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僕がただ竜を殺すだけの物語 第1章 運命の出会い 第75話

「狩竜人船みたいに落っこちまう事は無いから、安心してくれていいぞ」

それはそう、それはそうなんだけどどれ一つ安心できない自分が居た。とはいえ、ここまで来てせっかくの魔力車に乗らない手は無い。僕は覚悟を決めて、運転席に座るレイの隣に座った。

「えーっと、これが始動レバーで、これが・・・なんだ、とするとこれが・・・、わかったこれでわかったぞ」

ひとつひとつレバーをがちゃがちゃと触りながら試行錯誤していたレイだったが、ようやくすべてのレバーの使い方がわかった様だった。

「ようしまずこのレバーを前進方向に入れて、それから少しずつこのレバーを動かすと・・・」

ガクンガクンと車が少し前後に動き出した、僕は足を踏ん張り、掴める者は何でも掴んで身体を強張らせた、そんな僕を見てレイは笑顔で、

「おいおいそんなに怖がらなくたって良いぞ、動かし方はわかったんだからな、後はこのレバーを引けば、ようし動き出した」

動き出してしまえば馬車よりも滑らかに地面を疾走し始めた、速度は馬車よりも速く振動も少ない、目の前に馬が居ないために見晴らしが良い、顔に当たる風は船のそれに近いと感じた。

「すごいすごい、馬車よりも速くて気持ちいいね」

いつの間にか緊張はどこかへ消え去り、流れる景色を眺めながら僕の興奮は最高潮に達していた、宿屋からは繁華街を通らずに外縁を通ったために通行量は少なく、遠くで畑作業をしている人がまばらに見えるくらいだった。僕は思わず大声で呼びかけて手を振った、すると皆々が作業の手を止めて僕たちの方を向いて頭を下げた。なぜだかわからなったけれど、僕の興奮は冷めずに見かける人たちみんなに声を掛けていた、するとそれを見かねたのかレイが僕の肩を叩き、

「シリル、危ないからあまり身体を乗り出さないでくれよ、それとみんな仕事中なんだから、あんまり邪魔をしないでやってくれ」

レイの言葉に少し冷静になった僕は、見知らぬ人に声を掛けていた事が妙に恥ずかしくなり、それからは静かに席に座って景色を眺めていた。


そうこうしている内にレイが大きな建物の前で車を止めた、魔力車が思っていたよりも速くて、結構遠い所に有ると思っていたけれど、最初の目的地である展望台に到着した。

レイと僕が展望台に入ろうとすると守衛に止められた、観光地だとしたらちょっと物々しすぎだろうと思っていたら、レイが懐から何やら紙の様な物を守衛に差し出した、

「本物かどうかは確認してくれても良いけど」

「いえ、私も業務上確認をさせて頂いただけですので」

「それで良いんだよ、お勤めご苦労様」

そんなやり取りを済ませると守衛は道を開け、扉の脇に立つとそのまま口を噤んだ。

「よし、通れるようになったから中に入るか」

僕はうんうんと頷いて、中に入って行くレイの後ろを着いて行った。

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