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僕がただ竜を殺すだけの物語 第1章 運命の出会い 第54話

道場へ向かう道を僕は出来るだけ早足で向かった、これからは体力も付けていきたいから、少しずつでも走るようにしようと思ったからだけど、初日なのでどうしても休み休みになってしまい、道場へは歩いた時とさほど変わらない時間がかかってしまった。

道場の中に入ると、すでに守備隊の人達が訓練をしていた。交代制で訓練と業務をこなしているので、見た事が無い人たちもちらほらと見かけた。僕を始めて見た人は少し怪訝な顔をするが、話しが通っているようなので、直ぐに何かを思い出したような顔をして訓練に戻っていった。

「おうシリル、今日は俺が何でも教えてやるぞ」

そう声を掛けて来たのはジェイジェイだった、

「こんにちは、今日はレイは居ないんですか」

「ああ、あいつは船で手伝いだ。出航が近いから俺もやる事は有るんだが、頼まれた仕事はこなさないとな」

出航を言う言葉を聞いて僕は少し落ち込んだけれど、いつまでもくよくよとしていてもしょうがない、僕はすぐに気持ちを切り替えて、ジェイジェイに聞いて置きたいことを尋ねた、

「剣戟大会まで日にちも短いから、何かこれは覚えて置けって事は有るの」

「ああ、そう言えば行くだけじゃなくて参加するらしいな、怪我だけはするなよ。そうだなぁ直ぐに覚える事が出来て役に立つって言ったら足さばきかな」

「それはレイに教えて貰ったよ」

僕はそう言うと拙いながらもレイに教えて貰った足さばきをジェイジェイに披露した、

「そうか、そうなると次は攻撃よりも防御だな、怪我をしないためには攻撃を防がないといかんからな、簡単に盾の使い方を教えようか」

「お願いします」

ジェイジェイは僕に盾と剣を持たせて、ジェイジェイも同じように盾と剣を持って少しだけ距離を取った。

「大体これくらいが試合開始の時の距離だ、それじゃあシリルは好きに攻撃して良いぞ、俺も攻撃はするが絶対に当てたりしないから怖がらなくて良いぞ」

狩竜人の一撃の威力を知っている以上、絶対に当てないと言われても背筋が寒くなったが、剣戟大会に参加をすると言った以上甘えた事は言いたくないので、僕は小さく頷いた。

「ようし、それじゃあ試合開始」

ジェイジェイはそう言うとゆっくりと僕の方へ歩いて来た、そして剣を上段に構えたため、僕は盾を上に掲げた。そのつもりだった。

僕は手を動かしている、そのはずなのに盾は動く事も無く、振り下ろされるジェイジェイの剣は僕の頭を掠め、暫くのちに髪が風圧でふわりと動いたのを感じた。

僕は何が起こっているのかわからず、右手の剣を突き出した。

次の瞬間、僕が瞬きをしたぐらいの時間で、ジェイジェイは僕の目の前から消えていた。

「どうだ、俺の動きがゆっくりに見えただろ」

僕は後ろから聞こえる声に驚いてその場から飛びのいた、振り返るとそこには居るはずの無いジェイジェイが立っていた。

「ゆ、ゆっくりに剣を振りかぶったのが見えた、だから僕は盾を構えたんだけど」

「全く防御できなかっただろ、レイだけ師匠なんて呼ばせたく無いからな」

もしかして、僕がレイの事を師匠と呼んだことにジェイジェイは嫉妬しているのだろうか。

そんな事を気にする必要は無いと思うけれど、案外そういう所はこだわっているのかもしれない。

ジェイジェイの実力は今目の前で起こった事で十分に理解できた。

「ジェイジェイ師匠、よろしくお願いします」

深々と頭を下げてそう言うと、ジェイジェイは照れくさそうに笑っていた。

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