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プロローグ
時は現代、いつもと変わらぬ日常。否、裏では人々が知らぬ世界がある。
『人界と魔界』
人間が生きているところは人界。妖怪、魔物などが生きているところは魔界。
二つの世界は今もある。
昔、人界の陰陽師の長が考えた。
『人界と魔界を繋ぐ門:羅刹門を消す。』
命を削りつつ、羅刹門を消した。門は全部で五つ、消滅させたのは四つ。残った門は強き力を持つ者しか通れなくなった。
長はそのまま死んだ。
門はポツリと立ったまま。
魔界にて有意義に空を舞う妖怪がおった。耳に一つの噂を聞いたとさ。
『人界にて、半妖怪が生まれたそうだ。』
『とても良き匂い。修羅の血が流れているらしい。』
いてもたってもいられぬわ。
羅刹門をくぐり、すぐさま人界へ。
のらりくらり。
十五夜の夜、月は兎を描く。
匂いの源は、愛しい小娘。
強き妖怪を恐れずもてなす。
妖怪は、小娘を喰うことができなくなった。