僕がただ竜を殺すだけの物語 第1章 運命の出会い 第98話
「え、ちょっと待って、こんな時にいきなり何を言い出すのさ」
レイの突然の告白に僕は驚いて声を上げた、そんな僕を見てレイは不思議そうな顔を浮かべて小首を傾げている。
「俺としては格好良く決めたつもりだったが、慣れない事をするもんじゃ無かったかな」
「それじゃないよ、二回も死んだって話しだよ、詳しく聞かせてよ」
「ん、まあ別に構わないけど・・・」
レイが喋りかけたところで船の汽笛が鳴り響いた、どうやら荷物の積み下ろしが順調に終わったようだ。
「おいシリル急げ、船が出ちまうぞ」
「あ、あ、でもレイの話しを」
僕は急いで鞄を手に持ちタラップへ急いだ、レイは僕が船に乗り込むのを見届けて、
「次に会った時にでも話してやるよ、それまで絶対に・・・生きろよ」
レイが途中まで言いかけた言葉は僕にはわかった、僕とレイとの最後の会話にはふさわしくないと思ったのか生きろと言い換えたのだろう。
「そういうレイは2回も死んでるのにね」
僕はそう呟いて自分の客室へ歩を進めた。
「それから、とにかく必死に修行を続けていました」
「そうかい、確かに鍛えたみたいだな。初めてだよ徒歩でここまで来た奴は」
「まあ途中からは友達の背中に乗っていたから、全部徒歩じゃあ無いですけどね」
僕は頭を掻きながら答えた、すると石鹸を付けずに水浴びしかしていなかった僕の頭からは、フケが大量に落ちて来た、
「ああ、すいません汚してしまいました、箒はどこにありますか掃除します」
「わはは、いいよいいよ気にするな、それよりもすぐに風呂に入ってくれ、獣臭くてかなわんわ」
1か月以上の友達との野宿で、自分では気付かなかったが、獣の匂いが僕の身体に染み付いてしまっているようだ、
「僕、獣臭いですか」
「臭いとかそんな言葉じゃ足りないくらい臭いな」
「そうですか、それでは風呂に入ってきます」
僕は席を立ち部屋を出ようと振り返ると、後ろから声を掛けられた、
「それで、レイの話しを聞きたいのか」
僕はその場で再び振り向くと、
「それが、その後すぐにレイが、アトモスに雷鳥の肉を持ってやって来たんですよ。売れ行きが良かったのか、何なのか教えてくれなかったですけど、とにかく姉に会うために、何かと口実を設けては顔を出して。アルデンサルでの別れの涙は何だったんだって話しですよ」
「わはは、レイも変わって無くて安心したわ、あの野郎はここには顔も出しやがらねえからよ。元気でやってるってのは噂で聞いてたけどな、って事は俺が誰だかわかってるって事だよな」
「はい、校長先生であり、レイの育ての親、ですよね」
僕の言葉を聞いて満足そうに頷くと手を振って退出を促して来た、僕はそれを見て頭を下げると急いで校長室を後にした。




