僕がただ竜を殺すだけの物語 第1章 運命の出会い 第71話
座って待っていると、暫くして運ばれてきた前菜は、野菜と肉を煮たものを冷やして固めた様な物で、彩りは素晴らしかったけれど味の方はそれほどでも無くて、この料理は見た目を楽しむものなのだと勝手に決めつけた。
次に出て来たスープは冷たくて味もとても素晴らしく、冷たいスープを初めて飲んだために一気に飲み干してしまい、それを気付かれたのかお代わりが出て来た。3杯目を貰うのは恥ずかしいので2杯目はゆっくり味わう事にした。
「何杯お代わりしようが気にしなくても良いんだぞ、なんなら大皿で持って来て貰うか」
レイに僕の気遣いを気付かれてしまったようだ、1杯目の勢いからいきなりゆっくりにしたためだろう。
「大皿のお代わりは要らないよ、でも・・・、もう1杯は貰おうかな」
にっこりと空の皿を下げてくれるメイドさんに頭を下げ、3杯目のスープを飲んでいると入り口の扉が開き、5人ほどの白装束の人達が入って来た。さっきの店では目深に帽子の様な物を被っていたけれど、今はその変わりに、顔がわからないように白い目隠しの様なマスクを着けている。
そしてその人たちの間からまばゆい光と共に見目麗しい姫様が中へと入って来た。
直ぐにメイドの人達が3つ隣りのテーブルの椅子を引いて待っていたけれど、当のお姫様はずかずかと僕の前に座っているレイの隣の椅子を自分で引いてそれに腰かけた。
「あの、お姫様、あちらの席をご用意して有るようなのですが」
レイは隣に座った姫様に恭しく席の案内をしたけれど、姫様はすまし顔をして何も聞こえない様な素振りをしていた。そのうち白装束の人達が僕たちのテーブルを囲うように立ち、メイドの人達も慌ただしく姫様用の料理を準備し始めた。姫様に出された飲み物は僕に出された物とは違い、鮮やかなオレンジ色をしていた。恐らく予約の段階で全部のメニューを注文しておかないといけない店なんだなと思っていると、やはり僕らに出された物とは違う前菜が運ばれてきた、彩りのための数々の野菜からニンジンが省かれ、少し野暮ったい色味になってしまっており、鮮やかな赤色のニンジンを抜くのなら、その代わりに何か別の赤色の物を足さないと、美しい見た目が損なわれてしまうようだ。
しかし僕らの後ろに立っている白装束の人達の煩わしさは酷い物だ、大切なお姫様を守っていると言うのなら、なおさら僕たちのテーブルでは無くて、準備されていた席に着くべきだろう。こんな物々しい雰囲気に囲まれていては美味しいスープも楽しめない、などと思っていたけれど顔に出す事はせず、最後の一口まで美味しいスープを堪能した。僕がスープを飲み終えた頃、何やら隣が騒がしくなって来た、
「いつものスープと違うのですが、どういう事ですか」




