方法はッ!!」


「ないものはない。それだけだよ」


「術者が解けぬ術など作るハズがないでしょう」


亜矢椿達は絶対にこの状況を打破する方法があると信じて止まなかった。だが、そんな彼女達は次の瞬間黙るしかなかったのだ



「うるさいなぁ」



陽日鎖のたった一言。この一言で全員は声が出なくなった



「君達はさ。自分の知らないことを相手に教えられると思うの?僕は知らないから知らないって言ってるの。君達に付いてる耳は飾りかい?何処かの知ったかぶりの大人達みたいに持上げといて突き落とされる。そんな状況下に陥りたいの?それで良いなら僕は『大丈夫!陽炎はそんなに柔じゃないから!僕も何とかしてみせるよ!』って言うよ?そして後から『やっぱり見つからなかったよ』って言うからね」


とてつもない威圧感。


そして、彼の絶望的な選択肢


最初から助からないと解らせておくか、希望を持たせておいて後から絶望に突き落とされるか……


どちらも最悪でしかなかった




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