僕がただ竜を殺すだけの物語 第1章 運命の出会い 第43話
僕たちが試し切りをしたりしていると、その騒ぎに気付いたのかシンディが長い棒のような物を両手に持って駆け寄って来た。
「なんか楽しそうな事してるね、私も混ぜてよ」
腰よりも丈の長いシャツの下にはズボンが確認できす、肩から半分ずり落ちたシャツの下には何も着けていないように見えるけれど、肝心の部分は見えない様な加工が施してあった。
「シリルにいきなり魔砲を触らせるのはまずいだろう、敷地から外に弾が飛んだりしたら取り返しが付かないぞ」
「大丈夫大丈夫、私が補助をするから」
レイの心配を他所にニコニコ顔のシェリーは僕に魔砲を一つ渡して来た。棒のように見えたのは魔砲と呼ばれるもので、弾を飛ばす、と言うこと以外は僕には何もわからない。
「敷地の外に弾が飛ぶと何かいけないの」
僕はシンディに尋ねた、レイが危惧しているくらいだから何か問題が有るのだろうと推察したからだ。
「狩竜に使用する武器って、狩竜人船の外では使用してはいけない事になってるの」
僕はシンディの言葉に青ざめた、それっていまさっき僕たちがやっていた事じゃ無いか。
僕の異変を感じ取ったシンディは笑いながら、
「ここなら大丈夫なのよ、ほら狩竜人船の下になるでしょ、一応狩竜人船の上と下は敷地内って事になっているのよ」
そう言われて上を見ると、雲一つない青空の日差しがとても眩しかった、
「・・・ちょっとずれてないかな」
「ま、まあ少しぐらいなら大目に見てくれるだろう」
咳ばらいをしながらレイが答えた、
「魔砲は弾が飛んで行くからね、敷地の外へ向けて撃つ事は出来ないの。でもね、ここは昔は狩竜人船の港として栄えてたみたいだから、ほら、あそこに魔砲の的が有るの」
シンディの指さす方向には丸を重ねた様な物が有った、あれが的なのだろうか。
「じゃあまず私が見本を見せるわね」
そう言ってシンディが魔砲を構え、右手で握っている所の上辺りに口を付けると息を吹き込んだ。
「それは何をしているの」
僕の質問にシンディが答える、
「ちょっとした魔力を吹き込んでいるの、今は特に何も入れていないんだけど、ガンナーの私たちの癖よね」
そう言いながらシンディは再び魔砲を構えた。レイの時と同じ、呼吸を整えて遠くに見える的に狙いを定めている。
シュポンとなんとも言えない軽い音がしたと思ったら、遠くの的から硬い物が当たったであろう衝撃音が聞こえた。
「連続して撃つね」
シンディはそう言うと微動だにしないまま連続して引き金を引いた。その度に軽い音と衝撃音が聞こた。
すべての弾を撃ち終えたのかシンディが魔砲を降ろして僕に笑顔を向けて来た。
「ちょっとずれてるな」
アル船長が呟いた、それに続き小さく頷きながらレイも同じことを呟いた、シンディは二人の言葉に納得がいっているのか笑顔から苦笑に変わっていた。




