第6話 終幕
「イザベラ様は、公爵家の人間として自分の未来視を信じ、情けなど掛けるべきではなかったのです…。
その甘さのために多くの人が犠牲になり、命を奪われる結果になったのですから…」
大人しそうに見える外見に反し、公爵家のためにはあっさり人の命を断つことも厭わない潔さを持つアンネマリーに怖さを感じながらも、ユーリーは虚勢を張った。
「それは全て君の憶測で、事実ではない。
何を根拠にそんな馬鹿げたことを言うんだ?」
ここで頓挫してしまっては、何のために自分が何年も掛けてこの計画を進めてきたのか分からなくなるし…何よりも、多くの罪を犯し、裏組織にも深く関わってしまったユーリーには後がなかった…。
「憶測ではありません。申し上げましたでしょ?
私の固有魔法は【鑑定】だと。
私は一生に一度しか使えない固有魔法をあなたを見るのに使用しました。
だからどんなにあなたが嘘をついて、言葉を繕っても無駄です。
あなたが育ての親であるマーサや血の繋がった両親を殺しても何の罪悪感も抱いていないことも…
公爵になったら平民の妻など邪魔なだけなので、隣にいるミッシェルさんも始末しようと思っていることも…
実の弟であるクライブ様を罠にはめた時に、すごく喜びを感じていたことも…
知っているのです」
「何ですって?ユーリー、私を裏切るつもりだったの?」
「騙されるな!!俺がどんなにお前を愛しているのか…お前が一番知ってるだろ?
これはアイツの罠だ!!俺達を動揺させて仲違いさせようとしているだけだ!!」
アンネマリーの話に、裏切りを知ったミッシェルが問い詰めるのを、必死で宥めようとするユーリー。
それを冷めた目で見ながら、アンネマリーはロレンスに囁いた。
「ロレンス様、お付き合いいただきありがとうございました。
ユーリーの思念から、クライブ様のいる場所も特定出来ましたので、やっとお迎えに行けます」
~・~・~・~・~
それからはあっという間の出来事だった…。
アンネマリーの合図を皮切りに扉の外に待機していた騎士達が詰めかけ、ユーリーとミッシェルを捕らえ、引き立てていった。
もちろん裏組織のアジトにも捜査が入り、組織は壊滅へと導かれた…。
お家乗っ取りに親殺し、どちらか一つだけでも十分極刑となる罪だけれど…
ユーリーは元々存在しないはずの人間だったため、公に発表されることもなく、最初からそんな人物は存在しなかったかのように、秘密裏に処理された。
ミッシェルは念の為、子供を出産してから処刑されたが…
生まれた子供は鑑定するまでもなく、茶色の髪に茶色の瞳と何の公爵家特有の色も持たない子だったため、そのまま教会付属の孤児院に預けられることになった…。
息子の命は助けたけれど…
処分したはずのユーリーに公爵家の血を継ぐ子供が生まれることを望まなかったイザベラは、マーサに命じて子種をなくす薬を飲ませていた…。
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次回、最終回です。




