生者を仲間に引き込もうと企んだ悪霊の末路
挿絵の画像を作成する際には、「Ainova AI」を使用させて頂きました。
事故死した未練の強さか、俺は生者を仲間に引き込もうと企む悪霊と化していた。
そこでコート姿の小娘を道連れにすべく軽自動車のハンドルを奪ったんだ。
「あれ?」
だが俺の呪いは急に解除され、そのまま軽は走り去ってしまった。
「私を道連れに出来ず残念だった?」
俺は余りの出来事に声も出せなかった。
不敵に笑う小娘の目が、的確に俺を捉えていたからだ。
「貴方みたいな悪霊がいるように、私には守護霊がいるんだよ。」
その言葉に従い、三体の人影が小娘を守るように現れたのだ。
尼僧に巫女、そして住職。
全員、強い霊力の持ち主だった。
「彼等は私の先祖霊にして、悪霊退治の心強い仲間。仲間が欲しいなら私の守護霊に加えてあげるよ!」
そして少女が数珠を翳した次の瞬間、様々な霊が俺目掛けて殺到した。
落武者に日本兵、それに経帷子の老女。
無数の手が伸びてくる。
「くっ、放せ!」
こうして俺は取り押さえられ、少女の数珠に封じられてしまった。
「これで百体目。百八の魂を封じた守護霊数珠の完成も、もう間近…」
あの小娘の不敵な笑い声が、遠くから聞こえてくる。
だが、もうどうでも良い事だった。
他の守護霊達の同調圧力に屈し、自我を失いつつある俺にとっては…