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僕がただ竜を殺すだけの物語 第1章 運命の出会い 第52話

「船長、なに泣かしてるんですか。また意地悪でも言ったんじゃないですか」

作業を終えたレイが戻って来て、僕を見て開口一番船長を非難し始めた、僕は船長に非が無い事を伝えるために素早く涙を拭っていると、

「俺でもこれだからよ、お前の時はどうなるかな」

レイは船長の言っている事がわかっていない様子だったが、僕の心にはその言葉が深く刺さった、レイは剣戟大会には一緒に行ってくれると言っていたが、当然それが終われば本来の狩竜人として世界を旅し始めるだろう、それは当たり前の事だ。

「船長は悪くないよ、どっちかと言えば悪いのは僕の方だから」

「そう言う事だ、それじゃあ俺はオードリーと話しが有るから行くぜ」

そう言い残してアル船長はその場から離れて行った、残された僕たちも切りがいいので見学を終了して家へ戻る事にした。

「レイ、剣戟大会って今から頑張って訓練したら1回戦くらい勝てるかな」

「なんだシリル、少しはやる気になって来たのか」

「まあ、そう・・・なのかな」

剣戟大会で勝ち残っていたら、わずかな時間だけどレイと別れなくて済む、そんな単純な考えから出た言葉だったけど、レイからは優しい言葉は帰って来なかった、

「まず無理だな、元々大会の代表になった時点で目論見としては達成してるんだから、大会に参加するとなると怪我が心配になって来るから、防御の方法だけを重点的に訓練すれば歩いて試合場から出て来れるかな」

レイの言い回しが少し気にはなったけれど、僕は続けてレイに問い掛けた、

「そんなに厳しいの、それにしては随分簡単に僕を代表にしたよね」

「まあ、それはそれ、だ。予選とは言え何年も訓練してる奴らが出てくるから、そんなのと当たったら付け焼刃じゃあ相手にもならないな。2年あればこの町の元代表くらいになら勝てる様にしてやれるけど」

「それは本当に、いったい何をすれば良いの」

僕の迫力にレイは少したじろぎながら言葉を続けた、

「まずは基礎体力、それから足さばき、素振りは走りながらでも寝ながらでも、どんな体勢でも全力で降り抜ける様にする事。それが出来れば対人用の型の練習は必要無くなる」

「じゃあ、まずは剣戟大会まで頑張ってみるね」

「本来なら基礎体力を付けてからのが良いんだけど、時間も無いし全力で剣を振る練習と足さばきはやっておこうか」

「わかりました、師匠」

「お、いいねぇ、俺もついに弟子を持てたか。わっはっは」

レイは上機嫌だったが、それとは対照的に僕の心は深く沈んでいた、レイと過ごせる時間はあとわずかしか残されていないのだ。

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