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僕がただ竜を殺すだけの物語 第1章 運命の出会い 第60話

僕の毎日は劇的に変化してしまった、学校へ行く道は持久走に変わり、授業中は上の空だった頃とは打って変わり、常に仮想敵と剣戟の練習をして、帰宅も早々に道場で汗を流している。

今までの僕からはとても考え付かなかったけれど、今の僕は常にどうしたら良いのかを考えて行動している。両親にははっきりと狩竜人になりたいと伝えてはいないが、こんな生活をしていればそのうちバレてしまうだろう。絶対に駄目だと言われたぐらいでは諦めないかもしれないが、両親を泣かせてまで狩竜人になりたいかと問われたら答えに困るかもしれない。だとしても、今は目の前の目標である剣戟大会に参加をして、レイとの思い出を作りたい、とりあえずはそれだけでいい。その先は僕一人でどうにか出来るとは思えないし、何かを精一杯やるという経験だけでも僕を成長させてくれると思って頑張っている。

当然、僕の変化は両親だけでは無く、友達にも伝わるわけで、マリーとアーノルドには何度も質問攻めにあったが、そのたびに誤魔化していたら、帰宅後に跡をつけられていたようで、道場に通っている事がアーノルドにバレてしまった。

「なんでシリルがこの名門道場に通えるんだ、俺の兄貴も通いたくても通わせてもらえないのに」

「なんでと言われると・・・」

誘拐された事は言えない、レイが師範をしていた事は・・・多分大丈夫、僕がこの道場の代表として剣戟大会に出る事は当然言えない、いまだにハロルドさんと会うと頭を下げられるために、それを見せる事は出来ない、元の道場の人達は、僕と目を合わせると逃げて行くから、余り気にしなくても良い、こうして考えてみると言えない事や内緒にしておきたい事ばかりで、どうやっても説明が出来そうにない。

「父、父親がコネを持ってて無理やり入門させてくれたんだ」

「へぇそうなのか、凄いんだなシリルの父ちゃんは。確かにこの前の船の船員の世話を一手にやってたし、いつも優しい感じだったけど元狩竜人だったんだな」

「そうそう、船の船員のね、ん、いや、俺の父ちゃんは狩竜人じゃ無いよ」

「そんなわけないだろう、じゃあなんでこの道場に顔が効くんだ、ここは剣戟大会の代表を出すくらいの名門道場なんだぞ、元狩竜人でも無ければそんな事出来るわけが無いだろ。船員の世話だって他に宿屋はいっぱいあるのに、お前のとこだけ賑わってたじゃないか」

アーノルドに詰め寄られて、返す言葉を見失ってしまった。咄嗟に吐いた嘘でどんどんと深みにはまってしまった気がする。道場に顔が効くのはレイだし、船の修理を引き受けたから船員のお世話もさせて貰えたんだし、両親ともども元狩竜人船の船員だから、全くの嘘と言う訳では無いけれど。

「そ、そうだね、あまり言うなって言われてるからさ、内緒にしておいて」

「そうなのか、元とはいえ狩竜人だった事は自慢できる事だろう」

「いや、それでもさ、そう言われてるから」

「ふうん、まあそれなら二人だけの秘密な」

なんとかアーノルドに秘密を守る事を約束させることが出来た、あとは約束を守ってくれることを祈るだけだ。

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