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106輪
「やまぶきのかみ?山神様の名前ですか?」
「違うよ?勝手に名付けただけだよ?虎巴都達もそうだけど、気に入ってるならそれでいいよね」
天真爛漫、無邪気に言ってる陽日鎖が本当にあの綺良姫結晶華で見た陽日鎖なのかがわからなかった
そして何よりも
「本来の広野江は霊感が無いハズだ。霊感の無い広野江が、霊力を貰ったにしろ、イタコの様な事などまず出来るハズがないのに……」
「簡単な話だよ」
陽日鎖は笑いながら言う
「本来の陽炎は感受性が高すぎたんだ。普通の人以上にね……。だけど、彼らに陽炎の心がボロボロにされた時は大変だったんだよ。まぁ、時間をかけて戻したけどね。そして僕が霊力をあげたことにより、幽霊や妖怪達の心や魂にまで触れられる程にまでなった。その結果が今の状態」
皆は黙った
「陽炎は言ってたんだ『愛されたい』ってね」
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『愛されたい』
『愛されたかった』
『皆みたいに、普通の家族に……』
『おじいちゃんは人には愛されたかったけど妖怪が愛してくれた』
『羨ましい』
『誰からも愛されなかった僕には』
『眩しいよ……』




