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僕がただ竜を殺すだけの物語 第1章 運命の出会い 第05話

アル船長が持ってきた良い肉というのは、市場で話題になっていた肉の事だった。

物凄く大きな塊りだったが鳥の肉らしい、骨の太さは知っている鳥の太さでは無く、想像する事も出来ないほどのと大きさになり、そんな鳥が居る事にも驚いたが、そんな鳥を狩って来た狩竜人たちにも驚いた。

「船の方は雷鳥に・・・?」

父がアル船長に尋ねる、どうやら雷鳥という名前らしい、後で調べてみよう。

「あー、まあそんなところだ、それよりも厨房を使わしてくれねぇか、こいつらみんな腹ペコなんだよ」

宿から戻って来た船員たちが一斉に同意して歓声を上げる、船長も腹をさすりながら涎を飲み込むと、

「ついでと言っちゃあなんだが、うちの料理人たちの腕も見てくれよ、この地方の独特の味付けってものがあるなら教えて貰いてぇしな」

「わかった、こっちへ来てくれ」

父の先導で厨房へ何人かが向かって行った、

「それと、契約金とは別に持ってきた肉は全部置いて行くからよ、店でも出すと良いや」

そう言うと船長は店の外を指さした、母は訝し気に店の扉を開けると荷車に山ほどの肉が積んであるのを見て、

「あの肉は全部頂いても?」

「ああ、船が動かねぇから保存しとけねぇんだ、市場にも流したんだがなにせ量が多いもんでよ、買取してくれ無かった分だから気にしないで良いぜ」

「わかりました、ありがとうございます」

母が船長に頭を下げたあとの第一歩は地に足が着いていなかった様に見えた、心なしか歩いていると言うよりもスキップしているみたいだ。父も母も久しぶりに雷鳥を食べるが出来るので、いつもとは違う雰囲気に僕もなんだかワクワクしてきた。

開店準備をしている間中、ずっと僕のお腹はお祭りの様に騒々しかった。いつもならやりかけでも放り出してしまう所だったが、船長と船員たちが手伝いをしている僕を褒めてくれるため、腹の虫の大合唱を鳴らしながら準備に勤しんだ。一先ず開店が出来る形だけ整えると、店内に充満している香気の正体を確かめに厨房へ向かった。

「シリルお手伝いありがとう、開店準備は終わったみたいだね」

父は両手を組んで料理をしている所を監督していたが、すぐに僕に気付きお手伝いをした事を労ってくれた、少し恥ずかしかったが素直にうれしかったので、また手伝える時が有れば手伝おうと思った。

「とても良い匂いがするんだけど、これはシチューを作っているの」

照れ隠しに父に尋ねると少し顔を傾げて、

「シチュー・・・で良いのかな、スパイスを効かせた煮込み料理なんだが、父ちゃんも初めて見る料理だからたまらないよ」

そう言うと父は唾液を飲み込み、鳴り続ける腹の虫を抑え込もうとぽんぽんとお腹を叩いた。

「シチューと言われればそう間違いでもねぇんだが、これはカレーって言うんだ」

船長が間に入って来た、カレーとは初めて聞くけど、今日は調べる事が多そうだ、

「坊主は雷鳥を食べるのも初めてなんだろ?今日は忘れられない日になるぜ」

そう言うと船長は父に微笑んだ、意味を理解したのか父もにやりと笑うと小さく頷き、

「もうすぐ出来るみたいだから、せっかくなんでみんなで食べよう、エイミーも受け付けを変わって貰ってこっちに来るように呼んで来てくれないか」

僕はわかった、と返事をして宿屋の受付をしていた姉を呼びに向かった。姉も厨房から伝わる匂いにそわそわとしていたらしく、一緒に食事ができることをとても喜んだ、普段は大人しい姉だが母と同じようにスキップしているような足取りに見えた。

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