僕がただ竜を殺すだけの物語 第1章 運命の出会い 第57話
レイに教えて貰ったことも、ジェイジェイに教えて貰ったことも、結局は相手の攻撃を受け流し、隙を見つけて攻撃をするという点で同じだった。当然だけれど手加減をしているレイの攻撃を僕がどれだけ受け流していても、レイには一縷の隙も生まれなかった。ジェイジェイは時折撃ち込む隙を見せてくれていたのに、この辺が教え方の上手さなのかとしみじみと感じた。
「どうした、全然打ち込んでこないな」
「だってレイには全然隙が無いじゃんか、もっともっと手加減してよ」
僕の言葉にレイは手を止めて真剣な面持ちで僕を見ている、僕は甘えた事を言ってレイを怒らせてしまったんじゃないかと内心びくびくしていたけど、レイの口からは思いがけない言葉が返って来た、
「シリル、お前俺に隙が無かった事がわかるのか」
「え、わかるよ」
「具体的に、どうわかるんだ」
「うーん、言葉にするのは難しいけど、何と無くだけど大丈夫か、そうじゃ無いかがわかる気がするんだ。僕が誘拐された時も、最初はそれほど怖くなかったんだ、目隠しをされていても何と無く大丈夫なんじゃないかなって、そりゃあ僕は大事な人質なんだし、暴れなければ何もしないって言われてたからかもしれないけど。それでも血の匂いが漂って来たときには殺されるかもって思ったよ、でも、その時部屋に入って来た人の手が血に汚れていなかったから、それだけで少し安心しちゃったんだ、よく考えるとそれって変だよね、その人は誘拐犯なうえに殺人犯なのに」
「・・・返り血を浴びたから、手袋を取っていたのか・・・」
「ん、レイ何か言った」
「ああ、いや気にしなくて良いぞ」
レイは剣を収めると僕の肩に手を乗せて、
「お前は素質が有るから、剣戟大会まで俺が教えた事をしっかり練習するんだ、1回戦に勝てるとは言わないが、善戦ぐらいは出来るかもしれない」
「わかった、やれるだけやってみるよ」
「ようし、それじゃあ特別に凄い技を見せてやろう、俺が剣を撃ち込むから盾で受けるんだぞ」
「それって動きがゆっくりに見えるやつ?」
「おいおい、なんでお前が知ってるんだ」
僕は呆れた顔をして、昨日ジェイジェイに見せて貰ったことをレイに話した、
「そうだったのか、じゃああそこの木を見ていろ」
僕はレイが指差した木を見た、するとふっとつむじ風が通って、5メートルほど先にある木の葉が何枚か飛び散った、
「え、すごい、あれはレイがやったの」
「ああもちろん、ジェイジェイも出来るけどな」
「へー、練習すれば僕にも出来るかな」
「これに特別な練習なんか必要ないぞ、強く剣を振ってればそのうち出来る様になるさ」
離れたところの葉を落としたことは凄いと思ったけれど、疑問に思ったことも有ったので素直にレイに聞いてみた、
「それは何かの役に立つの」
レイは目を瞑り首を横に振って、
「葉っぱを散らすぐらいだな」




