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僕がただ竜を殺すだけの物語 第1章 運命の出会い 第42話

僕は、自分の身に起こった事に頭の理解が及ばずに呆然としていると、レイとアル船長が僕を心配して近付いて来た。強く握られていた手から、レイが震える剣を優しく取り上げ、その後でアル船長が僕の両脇に手を入れて立ち上がらせてくれた。もうすでに僕の手に剣は握られていないのだが、身体はぶるぶると震えていた。

「どこも怪我はしてねぇようだな、まあこれが竜を狩るための武器の威力だ、ちょっとこいつは癖が強すぎるから、このままじゃあ使い物にならないと送り返さねぇとな」

レイが剣を手に持ち、色々な角度から刀身を確認して台に載せた。僕は刃毀れをしないように地面に当てるな、と言われていた事を思い出し、自分が切り付けてしまった地面を見て、申し訳なさそうにレイに謝罪をした。

「ごめんなさい、強く振るなって言われてたんだけど、つい力が入ってしまって」

レイは僕の謝罪を聞いて笑顔で僕の頭を撫でると、

「お前が無事だったんだから、剣なんて折れてても何も言わないさ」

レイの本心が聞けて僕は嬉しくなった、でもよくよく考えてみたら、レイにからかわれてイラっとしたのが原因だったと思いだし、緩んでいた頬を膨らめた。

「なんだシリル、ほっぺた膨らませて」

「レイの試し切りも見せてよ、僕だけすっころんでなんか格好悪いし」

「・・・まあ良いけど、俺はお前みたいにすっころんだりしないぞ」

そう言ってレイはばたばたと準備をし始めた、僕に真っ二つにされた木箱を片付け、新たに持ってきたのは雷鳥と思われる骨付きの肉の塊だった。

「修理の目処が立ったからまた狩りに行けるしな、その時は冷蔵庫を空にしときたいんで、今日はこれで料理を作って貰おう」

「え、またカレーが食べれるの」

「ああ、カレー以外にもいろいろ美味しい料理は有るけど、シリルが食いたいならそうしてもらうか」

「やったー」

僕は飛び跳ねるほど喜んだ、またあの体の中から痺れるほど美味しいカレーが食べれる、あまりにも嬉しすぎて、今からレイが何をするのかを忘れてしまいそうになる程だった。

「よーく見ておけよ、こんなに間近で試し切りなんてしないからな」

正直カレーの前ではレイの試し切りは魅力を失っていた、それでも自分から頼んだ手前見ないわけにもいかずに、僕は固唾を飲んで見守った。

レイの呼吸音が聞こえる、深く息を吸い込み長く吐き出す、普段の何倍も時間をかけて呼吸をして精神を集中させているのが伝わって来る。レイの呼吸音以外の音がすべて消え、レイと雷鳥の肉、それ以外が僕の視界からゆっくりと消えて行った。僕とレイの視界が重なったかの様な錯覚を覚えた、そしてそれは唐突に終わる。レイが小さく息を吐きだしたかと思うと、僕の身長よりも大きい刀身が霞むほどの速度で獲物に飛び掛かり、次の瞬間にはレイは元の立ち姿に戻っていた。

瞬きほどの一瞬の出来事だったけれど、僕は全身から滝のように汗をかき、全速力で走ったかのように呼吸が荒くなっていた。

「そこそこ上手くいったかな、どんな時でもこれくらい出来る様になりたいんだが、なかなか難しいな」

そう言ってレイは台に剣を戻した、僕が台に近付いて剣をよく見てみると、その剣はすべての魔力による補助が切られていた。

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