表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今宵共に  作者: 鷹羅
2/9

交わった歯車

人界(じんかい)に着いて早三分


魔界(まかい)とは違う風景


幾度も訪れているが、いつもと違う


深紅の髪をなびかせ、妖狐(ようこ)鬼恐(ききょう)は空を優雅に舞っていた。


十五夜の夜はやはり心地良い。兎を描いたお月様が見守ってくれている。


鬼『あっちか…』


鼻をくすぐる甘い匂いの源を目指して空をける。


噂の半妖怪を一目見たい。修羅の血を喰せば最強だ。


修羅の血。最強の力を持つ妖怪一族の血筋。数年前、一族は絶滅した。しかし、絶滅する前に修羅族の一人が人間を嫁にし、子を生んだという噂がある。それが妖怪と人間の間に生まれた“半妖怪”。


まだ生き残りがいるのならば、そいつが最強の座に着くだろう。喰いたい。ウズウズして仕方ない。


つい最近喰した妖怪は、とても美味だった。強い奴で血が騒いだ。最後に何か言ってたな。“愛娘”がどうとかなんとか…忘れた。そんなこと知らねぇし。





匂いが濃くなってきた。甘くて癖になりそうだ。


一軒の日本家屋。


門をくぐり、源へ向かう。


大きな庭に着いた。


鬼『ん…?』


縁側に小さな子がいた。顔から見て女だ。横たわっているから死んでいるのかと思ったが、スヤスヤと小さな寝息が聞こえたので眠っていることが分かった。


可愛らしい寝顔だな…いやいやいや!!違う!!俺は妖怪だ!!人を喰う妖怪だ!!この小娘からさっきまで匂っていた甘い匂いがする…まさかなぁ。


こんなところで眠っていれば風邪を引くだろう。


鬼『おい、風邪を引くぞ。』


なーんてな。人間ごときに妖怪の声は聞こえるわけがない。人間に気配るなど…俺はまだ半人前だな。


「ん…誰?」


可愛らしい声。小娘はこちらを見ている。


見えてないはずだ。きっと…。


「誰?」


う゛…見えてやがる…


鬼『妖怪…名は鬼恐だ。』


「ききょー?私、透和(とわ)。」


ニコニコしやがって…俺が怖くねぇのかよ。


鬼『俺が見えるのか?』


透「うん。あと、触れるんだぁ。」


鬼恐の着物を引っ張る透和。無邪気な笑みを浮かべる小娘は何故か憎めない。逆に愛しく感じる。


透和以外の気配はまったくしない。一人?


鬼『透和、お前いくつだ?』


透「十だよ。」


十なら親はいるだろう。


しばらく話をしていると、透和がウトウトし始めた。夜だから眠いのだろう。


俺が帰ろうと縁側を離れると、


透「また来てくれる?」


悲しそうな目をしていた。誰かを失ったような目だ。


鬼『もう来ねぇよ。』


ヒラヒラと手を振り、魔界へ帰った。


俺は妖怪だ。人間を相手にする甘い奴じゃねぇ。






そんなことを言ったが、たまに会いに行っていた。無意識だ。魔界に帰っても会いたくて仕方がない。


いつも笑顔で迎えてくれる透和。いつ行っても親はいない。


一人。一人ぼっちなのだ。


透和の悲しむ顔は見たくない。護ってやりたい。





気づけば、屋敷に住み着いて透和と過ごしていた。


半妖怪を探していたことをすっかり忘れて…




人生の歯車は一人の小娘によって狂わされ


新たな歯車と交わり


今、動き始めた

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ