僕がただ竜を殺すだけの物語 第1章 運命の出会い 第82話
レイの後を追って医務室に入ると、すでに濡れた服を脱がされたアントニオがベッドに寝かされていた。
僕は洗濯物を籠に入れているレイと目が合い、拳を天に向かい突き出し勝ち名乗りを上げた。
「明日までその元気が続くかな、向こうは本気を出す事は無いけど、盾で防ぎきれなかったらただじゃあ済まないからな」
「大丈夫、あのお姫様はレイと同じくらい優しい人だから」
「そうかな、まあキツイ言い方はするが、確かに理不尽な事は言わないな」
「でしょう、そのキツイ言い方もやっぱり何か理由が有るんじゃないかな」
僕は姫様の感情の裏返しでそんな言い方をしているんだと思っていた、でもレイが僕の言葉を聞いた瞬間に顔色が変わり、
「シリル、お前のためを思って少し厳し事を言うが、あの姫様の事はあんまり深入りするな。子供だから馬鹿にしてるとかじゃない、お前を一人前の人間として俺がお前に言ってるんだ、優しい人だと思うのならそれでいい、口にはせずにそう胸の奥に留めて置け、それ以上の事は詮索をしない事、良いな」
こんな真剣な表情のレイは見た事が無い、いや、前にも見た事が有る。最初に見たのは、僕が誘拐犯の手の甲の刺青を見た事を話した時だ。あの美しく優しい姫様と僕の誘拐犯に、何か関係が有るとはとても思えないけれど、レイがこれだけ真剣な顔をするのならば、僕もこれ以上詮索をする事は無いとレイには伝えた。レイは少しわざとらしく笑った後で、
「まあそう言われて素直にはいそうですかとは言えないよな、お前は俺と違って演技が下手なんだから嘘を吐いてもすぐにバレるぞ。そうだな、明日のが良いな。明日、恐らくお前はあの姫様に御教授されて、このベッドで寝てるだろう」
「そんな事わからないよ」
そう言って食い下がる僕を、レイは両手で宥めると言葉を続けた、
「まあそれは良いよ、そうならない事を願ってはいるが。その時にお前に渡すものが有る、それとほんの触りになるが、なんで姫様に関わらない方が良いか教えてやる。もちろん絶対に他言無用だからな、まあ親や先生程度じゃあ扱いきれない話しだから、誰にも話せない内緒話を抱えて生きて行けるのならという条件付きだけど・・・。お前の顔を見ると、聞かないとは言わなそうだな」
僕は大きく頷いた、そうこうしていると気を失っていたアントニオが意識を取り戻し、自分の下半身が露わになっている事に驚いて奇声を上げた。僕は再びアントニオに勝ち名乗りを上げると、アントニオは小さくなっていった。




