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僕がただ竜を殺すだけの物語 第1章 運命の出会い 第90話

長い沈黙の後、先に口を開いたのは僕だった。

「今までの話しを聞いても、レイが言う程姫様の事を怖いと思えないんだけど」

確かに誘拐事件の犯人たちは殺されているけれど、僕は今も生きているし、レイの話しを聞く限りでは今までの妨害も、そこまでひどい物では無いような口ぶりだったし、直接剣を交えた・・・と言えるほどでは無いけれど、僕の身体を案じてくれたし、気を失った僕のお見舞いまで来てくれた、その目的が僕のお見舞いじゃないかもしれないだけだ、僕以外の対戦相手は酷い目に合っているけれど。

「そうだな、怖いのは確かに姫様じゃない。まああの姫様の前に立ったのなら、十分あの姫様が怖い事はわかると思うが、俺が言いたいのはそう言う怖さじゃないんだ」

少しの間を取って再びレイが話し始めた、

「あの姫様は剣戟大会でも連続優勝しているし、竜も一人で倒したことが有る歴史に名を残す程の偉人で、国民の人気は群を抜いている」

なぜか僕は、レイが姫様を褒めている事が、まるで自分が褒められているかのように嬉しく感じた。

「だけど・・・それがいけない。あの姫様は第一王女だけれど・・・、生母は王妃じゃないんだ」

すぐには理解が出来なくて頭の中でレイの言った事を整理した、第一王女では有るけれど母親は国王の妻ではない女性だと、多分これで有っている筈だ。

怪訝な顔をして考えていたからか、レイがもう一度同じことを口にした、

「正確には王女では無いから姫様でもない、なかなか王妃に子供が出来なかった時に、側室のひとり

が子供を生んだ、それがあの姫様って事さ」

「ふうん、そうなんだ」

事の重大さは僕には全く伝わらなかった、僕のそっけない返事にレイは困った顔をして天井を見上げた。

「確かに王室の話しなんてわからないよな、もちろん俺も詳しい事はわからないさ。それに跡取りの問題なんて、大体どこの王室でも大なり小なりある事だしな」

レイは僕に伝わらないもどかしさと、僕にもわかりやすい言葉で伝えようとしているのか、少し顎に手をやり口を真一文字に結んで考えこんでしまった。

「だってさ、国民に人気の姫様なら国王としては嬉しいんじゃないのかな。とても強くてとても美しい姫様なんだし」

僕の言葉を受けてレイは小さく頷いた後で、

「そうだな、確かに国王としては嬉しいよな、たとえ王妃が生んだ王女じゃなくても、その後に王妃が跡取りの王子を生まなければな」

そこで僕ははっとなった、側室の姫様と、王妃が生んだ王子。そのどちらが国王が自分の跡を取って欲しいのかは明白だ、それは流石に僕でもわかる。そして疎ましい王女は国民の人気も高く、剣戟では世界一、狩竜人としても超一流なのだ。

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